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アリスの魔眼~転生したら魔眼でした~  作者: たんしお
第1章 旅立ち編
1/12

第1話 きっかけ

はじめての書き込みです。

見切り発車ですがよかったら読んでください

「まじかよ……起きたら14時って。寝過ぎだわ」


そう言いながらもさして後悔はなかった。

いつものように、髪も整えずにコンビニへ。朝飯、否、昼飯を買いに行く。

昼飯を終えると、稼業のパチンコ店へ向かう。働くのではないギャンブルをしに行くのだ。現代のネット社会の情報を駆使すれば年間で240万円程度は稼ぐことができる。保険もボーナスもないので働いた方がマシだ。だけどもなんの責任もない。人との関わりもない。とにかく気楽なのだ。決して多くはないが少なくはないお金、暇潰し、気楽さの3拍子がある。こんな生活を俺こと不退彼方(フタイカナタ)は7年くらい送っている。


こんな無様な人生を送るとは思っていなかった。


自分で言うのも何だが俺は、他の人より少しだけスペックが高かった。ほんの少しだけどな。ノー勉で地元で一番頭のいい高校に入学していたし、名のある大学はおおよそB判定だった。

父母にも喜んでもらえるよう、3年からは勉強に取り組んでいた。


けど、結論から言えば俺は受験しなかった。

高校の3年の秋頃、母の持病が急激に悪化して亡くなったのがきっかけだった。葬式のあとからまもなく、普段は飲まない親父が飲酒運転で事故を起こして即死。幸い巻き添えになった人はいなかった。

そんなことがあって俺はもう何もする気は起きなかった。ただただ辛かったのだ。対した夢も持っていなかった俺は勉学に励む気持ちは持てず変化する環境にさえも対応することはできているとは言いがたかった。


両親の無常な死から人生にきっと意味なんてないのだと本気でそう思えたが自殺する勇気もなく、ただただなにもしなくていい道へと流されていった結果が今だ。なんの未来もない。


ただ最近になって少しずつ気持ちの変化がある。最初はこの生活が気楽なものだったが今になってようやく過去の過ちに対して、流されていた受け身の自分に対して後悔の念を持ち始めた。両親が残した自分がこんなのでいいのかと。


そう思いながらも慣れてしまった生活からは抜け出せない自分の甘さが憎かった。何かきっかけが欲しかった。そんなきっかけを与えてくれるような人はもう俺の回りにはいない。自ら殻に閉じこもった罰だろう。


そんなきっかけがパチンコ店からの帰り道に訪れるとは思っていなかった。


夕暮れ時の交差点で、もうスピードで駆けるトラックの先に、ヘッドホンをかけた女子高生が目に留まった。

気付いていないのは明らかだった。


「あぶない!走れ!」


やはり聞こえていない。もう時間はなかった。ためらいがある。まにあわなければ即死だ。走馬灯のように色々な景色が思考と共にながれていった。そのなかに優しかった両親の顔が写された時、咄嗟に体は動き出していた。

彼女はついに気づいたようだが体は恐怖で動けないのか硬直していた。体は飛び込む寸前で、駆ける俺に気づいたのか彼女と眼があった。トラックとの距離は残り2メートルない。


彼女の体を押したところまでを記憶している。そこから先の記憶はなかった。




あの時、彼女を助けようとする行動ができたことを誇らしく思う。両親に少しだけ顔向けできる死に方だった。彼女は助かってると良いが。・・・いやまて、なぜ考えれている?いや、間違いなく致命傷の速度だった。ぎりぎり助かったのか?というか俺のからだが動かない。体の全ての感覚があるのに一切動かない。怪我をして動かないのとはまた違う感覚だ。痛みがない。


「―――ス」


重傷だけど助かったからとは違う気がする。というか誰か俺に話しかけているのか肩がゆすられている感覚がある。


「アリス、ご飯だから起きて」


目が開いていく。俺の意思とは別にだ。訳がわからない。

視界には見たことのない西洋系美人の人が、幸せそうに笑顔を向けてくれている。それにあわせて体も勝手に起き出す。どうやらベットで寝ていたようだ。


「おはよママ!」


俺の口から予想外のソプラノボイスがとびたした。更には体がおもむろに美人にキスをする。俺のファーストキスが今奪われたのだ。いや、奪いにいったのか?

まぁいい……とりあえず突拍子もない状況なのは理解した。俺はもうしばらくこの状況を極めて静観することとした。というか体が動かないからそれしか選択肢がないのだが。

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