水曜日
「魔王さーん、今勇者が城に入って行きました-。」
「あ、マジッスか。連絡、あざーっす。」
城の外にいたモンスターからの連絡ッス。
蘇生料、無事払い終わったみたいッスね。
城内で伝説の剣ゲットして、乗り込んで来る勇者。
「なかなかやるな、勇者よ。だが、この程度でいい気になってもらっては困る。」
「なっ、何っ!? 第二形態だと!?」
みたいな展開があってこそっしょ!
まぁ、第二形態ないけど、オレ様。
てな感じで、今日こそ世界をこの手に!
重い扉がゆっくりと開き、姿を現す勇者。
手にするのはもちろん……
「何で呪いの剣装備してんスかっ!」
「何か妖しげな遺跡の中で見付けてさぁ。鋼のオノより断然攻撃力あるから装備してみた。どういうわけか、HPガンガン減るけどな。」
「呪われてるからッスよ! 残りHP1桁じゃないッスか! 回復アイテムは?」
「使い切った。回復呪文もMP足りなくて無理。」
「とりあえず別の武器に替えて……ああ、教会行かないと外せないか、呪い装備。」
「え、そうなん?」
「そ・う・な・ん・ス・よっ!」
「そっかぁ。じゃあ、ちょっと教会まで戻ってくるから、待ってて。」
「ストーップ! 動いたらヤバいッス。」
「平気平気-。HPゼロじゃないんだから、敵に合わないように行けば大丈夫だって。」
「いやいや、その呪いの剣、1歩ごとにHP1ずつ減る……って、あーあ。」
よい子のみんなは、人の話、最後まで聞こうね。