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桜舞う  作者: ぱる
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3話 望まぬ対話


「太陽ちゃんて、頭良かったんだね」


入学式が終わり、春斗達が教室に戻っている最中にそんな事を言ってきたのは、綺麗な黒髪をポニテにした凛々しい目の桜によく似た美少女───雛菊舞である。


「あぁ、そっか。初めて会ったのが入試の時だもんな」


春斗と夏月にとって、太陽が天才的な頭脳を持っている事はもう驚く事でも何でもない。


しかし舞からしたらこのゆるふわ天然少女が、まさか新入生代表挨拶を任される程の学力を持っていたなんて夢にも思わなかっただろう。


まぁ後々テストとかで太陽の凄さは嫌でも分かるが、一応春斗の口から舞に対して太陽について補足しておく。


「ハッキリ言って太陽は冗談抜きで天才だよ。中学の時は満点以外取ったこと無いし、なんだったら学力だけなら今からでも東大ぐらい入れるんじゃないか?」


その説明を受け、ドヤ顔で鼻を高々としているのは長身金髪イケメンバカ───緑川夏月だ。何でお前なんだよ。誰かコイツの鼻を折ってくれ。いや、俺が折る。


「ぐぁああああああああああああ」


「ふっ…他愛無いな」


「てめぇ春斗!?なんで今オレの鼻を折った!!?」


「そういう流れかなと」


「どういう流れかな!?」


「春斗くん、それはやり過ぎだよ。気持ちは分かるけど…」


「舞さんまで!?」


「それにしても、本当の天才っているんだね。私ますます太陽ちゃんのこと好きになっちゃった」


夏月の突っ込みを華麗にスルーし、舞は驚くと同時に太陽に対して尊敬と好意の目を向けていた。


「ふふふ〜、私も〜、舞ちゃんのこと好きだよ〜」


そしてその説明を受けた当の本人───よく似合ったひまわりのヘアピンを付けた栗色髪のゆるふわ天才少女───朝日奈太陽はいつもより嬉しそうに微笑んでいた。それをガン見している夏月もいつもよりニヤニヤしていた。誰かコイツの目を潰してくれ。いや、俺がやる。


「ぐぁああああああああああああ」


「ふっ…造作無いな」


「目が!目がぁああああああ!はぁるぅとぉさぁあああん!?今度はなんで目潰ししてきたんですかねぇ!!?」


「そういう状況かなと」


「どういう状況かな!?」


「春斗くん、それはやり過ぎだよ。確かに気持ち悪かったけど…」


「ちょっと舞さん!?さっきから俺に対しての当たり強くないっすか!!?」


「でも〜、春斗ちゃんは〜、私の事過大評価し過ぎだよ〜。流石に今からじゃ〜、東大には入れないよ〜。」


夏月の怒涛の突っ込みも虚しく、さっきの春斗の補足に対してワンテンポ遅れて太陽が物申してきた。


「そ、そうか?それは悪かった。ちょっと話を盛り過ぎ───」


「精々ハーバードぐらいにしか入れないよ〜」


「まさかの上方修正!!」


いや、まぁ、多分普通に入れるだろうけど。


「……なぁ春斗、ちょっといいか?」


太陽と春斗の茶番が終わったところで、ようやく視力が回復した夏月が太陽と舞に聞こえないように、声を潜めながら春斗に話しかけてきた。


「ん?どうした?」


「なんか式が終わってからお前ちょっとピリピリしてね?」


「────」




図星だった。




理由は勿論、在校生代表挨拶で登壇した生徒会長───神谷光太の事だ。


あいつの存在が頭から離れず、自然と表情も険しくなっていた事だろう。更に、夏月に対して平常時より当たりが強くなっていた気もする。主に物理的な意味で。


「まぁ式中に何があったか知らねぇけど───」


「てかお前ほとんど寝てたもんな」


「…………………式中に何があったか知らねぇけど」


「スルーすんなよ!」


「いやほら、ちゃんと途中で起きたじゃん?」


「太陽が登壇した時にな!あの場の誰よりも背筋正しく真剣な顔で聞いてたもんな!極端か!!」


「まぁまぁ、その話は置いといてだな……何かあったんなら、話ぐらい聞くぞ?」


────こういう時の夏月は本当に真剣に、真摯に俺の話を聞いてくれる。中学の頃はそれに何度も救われた事がある。が、今回はそうはいかない。




今回の件は、夏月が中学に入学する前の神谷と春斗の問題だ。




出来れば、夏月には神谷と関わってほしくない。

夏月の事だ、きっと中学の頃の生徒会長の顔なんて覚えてないはずだと信じたい。




─────覚える必要もない人だ。




勿論夏月が神谷の事を知ってしまう懸念材料はあるが、まぁこちらから話さなければ大丈夫だろう。


「いや、大丈夫。心配かけて悪かった」


「本当に大丈夫なやつは自分から大丈夫なんて言わないもんなんだが………まぁ言いたくないならしょうがないか。けどそれだったら今度からは顔と態度に出ないよう気をつけること。いいな?」


「あぁ、分かってる。今度はもっと上手く的確に目を潰せるよう練習しておくわ」


「そういう事じゃねぇよ!!てかその練習相手って絶対にオレだよな!?」


「……夏月、お前いつから超能力者になったんだ?」


「オレじゃなくても分かる気がしますけどねぇ!!」


「2人とも〜、何をコソコソ話してるのかな〜?」


「「!!!!」」


突然の太陽乱入に2人は心臓が飛び跳ねそうになったが、すぐに平静を取り戻し───


「ひまわりしゃん!?ななななななんでもないざますわよ!!?よきにはからえ!!」


あ、うん、夏月はいついかなる時も太陽の前では無理だったね。知ってた。


「折角4人でいるんだから私達も会話に混ぜてもらえると嬉しいな、なんてね」


太陽の後ろからぴょこんと顔を覗かせ、そう言ってきたのは舞だ。


「確かにそうだな!わりぃわりぃ!俺と春斗がラブラブ過ぎてぐぼぁあああああああ」


変な誤解が生まれそうだったのでその芽を速攻で摘んでおいた。因みに今のは脇腹への一発である。


「まぁ大した話はしてないから気にしないで。ちょっとした私情と言うか───」


「そういえば〜、この高校の会長さんて〜、私達の中学でも〜、会長さんやってた人だよね〜?」


「─────ッ!!」


春斗が話を誤魔化そうとしたところで、太陽は春斗にだけ聞こえるようにそう告げてきた。




これが春斗が考えていた懸念材料である。




夏月は覚えていなくとも、天才の太陽は当然の如く覚えている。


「太陽……それは───」


「もう!今度は春斗くんと太陽ちゃん?一体何の話をしてるの?」


「おぅおぅおぅ!!春斗ぉ!!ひまわりさんとコソコソ何を話しててやんでぃ!?」



これはマズイ。



2人には───特に夏月には神谷の事を知られる訳にはいかない。太陽が言ってしまう前になんとか別の話で誤魔化して───


「春斗ちゃんと〜、夏月ちゃんは〜ラブラブだね〜って話だよ〜」


「いや違うからね!?………待って舞!その目やめて!!本気にしないで!!」


誤魔化すのと同時に余計な誤解も生まれたが、そんなこんなで自分達の教室の前まで辿り着いたのでこの話は強制的に打ち切りとなった。



────今の様子からして、太陽も夏月に言うつもりは無いらしい。



取り敢えずは、一安心だ。





────────────────────────




「親睦会をしよう!」


「親睦会って漢字で書けないやつが何を言ってんだか」


「それ今関係なくね!?それにほら!ちゃんと書けるぜ!ドヤァ!」


『親陸会』と書かれた紙を春斗に見せながらドヤ顔をする夏月を、春斗と舞は真顔で見ることしか出来なかった。太陽はいつも通り微笑んでいたが。



────本日は入学式という事もあり、2、3年生の一般生徒は休みで学校にはいない。


登校してるのは入学式の準備や後片付けを任されている生徒会の面々と、野球部やサッカー部といったグラウンドでの部活動を行っている生徒のみである。


そして入学式自体は午前中に終わってしまうので、新入生はお昼前に放課となる。


そしてその有り余った放課後の時間を使って、親睦会をやろうと言い出したのは他でもない、夏月だ。


「まぁ夏月のバカは今に始まった事じゃないから一旦置いといて……親睦会って、この4人でか?」


「おぅともよ!今日会ったばかりの舞さんの事をオレ達はまだよく知らないだろ?同時に舞さんもオレ達の事は分からないわけだ!そして午後からこれだけの時間が取れる機会はそうそう訪れないわけだし、この時間を有意義に使おうと思ってのオレの提案さ!」



確かに。夏月の言う事は一理ある。


太陽と仲が良いから俺達も自然と舞と話をしてはいるが、舞の事は知らない事ばかりだ。




────桜とあまりにも似ているから話しやすいってのもあるが。




それに学校終わりでこれだけ時間がある日はそうそうやってこない訳だし、ここは一つ。夏月の提案に乗っかってやりますか。


「夏月にしては良い提案だな。俺は構わないけど……2人はどう?」


まぁここで2人に断られてしまえばこの話はここでお終いなのだが。


「私も〜、全然大丈夫だよ〜。」


手を合わせながらいつも通りの微笑みを浮かべ、太陽が参加の意思を告げるやいなや夏月が分かりやすくガッツポーズを決めていた。てかむしろ夏月の大半の目当ては太陽なのでは。


「私も平気!みんなともっと仲良くなりたいと思ってたから嬉しいな」


そう言って、本当に嬉しそうな表情を浮かべた舞が参加してくれる事が決まり、本来の目的が果たされそうで春斗は一安心。親睦会が開けないと話が進まないので作者も一安心だ。


「ではでは!場所は最寄りのファミレスで!オレは昼飯も兼ねてるつもりだけどみんなはどうよ?」


「あぁ、俺もそのつもり」


「私も〜」


「私もお昼はそこで食べようかな」


斯くして、昼食兼親睦会の開催がここに決定した次第で相成りましてございまする。




────────────────────────





「おやおやー?そこにいるのは立花くんじゃないかなー?」


「──────ッ!」


親睦会の為に、場所をファミレスへ移動させようと下駄箱のところまで来た4人の前に現れたのは、左腕に『会長』の腕章を付けた銀縁のメガネにオシャレ七三分けの髪型の美少年────神谷光太だ。


「……3人共、先に行っててもらえる?」


「え?何言ってんだ───」


「行こ〜、夏月ちゃん。舞ちゃん」


春斗が3人をこの場から離れさせたい意思を汲んでくれた太陽が、半ば無理矢理舞と夏月を引っ張っていってくれた。正直、ありがたい。


「え、ちょ、太陽ちゃん?」


「どどどうしました?ひひひひひまわりさん!!?手が!手がぁあああああ!幸せになるぅううううう!!」


いやどんな叫びだよ。


「別に僕としては他の人が一緒でも良かったんだけどー?」


「は?ふざけんな。俺が嫌だからに決まってんだろ」


「ふむ……じゃあちょーっと場所を移動しようかなー?」




────────────────────────





────連れて来られたのは2年生の教室がある棟で、先述した通り一般生徒は休みなため人の気配が無く、がらんとしている。


その中の「2年B組」と書かれた教室に招き入れられた春斗は───正直今すぐ逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。


「さてさーて、改めて………久し振りだね、立花春斗くん?」


教室内の真ん中あたりの席で出入り口側に体を向けながら座り、銀縁のメガネのブリッジの部分を中指で持ち上げながら、神谷光太は春斗にそう語りかけてきた。


「何フルネームで呼んでんだよ。気持ち悪ぃ」


対する春斗は神谷の正面───出入り口に一番近い列の真ん中に、神谷と対面するように座っていた。


「手厳しいねー。僕と立花くんとの仲じゃーないか」


「無駄に友好的に接するんじゃねぇよクズが。単刀直入に聞く。何が目的だ?いきなり話しかけてきやがって……」


───声のトーンを落として挑発的に話しかける春斗だが、内心神谷に対して酷く怯えていた。それを必死に隠すように自然と口が悪くなる。


「何が目的…ふーむ、そうだね。旧交を温める為に───」


「うぜぇ。さっさと本題に入りやがれ」


一秒でも早く会話を終わらせたい。3人を待たせているのもあるが、春斗自身が神谷から離れたいというのが大半の理由だ。



「本題……なんだけどねー。本当にただ久し振りに会った立花くんとお話がしたくて声をかけただけさー?」



「………は?」



ふざけるな。ふざけるなふざけるなふざけるな。

いきなり話しかけてきて、こんな所に連れてきて、それが目的だと?は?何を言ってるんだコイツは。


「てめぇ……自分が俺にした事……まさか忘れた訳じゃねぇよな…?」


「勿論覚えているとも」


「─────ッ!!あんな事しておいて!!よく平然と話しかけて来れるなぁ!!お前、自分がやった事ちゃんと分かってんだろうな!?」


自分が座っている席の机を拳を固めた手で叩き、声を荒らげる。


────春斗に対しての嫌がらせは、間違いなくこの目の前の神谷の指示で行われていた。

確かに桜と付き合い出した事で、嫌がらせ自体はピタリと無くなったが、無かった事にはならない。今も春斗にとってはトラウマとして刻まれている。


「あんな事しておいて………か……」


余裕そうな笑みを浮かべていた神谷は直後、表情を殺し、あまりにも冷た過ぎる目で春斗を射抜き─────



「それはこっちの台詞なんだけど?」



憎悪を込めた声で、そう告げてきた。




───刹那。




唇が急速に乾き、暑くもないのに春斗の背中から汗が浮き出てくるのが分かった。



神谷が春斗に向けている目から伝わる───圧倒的な殺意。



日常生活で、これ程明確な殺意を向けられる事など無いに等しい。


極度の緊張状態で、何も言えない春斗に対して神谷は更に言葉を続ける。




「彼女を……桜を殺しておいて………よくこうして人前に出てこれるな?」


「───────」



何も、言い返せない。緊張状態だからではない。





それが紛れもない事実だからだ。





春斗自身が直接桜に手を下した訳ではないが、桜が死んだ原因は間違いなく春斗自身にある。


分かっている、解っている、判っている。


その事については、2年の月日を重ねてようやく春斗自身が向き合えるようになった過去だ。


────だが、それを直接誰かから言われる事がこれ程辛いとは思わなかった。


春斗の周りでは、誰も春斗を責めなかった。誰も春斗を咎めなかった。誰も春斗を苛まなかった。




────誰もが、春斗は悪くないと言った。

 



甘えていたのだ。


ぬるま湯に浸かり、周りの優しさに依存し、その環境下で自分の過去を精算出来たと思い込んでいただけだったのだ。



しかし、実際は違う。



今こうして目の前に春斗に対して『お前のせいだ』と言う人が現れた事実が、まだ春斗が罪を精算仕切っていない証左である。


「何も、言い返さないんだね。君は」


「………」


「ふむ……なら、もういい。僕はここで失礼させて────」


「お、前は……」


出せなかった声を、なんとか絞り出しながら春斗が神谷に問いかける。目は、見れない。


「……何でここまで、俺に対して、敵意を向ける……?お前は、桜の、何なんだよ……。ただ桜に対して、好意を抱いてるやつ、にしては、おかし過ぎるだろ」


自分の胸の前で拳を固めながら、声を途切れさせながら、春斗が今まで疑問に思っていた事をぶつける。しかし────



「ふむ……そうか。君は、まだ何も知らないんだね」



「……は?どういう──」


「会長」


───と、神谷に対して再度問い質そうとしたところで春斗から見て右の、教卓に近い方の扉から女性の声が響いた。


「探しましたよ。こんな所にいらしたんですね。もう直ぐ会議が───あら?」


教室に入ってきて神谷に話し掛けたその女生徒は、教室の外からは完全に死角の位置にいた春斗に気付き、こちらに顔を向ける。



黒髪を腰の位置まで伸ばし、頭の上には緑のカチューシャを付けている。藍色のメガネを掛けたその顔を見た春斗の第一印象は『クールビューティー』と言ったところだろう。睫毛が長く、鼻筋の通ったその顔立ちは10代にしてはとても大人びた印象を与える。勿論老けて見える訳ではなく、女性として既に完成しているように感じた故の印象だ。身長は太陽と同じぐらいで、左腕の腕章に『副会長』と書かれているのでつまりはそういう事だろう。リボンの色は神谷と同じ『赤色』なので2年生である事が分かった。



「やーぁやぁ、柳くんじゃーないか」


「申し訳ありません。お取り込み中でしたか?」


「いやいーやぁ?全然構わないよー?たーった今、会話が終了したところさー」


そう言って立ち上がった神谷は、『柳』と呼ばれたその女生徒の方へ向かって歩き出し、そのまま教室を出て行こうとした。


「なっ…!ちょっと待てや!!まだ話は───」


「終わりだよ、立花春斗くん。()()()()話す事は、何もない」


春斗に対して、本気で興味が失せた冷たい目を向け、もう何も話す気は無いらしい。


「てめぇから俺に話し掛けといて………ふざけた事、抜かしてんじゃねぇよ!」


春斗も席から立ち上がり引き止めようとするが、その動きを神谷が目で制す。


「……よろしいのですか?役員の方には、私から会長は遅れて参加すると報せておきますが」


「いーやぁ?もう話は終わったよ。……もう少し、有意義な会話が出来ると期待してたんだが……僕の見込み違いだーったようだ」 


そう言い残し、春斗から完全に目を離して教室を出て行ってしまった。


続いて女生徒───柳も春斗に目礼だけをして神谷の後を付いて行ってしまったので、教室の中には春斗一人だけが取り残される形となった。







「はぁぁ………」


深く溜息をついて、全身の力が抜けたようにさっきまで座っていた椅子にまた腰掛ける。


緊張状態からの開放と、神谷が残していった意味深な言葉の訳の分からなさに項垂れるしか出来なかった。




『君は、まだ何も知らないんだね』




「何の話だよ……クソが……」


取り敢えず、今は考えても何も意味がない。


先に校舎を出て行った夏月達に『今から向かう』とだけ連絡を入れておき、春斗も教室から早々に立ち去った。





────────────────────────





「会長、先程の彼……1年生の様でしたが、以前からお知り合いだったんですか?」


「まーぁね、同じ中学出身のちょーっとした知り合いだよ」


「ちょっとした知り合い……ですか。彼の反応を見る限り、あまり良好な関係では無かった様に窺えますが……」


「まーさにその通り。彼と僕とじゃ水と油、犬と猿さ」


「それは……意外ですね。会長は誰とでも良好な関係を築ける方だと思っていたので、正直驚きを隠せません」


「普通はそーうなんだけどね?彼は……普通じゃないからさー。…………勿論僕もだけど」


「……?申し訳ありません。最後がよく聞き取れなかったですが───」


「おーっと、もうこんな時間か。少し急ごう、柳くん」


「……はい、そうですね。走らず急ぎましょうか」




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