始業〜始まりはいつも問題あり!〜
授業が始まったのはナナが現れてから3日後のことだった。入学式の後から授業が始まるまでの間に開拓者の子いや、生徒は学校内の設備や教室をみて回ったりした。流星学園の授業のやり方は完全移動教室を取っている。例えば1時間目が魔道基礎の授業なら、生徒がその教室に移動するということだ。そのため朝と昼休みしか教室に全員が集まることはないのだ。聖民を抜いた全聖民軍候補生506名を3つのクラス分け(ひとクラスあたり168名)、1つの教科を1日かけて行うのだ。(ただし希望教科を受ける生徒は半分は希望教科を受けるか1日中希望教科を行うかを選択する)
教科は
魔道基礎
上級魔道(希望教科)
体術基礎
戦闘基本(希望教科)
総合武器基礎
の5つだ。基本は魔道基礎、体術基礎、総合武器基礎の3つだが希望すれば上級魔道、戦闘基本を受けることができる。授業に出ることが基本だが、出なくても退学処分などはない。だが、魔道基礎や体術基礎が満足にできないものでも、反国家対応や開拓者の対応に出動させられる(ナナの強制転移によって敵の半分と味方の半分をランダム入れ替える)ため、1つ間違えば死に繋がるのだ。
〜授業開始日〜
初日の授業は1組はレンの魔道基礎
2組はルイの体術基礎
3組はカインの総合武器基礎
を行うことになった。この日は希望教科の受講者はいなかったためナナは学校警備にあたった。
1組・魔道基礎
「では、魔道基礎の授業を始めます」
「お願いします
初日にして全員の声がそろうなんて珍しいクラスだと思った。この世界の人はたいてい協調性がないのだ。
「まず最初に教科書の368ページをみてください」
「そんなページありません」
「封印魔法がかけてあります。それを解くことが最初の課題です。期限は今日中です、ただし、この教室でやるのは禁止します。解く際は必ずこの教室でといてください。以上!」
「呪いから解かれし竜子よ、我に力を貸せ!ライト・ドラゴンJ。この本の呪いを解きたまえ」
「そんなんじゃ無理だぞ〜」
「エルネス・フラン・ライトネス」
「それでも無理だろうな」
この教科の狙いは教科書から答えを見つけようとする詮索能力の発達だ。
2組・体術基礎
「それでは授業を始めます」
「お願いします」
「早速ですが、みなさん私に攻撃してきてください。みなさんは魔法以外なら何を使っても構いません。
「私は、弾くか躱すしか流すことしかしません。誰か1人が私の体を地面につけさせることができれば貴方たちの勝ちです。ですが全員が私を倒せなければ貴方たちの負けです。では、スタート」
声と同時に2人の男子が向かっていった。だが1人は足を掛けられ転倒しもう1人は勢い余って転んでしまった。
「言い忘れましたが、一度身体が地面についたらその人はそれで終わりです。戦場で背を向けば死にますからね」
話の途中にも何人かが向かっていったがほぼ全て弾かれてしまっていた。また1人また1人と攻撃するが誰1人として倒すことはできなかった。そんな中1人の生徒が
「みんな伏せろ!」
と言い、棒状の何かを投げた。それを片手で受け止めたルイは驚いていた。
「中々良い案でしだが声を出してしまったのが残念なところですね」
「わざとだよ、先生」
ルイの後ろからピュッと音がするとさっきのものより細い棒が飛んできた。ルイはそれを両手で止めた。躱すこともできたが、ルイが躱せば彼にそれが当たる。初日に怪我などさせればそれは大問題になりかねないと判断したのだ。
「チッ、勝ったと思ったのに」
「君、名前は?」
「ミカエラ・エルメスだ」
「ミカエラ君か…」
この教科の狙いは新たな戦術を見つけ勝てない相手にもひるまず突き進む勇気をつけることだ。
3組・総合武器基礎
「授業を始めます」
「お願いします」
「今から全員に木刀を配る。しばらくはこれで授業を行う。入って気づいた者もいるかもしれないが、こ
の教室にはマジックフィールドが展開されている。マジックフィールドはこの部屋と君たちを守るためのものだ。マジックフィールド展開中はどんなひどい怪我をしてもマジックフィールド解除と同時に無かったかとになると言う優れものだ。だが、安心してはならない、怪我をした者は、もしこれが戦場なら間違えなく生きていないと思え」
「はい!」
「ってマニアルに書いてあったから言ったけど心配しなくて平気だよ。ここでは自分の身を武器を使って守るための授業だから」
「じゃあ、人は死なないんですか?」
「使い方を間違えれば死にます。敵であろうと味方であろうと一緒です。だから僕は君たちに間違った使い方をしないようにする為に授業をします」
「どんなことをするんですか?」
「魔法を放つ詠唱時間を稼ぐのが武器の役目です。あとは詠唱中の攻撃に対応するのも武器の役目です。その為には武器がしっかりと使えなければいけません。それを覚える為の実習?をします」
「使うのはずっとこの木刀ですか?」
「いえ、いずれは本物になります。それに刀のほかに銃や弓など様々な武器が増えます。その中で1番自分に合ったのを見つけてください」
説明も終わり授業を始めようとすると、後ろからナナが近づいてきた。何か起こったのだろか?ナナは今日は学校警備をしていたはずだ。
「何かあったんですか?ナナさん」
「エンバール王国の国王から入電だ」
「ナナさん、武器総合基礎任せていいですか?」
「あぁ、任せろ」
「じゃ、お願いします」
カインは急いで職員棟に戻った。しかしそこにはさっき授業を頼んだはずのナナがいた。
「どうした?」
どういう状況か理解できなかった。すると棟全体が大き揺れ、窓の外が赤い光に包まれた。カインが気
づいた時にはもう遅かった。カインがナナに話しかけようと振り向いたがそこにナナの姿は無かった。