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10+1(イレブン)ナイン  作者: あまやすずのり
そして始まる大問題
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そして始まる大問題 1-08

 午前の眠たい授業を何とか乗り越えた学生達が待ちに待った時間

 それが昼の休憩時間。

 大山高校でも例外ではなく、学食、購買がとても賑わい

 喧噪の絶えない現場が徐々に増えていく。

 そんな学生の戦場とは遠く離れた場所、

 自分の教室で昌也は一人弁当を広げ昼食の準備していると、

「あっ、お弁当持参なんだ」

 昌也に本日三度目の声掛けを行う者がいた。

 えへへ、と微笑みながらまたも後方に千尋を連れた梢がそこに立っていた。

「……まぁ今なら話せる、わな」

 今まで散々邪魔、基防衛された話を聞きたそうにしている梢に

 昌也はため息で答える。

 その仕草を肯定と捉えた梢は早速近くの机を昌也とドッキングさせると

 続いて千尋も手招きし一緒に弁当箱を広げた。

「野田君もお弁当なんだね」

「あー昌也でいいぞ、俺も梢って呼ぶから」

「おっ、話が分かるねー、じゃあ昌也君で」

 そう言いつつ梢がチラリと千尋へ視線を投げる。

 その意図に気づいたのか、ひぇっと小さく声を上げながら

「わわわ、私は野田君、で……」

「えー千尋も昌也君って呼べばいいのにー」

 ぶーぶー文句を言う梢にここは昌也が助け舟を出した。

「まぁ、呼び方なんて人それぞれだし、構わんよ、山辺さん」

「あっ、えっと……山辺、でいい、です……」

 消え入りそうな小さな声と俯いた顔で少し対応に困る昌也。

 しかし、本人がそれを望むならと

「分かった山辺、よろしくな」

「あっ、は、はいっその、野田君」

「むふふ、ええのぅええのぅ」

 少し照れながら答える両者をまるでお見合いの席の仲人のような

 にやけた笑顔で梢が茶化す。

 その結果千尋は真っ赤になりながら更に俯き、

 逆に昌也がやれやれと呆れながら弁当をつつき始めるのだった。


「へーなるほどなるほど」

 梢がお手製のたこさんウィンナーを口に頬ばりながら

 相槌を打つ。

 昌也が話す内容、ノーボールツーストライクながらも打ちにいった理由、

 それは実に分かりやすくかつ捕手らしい見解の話だった。

「まぁ結果的に俺の読み勝ちだったわけだ」

 正直、こんな話女子が聞いてもおもしろくないだろうに

 二人とも食い入るように聞いてくれたため

 昌也もどこか満足しながら話を絞める。

 午前中からずっと気になっていた内容を聞き終えた梢は

 喉を鳴らし口内を空にしながら笑顔を見せた。

「なるほどなー、勉強になるなー、はいごちそうさまでした♪」

「……本当にそう思っているのか?お前」

 話に満足した、というより

 お腹が満たされた事による微笑みに見えて仕方ない昌也が突っ込み、

 ふと、梢の言葉に違和感を覚えた。

 だがそれも一瞬、すぐさま疑問に変えながら口にする。

「勉強になる、って野球でもしてるのか?」

「あれ?言ってなかったっけ?」

 昌也の言葉に横で未だ食事中の千尋へとなぜか二人の視線が集中する。

「ふえっ!あっ……う、うん、まだ言ってなかったと思うよ……」

 昌也だけでなく梢にまで注目された事に驚き

 食べ物を詰ませながらも

 千尋は今までの会話を思い出し答えていた。

「あーそっかそっかー、なら話は早いね」

「何がだよ……」

 その場でウンウンと頷く梢にどうにも嫌な予感しかしなかった。

 ここまでの行動や言動からきっと面倒な事になる、

 野球で培われた野生の感で昌也が腰を上げる。

「あれ?う〇こ?」

「へっ!えっ!えぇっ!」

「お前は……」

 どうやらこの佐々田 梢という人物

 一筋縄ではいかないようだ、心の中でそう確信しつつ

 小という訂正をしてその場を後にする昌也だった。

こんばんわ、作者です。


比較的緩やかだった8月を過ぎ

個人的に忙しくなる秋口、皆様いかがお過ごしでしょうか。

私は夏の暑さに日々体力を奪われながらも

何とか……何とか頑張っております。

まぁ、この連載には関係無いことではありますが、ね(笑)

正直、本当に趣味で書いているお話なので今はとても楽しんでおります。

なのでこの状態が続く限り今後も……うん、連載していきますよー


ここまでお読み頂きありがとうございます。

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