そして始まる大問題 1-07
午前の授業の合間に訪れた休止時間、
その間にトイレに行く者、次の授業の準備に勤しむ者、
空かせた胃袋を満たす者と様々な行動を起こす学生。
そんな中、転校してきたばかりと
先ほどの自己紹介事件もあり
昌也は一人端っこの席で欠伸を噛み殺しながら
ボーっと窓の外を見て時間を潰していた。
外は快晴、薄く伸びた白い雲が時折ゆっくりと風に流れる。
代わり映えしない景色に少々瞼が落ちかける。
次の時間の合間まで机に突っ伏して寝てもよかったが
流石に転校初日の学生がすることではないな、
と変なプライドで我慢していると、
「野田君っ!教えてっ!」
不意に耳に届いた音に意識が冴え、
大声で名前を呼ばれた方へと視線を向ける。
そこには聞き覚えがある、
むしろ高校生活で一生忘れないであろう出来事の主
佐々田という女性が気の弱そうな女性を引き連れながら
昌也の机まで近づく姿が見えた。
これから起こる事が容易に想像出来、
小さくため息をつきながら昌也は答える。
「えっと、佐々田さん、だっけ」
「あっ、梢でいいよ、それでこっちが千尋」
「えっ!あ、う、あの……山辺千尋、です……」
唐突に名前を呼ばれた千尋と呼ばれた女性がびっくりしながらも
いちおの自己紹介をする。
その仕草を気にする事なくとりあえず挨拶をすませた昌也へと
再び梢は自分の疑問を押しつける。
「それでっ!あの場面だけどっ!」
「まぁ、あれはだなぁ……」
「こ、梢ちゃん……」
答えようとした矢先、今度は千尋が梢の制服の裾を引っ張り訴えていた。
その瞳はどこかおびえていて
気になった昌也は視線の先を追いかけ驚愕する。
「もう、待ってよ千尋、って野田君もどこみ……」
ニッコリ、
笑っている、梢が見た第一印象がそれだった。
なのに背筋には驚愕するほどの汗が滲みだしており、
危険信号で脳内パニックが起きようとした瞬間それはやってきた。
スパーンッ!
女性とは思えないメガホンでの見事なフルスイングに
梢の脳が激しく揺さぶらその場に倒れこむ。
「さぁーさぁーだぁー、時間はー、守れー♪」
気絶しているため確実に聞こえていない、
それでも教師として注意を怠らない原口に
昌也は内心学校選択を間違えた気がしてならなかった。
こんばんわ、作者です。
夏休みも終わり、徐々に忙しくなってきた中
甲子園も終わり、プロ野球も終盤
この連載も野球関連、ですがまだまだ野球しません(笑)
まぁその辺はお楽しみにして頂ければ、とハードル上げつつ
今後もよろしくお願いします。
ここまでお読み頂きありがとうございます。