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アリスの魔眼~転生したら魔眼でした~  作者: たんしお
第1章 旅立ち編
5/12

第5話 瞳の中の世界と魔女

 白。どこを見渡しても白。

 認識できたのはただそれだけだった。


 はっきりと分かる異常。


 どうなってる?

 俺は吹っ飛ばされて気絶しそうになったはずだ。

 またおかしなことに巻き込まれているようだが、自分でも驚いたことにこの世界に来たときよりは動揺はしていない。


 しかし、周りになにもないというのはストレスだな。やることないしな。


 ……俺は一生このままなのだろうか。


 動揺してないって言ったけどやっぱあれ嘘だわ。めちゃくちゃ動揺してる。ていうか誰か助けて! お願い! 何でも言うこと聞くから!


 …だがやはり冷静になるべきだろうな。


 そういえば俺はなぜ、周りを見渡せたんだ?そうして気づいた。

 俺はアリスではなくなっているし、

 手や足を見るに元の世界の俺という訳ではないのは一目瞭然だ。


 少年になっている。

 そして、身体が動かせる。


 異常は異常でも、何かしらの思惑を感じる展開だな。


 このまま永遠に白の世界に閉じ込められるわけではない……よな?

 なろう系小説であるならこのパターンは転生時の神様降臨、もしくはラスボス級の敵登場の展開だ。

 できれば前者であってほしい。


 なにより怖いのは何も起きないことだ。

 ただこの世界に閉じ込められることだけが恐ろしく怖い。


 まっひとまず、白の世界に限界はあるのか歩いて試してみるか。


 実際に行動してから2分ほど歩いたろうか。

 歩けども歩けども変化を感じられない。きりがない。


 魔法の行使。


 何か手はないだろうかと考えた時、即座にこのアイデアが浮かんだ。


 アリスといたとき間違いなく俺は魔法に対する干渉ができていた。

 であるならばアリスの行った閃光爆裂魔法とまでは行かなくても火球を地面と水平に打ち込むことで、どこまで白の世界が続いてるか見えるのではないだろうか。


 アリスの行った感覚を思い出しつつも、あっさりと魔力を練ることができた。

 あのときより威力も抑えることを意識し放つと、手のひらから火球が出現した。

 思ったより簡単に制御できてしまった。


 火球を手から射出することも難しいものではなかったようで水平に飛ばすことに成功。


 100メートルほど飛んだだろうか。


 しかし、まぁどうしたものだろう。

 終わりがわからないのに歩く気も起きなくなってきた。


「ほう、

どうやら既に魔術の行使ができるようじゃないか。大したものね。」


 思わず息を呑む。

 背後から唐突に声がしたが、いまの今まで人の気配なんてみじんも感じなかった。

 声からして女性の声であったが、怖いことには変わりはなかった。


 振り返るとそこには、いかにも魔女といったいでたちの美女が興味深そうにこちらを見下ろしていた。


 ……この白の世界に俺だけが取り残されるという不安よりも、この異常を作り出した絶対者がいるという事実への不安のが強かったがどうやらその不安は的中してしまったようだ。



 ようすを見る限り、こちらを襲うという考えはなさそうだ。

「この白の世界は、あなたが? 」


 魔女は片手で首を抱え思案顔になる。

 あ、そういや日本語ではなしかけちまったか? 通じる訳がないしそりゃ思案顔にもなるわなぁ。

 というか、アリスいなくても魔女の言ってる言葉も理解できてるし案外通じてるのか?


「うーんと、この場合はあなたと私の共同合作という表現が一番近いかもしれないわ」


 やはり通じてるようだ。通じてるならまあいいだろ。ほかに聞きたいことは山ほどあるし。


 俺がこの白の世界の作成に関与しているらしい。


「まぁ7:3かな。7が私であなたが3ってところね。」


 そりゃまたどういう要因で?

いや、たぶんこの世界に来た俺は魔法が使えるようになってるみたいだし色々できても驚きはしないが。


「気づいてるかもしれないけど、あなたは少女の目なのよ。それも特別なね。その特別の力の一つがこれよ。」


 ああ、やっぱり魔眼だったのか。


「そう魔眼を知ってるのね。 その眼なんだけど実は私が開発者なのよねぇ」


 自然的な現象により発生していると思ったが科学的な領分で作成されていたのか。

 伝説の武器的なあれか思ってたわ。意思ある武器的な。


「まぁ限りなく近い存在よ。その解釈に間違いはないわね。私、人間じゃなーいし。」


 ていうか、あるんだ。伝説の意志ある武器って。この世界に。


 というか、話をしていると情報が多すぎて脱線しちまうな。

 とりあえずまずはこの世界のことから聞くべきだな。


「あら、案外冷静なのね。この世界はあなたと私のものよ。とりあえずこの何にもない白の世界が嫌なら、魔力を行使して、この世界にイメージでもって働きかけなさい。そうすれば簡単にこの世界は変化するわ。」


 と言われると存外、やってみたくなるものだ。

 ひとまずイメージするのはアリスの家の前の、こころ穏やかになりそうな農村だ。


 少し意識を集中して、心の中で「農村、農村、農村…」と何回かつぶやく。


 異変はすぐに感じることができた。

 一瞬で白の世界が、崩壊しアリスの家ごと周辺がコピーされている。

 まじか、これ。


「ね~すごいでしょ。この力は私が作ったのよ。 だから7:3なのよ。」


 やべぇ。まじか。これ。

 わくわくが止まんねえ。リアルマイクラも夢じゃねえ。


「マイクラ? 何それ流行り?」


 あ、いっけねえ。もしかしてこの人俺が現実世界の人間だと思ってるのか。てっきり異世界の人間て理解してるかと思ってた。

 …ひとまず、戻る方法とかも聞けるかもしれないし相談でもしてみるか。


















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