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アリスの魔眼~転生したら魔眼でした~  作者: たんしお
第1章 旅立ち編
10/12

幕間 第10.5話 アリス降臨

幕間としながらもちょっと布石を置いているので10.5話としました。

できれば読んでいただけると助かります。

 馬車に揺られて2日目。


 くっそ暇。


 Youtubeとか見てた時代がなつかしいわ。

 なんだこれ。一世代昔、サラリーマンはガム噛んで移動時間をしのいでたって聞くけど、ガムすらないんだが?


 最初はね? 自然豊かな風景とかがさ非日常感あってよかったんだけど。

 非日常感あったけど、非日常もすぎれば日常よ。


「ねえ、暇なんだけど」


 大人の俺でも耐えきれないのだ。10歳の子供が耐えられるものではない。


『そうだな』


「最近、カナタそればっかだよね。」


『そうかもな』


「もう! そればっか!」


 お、怒った怒った。

 いかん、からかうことで暇をつぶそうとしている。

 良い大人がなさけないぞ。なんか話題でもふってあげるか。


『じゃあ会話でもするか。……そうだな、好きな人とか故郷にいなかったのか?』


 まだ恋話なんて早いかともおもったが女性のが成熟は早いと聞くしと話をふってみたが、1に冒険、2に冒険、ずっと冒険のアリスにこの話題は適切ではなかったと話を振っておいて後から反省した。


「好きな人かぁ。うーんと、なんていうか同世代の子って子供っぽいんだよね。」


 あれ? くいつくのか。


「というかすごーく今更なんだけど。カナタっていくつなの。同い年の男の子なんて1に冒険、2に冒険、ずっと冒険の話ばっかよ。」


『いや、それは単にアリスが冒険好きだから話ふってくれてたんだろ。気づけよ。』


 おっと、思っていることが念話にでてしまった。


「おぅ……私って案外子供なんだね。」


 アリスがショックを受けておられる。


 確かにアリスは聡明で大人びている一面を多く見かけるけど、元気溌剌のが印象が強いからな。

 少年に子供あつかいされても不思議ではない。


『いやいやアリスは大人っぽいぞ。ママの作る朝ごはん我慢して食べてたろ』


「フォローになってないし。ていうかなんで知ってるの。」


『あー言ってなかったっけ? アリスとは感覚がつながってて痛みとかの五感が分かるようになっているし、心の浮き沈み……多少の喜怒哀楽くらいなら分かるぞ。』


「そうなの? 視覚とか聴覚だけじゃないんだ。ふーん。カナタだけずるいじゃん。お風呂だって私の裸をのぞいているんでしょう?」


 っく、苦しいところをついてきたな。こちとらもともと童貞である。

 ロリコンではないが、これから胸がどれだけ成長するかを楽しみにのぞいていたことは事実である。


「……なんで無言なの。あ! そういえば私ってアンタの世界にいけるんだよね。私を連れてってよ。良い暇つぶしになりそうだし!」


 無事にカナタからアンタに昇格した模様である。誰か俺に昇格祝いを頼む。


 でもそうだなぁ、連れていけたら良い暇つぶしになるかもしれない。

 使用者も精神体として連れてこれるって魔女が言ってたから、アリスには寝てもらう必要があるんだろうか。


『多分だができるぞ。多分な。でも寝てもらう必要がある……と思われる。』


「自信なさげなんだね。」


『こちとら魔女に説明されただけで、具体的な手順を聞いてないんだ。』


「いいから、いいから。ものは試しっていうし! とりあえずやってみよう!」


 さっきの怒りはどこへやら。アリスと一緒なら馬車に揺られるのも案外飽きないのかもしれない。


 そんなわけで、アリスは昼食をとって眠りにつくのである。



◇◆◇◆


 そんなわけでアリスが寝ている。アリスが寝ていると俺も視覚がないからつまんないんだよな。

 

 どうやってアリスをあっちの世界に連れていくかは算段がついている。

 いつものように固有世界に移動するよう念じて魔力を練り上げるだけだが、アリスのことを念頭に置いておくだけで魔女システムが何とかしてくれる……そんな気がする。


 固有世界につくなり、俺は成功を確信した。


 目の前にアリスがいたからだ。


 アリスは驚いた顔をしている。


「え!? アンタって少年だったの!? ……ん? あ、いやでも。あー……ん?」


 近いわ。驚いたかとおもえば、ぶつぶつ呟きながら30センチぐらいの距離でこちらを見ている。


 でもやっぱアリスはかわいいな。将来、美人になるな。

 アリスの顔は鏡でしか見れないし、こうやって全身を見る機会は少ないわけでお互いジロジロみるという変な状況になっている。


 ふとアリスの焦点が変わって真顔になる。


「なに、ジロジロみてんの? もしかしてそういう趣味なの?」


「おまえ、今さっき自分がなにしてたか思い出せるか?」


 思い出した顔をする。本当にころころ表情かわるやつだな。


「あー、ごめん。」


 テヘペロじゃねえよ! かわいいから許すけど。


「ね! そういえば、ここってアーリオ村だよね!」


 アーリオ村はアリスの故郷のことだ。

 アリスがホームシックになるし模様替えでもしたほうがいいかもしれない。


 アリスは走り回って色々見ている。


「うーん、よく見ると細部が違うわね。よくできてるけど。」


「たぶん俺のイメージが鮮明じゃないから、魔女の力で勝手にイメージ補完してるんじゃないか?」


「ふむふむ、なるほど。」


 ふむふむってなんだよ。声で出すなよ。かわいいから許すけど。

 あと、ぜったい分かってない。ふむふむ言いたかっただけだわ。


「あ! ねね! あれってなに?」


 そういってさっさと遠くにいってしまう。

 人を無視して走り回る当たりはやっぱり子供だな。


 そう思っているとアリスの行く先を見て気づく。


 自動販売機おきっぱなしだったわ……

 さすがに異世界のものは見せるわけにはいかないよな。


「ねえ! あれって……」


 アリスが20メートルぐらいのところで自動販売機を消去した。


「悪い、あれはちょっと秘密なんだ。」


「……そう。ちょっと残念だな。いつか見せてくれるの?」


「うーん、そうだなぁ。魔女が許してくれたらかな。」


「わかった楽しみにしてる。あっそうそう結局カナタっていくつなの?」


 年齢を伝えることで彼女とのコミュニケーションに支障がでないかを懸念した俺は前から秘密とすることを決めていた。


「わるいな。それも秘密だ。」


 そういって彼女の頭をなでる。

 髪がさらさらしている。キューティクルが壊滅していた俺とは手触りが違うな。


 そういや初めてアリスに触れたことになるのか。


「……うーん、しょうがないから許してあげる。あとちょっと慣れ慣れしいんだけど。」


 彼女も年齢を聞くことが野暮だと思ったのだろうか許してくれたようだ。

 なでなでは別件扱いらしい。


「あっ悪い。気に障ったな。」


 手を引っ込める。


 目をあわせようとすると、アリスはまたも俺の顔をジロジロみていた。


「アンタってかっこいいよね。やっぱりコレは私のイメージに沿って作ってるのかな。」


 ん?どういうことだ。


「えーと、なんていえばいいのかな。私とコミュニケーションがとりやすいように私の好む顔や身長にしている?」


「あーなるほど、魔女もそんなこと言ってたな。」


 やっぱアリスは賢いな。


 つまり俺はアリスにとってイケメンなわけか、気になってきたぞ。

 鏡を生成して顔を確認してみる。


 アリスは急に出現した鏡にびっくりする。


 どれどれ?

 あー、確かにかっこいい感じが…ん?

 どこかで見た顔かと思ったら、前世の俺に似ているではないか。

 前世の顔もひどい顔ではなかったが、それをブラッシュアップした感じだ。

 これは俺に違和感を与えないようにした魔女からの配慮も含まれているのかもしれないな。たぶんそうだろう。


「でも、それってすごいね。さっきからものを消したり出したり何でもできて楽しそう。」


「ああ、なんでもできるぞ。」


「なんでも? あ! この前言ってたマイクラを教えてよ。」


 おお、あれは一人だとつまらないんだよな。布教活動していた甲斐があったな。

 アリスが興味をもってくれた。


 このあと、いろいろ試行錯誤の上ブロックゲームめいた固有世界が誕生し、

「もう! カナタの知ってるルールやアイテムばっかりおしつけないでよね。つまんない!」の一声によりブロックゲームの世界は1日で終了することになるが、それはまた別のお話。



アリスのコメントには気を遣う部分が多いです。

私の頭で最初に書くとツンデレっぽくなってしまいます。

「かしら」「だわ」「よね」が出てきて大人っぽくなります。

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