そして始まる大問題 1-02
鳥が囀る森が並ぶ舗装された道を青年が自転車で走る。
今日は若干曇り空で少し肌寒いが
それでも走っている内に次第に体が暖まっていく。
「この辺りから、かな」
見た目は平坦に見えるが
足に込める力が少し上がるのを感じ、
使い慣れたマウンテバイクのギアを上げ
徐々に上り始める道に対応する。
時間にして午前7時頃、だが車の数は少なく
また、同じような自転車登校者も見あたらないので
とても走りやすかった。
「っと時間も……よし、ちゃんと計れてるな」
ふと不安に駆られ確かめた腕時計。
そのデジタル部分はせわしなく数字が移り変わり
確実に時を計測している。
今日から毎日通うことになる道、
初日にしっかりとタイムを計るのは
今後に活用するため、
自分自身のために必要な事だった。
「今日は初日だし無理のない程度、っで」
辛さを感じ始めた足へ檄を飛ばすように
立ち漕ぎへとシフトしスピードを緩めることなく進む。
足を蹴るたびグッと伸びる自転車。
それをリズムよく刻み込んでいく。
徐々に失われるスタミナ、
程よく火照った体からにじみ出る汗、
疲れを感じる感覚、だが青年には心地よかった。
少し前まで忘れていた脳への刺激が
徐々に体自身から滲み出し、興奮する。
「むっ、そろそろ左、だな」
しかし、そんな余韻にふける間はそれほど無く
頭の中で覚えた道を辿っていく。
そして、やがて見えてきたのは一つの大きな校舎
「…ん?」
目的地である学校を目の前でとらえた辺りだった。
ふと、視線の端に映った二人の影が気になり、
足を止め通り過ぎた後方へと視線を向ける。
真新しいフェンスで囲まれた広大な土地。
そこそこ整備された土のグラウンド、
綺麗に引かれた白い白線、そびえ立つマウンド。
外野にはご丁寧に芝で出来た観客席と
控えめに立てられたバックスクリーン。
珍しい、と青年は思った。
学校の近くに小規模ながら十分すぎるくらいの
球場が存在していたのだから。
おそらく野球部専用のグラウンド。
田舎で土地が余ってるとはいえ
ここまで整備されたグラウンドを持つ学校はなかなかない。
それこそ名門野球部ならいざしらず、
今日から通う高校で少なくとも青年は野球部が強豪という
話しは無かった。
(ま、だから転校候補にもなったんだが)
そんな事を思い出している青年の視線に影が走る。
よくよく見ると青年と反対側のフェンス際で
二人の女性がキャッチボールをしていた。
どこにでもある普通の光景、
だが青年の目には飛び交うボールに集中していた。
「へぇ……硬球、か」
女子でも硬式野球は珍しくなくなったが
それでもまだマイナーな部類ではある。
ましてはこんな田舎でそれを拝む事になるとは、
そんな事を思い、女性の手から放たれるボールへとまた戻る。
相手の胸元へしっかりとした球が走り収まる。
そして返されるのはヘロヘロボール。
女性の手前でワンバウンドした球をきっちりと拾いまた投げる。
「ふむ……」
パッとみ、練習としてはどうかと思う光景。
でも、しっかりと自分のバランスを確かめるように行っている。
なかなかどうして、
「っと、やばいやばい」
そして思い出す、自分が未だ登校途中だった事を。
それにあまり注視してては不審者と間違われても困る。
そう思った青年は最後にもう一度軽く視線を送り
「うん、悪くない」
一人小さく感想を呟き
イソイソとその場を後にしたのだった。
らくてーんいーぐるぅーす♪
らくてーんいーぐるぅーす♪
そんな訳で未だなんとか首位をキープしてる楽天ですが
明日からオールスター前の首位攻防戦第1ラウンド
実はオールスター直前にもソフトバンクさんと直接対決がありまして……
しっかり勝ち越して首位ターンを決めて欲しいものです。
頑張れっ!イーグルスっ!
ここまでお読み頂きありがとうございます。