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ジャッジメント育成学校〜危機再び〜

新たな人物が出てくるかもしれません!

 ジャッジメントが結成されたと言っても半分は下級魔道士だ、しばらくはカイン、ルイ、レンの3人で公務を行わなければならない。さらに育成学校《流星魔道学校》の講師も務めなくてはならない、レンに関してはカインとルイにも教えるのだ。とても3人ではやっていけないと言うことで、制裁者ジャッジメントとは別に今現在、国家を守っている国家防衛本部に援助依頼をしにきていた。


「この国の防衛を行うには人数が足りません、そこで、国家防衛本部からも数名貸していただけませんか?」


国家防衛本部の人間は魔法は使えないが武器の使用や体術なら制裁者以上だ。国家防衛本部長ハイル・エルサムは高らかに笑ったあとでカインに伝えてきた。


「国の防衛のために結成された制裁者ジャッジメントからこのような依頼がくるとは思いませんでしたよ」


こいつは侮れない男だ。隙を見せようものなら一瞬にして畳み掛けてくる。そして最後には依頼だけなくその依頼をした組織全体を潰すのだ。が、その分こいつの指揮官としての能力は人間を超えていると言っても過言ではない。軍隊を動かせば国ひとつを一軍で壊滅されられると言われている。(と言うか実際に壊滅した国が多々あるのである)


「国を守るための組織では有りますがまだ結成したばかりで魔力も武力もないのです」

「それを教えるために学校を作ったのでしょう?少し行動が遅いのでは?」

「学校が完成したのは一昨日、入学式は昨日、生徒の魔力を調べたのも昨日です」

「もっと早く調べられたのではないですか?」


 カインはこの言葉を待っていたのである。ハイルは相手の足元ばかり見ているせいで自分の隙に気づいていないのだ。


「国家防衛本部によって収容されている開拓者及び開拓者の子供との接触は学校完成まで禁止されていましたから、昨日より早く調べるのは不可能です」

「なっ…そうでしたか、それは大変失礼いたしました。では今日から援助部隊を派遣いたします」

「よろしくお願いします」


 カインはこうなることが大体予想できていた。ハイルの弱点は事実を突きつけることだ、それには逆らうことができない。だからカインは学校完成の数日前から事実調査を行なっていた。その結果が今日に反映される形になった。だが、問題はまだある、援助部隊が来ても、街の護衛しかできないと言うことだ。さらにこの間のように魔道士が攻めて来たら援助部隊でもハイルの本軍でも歯が立たないだろう。そうなると制裁者が出動しざる負えないのだ。結成仕立てのジャッジメントはまだ戦うには早すぎる。かと言ってカインたち3人で応戦しては学校を守るものがいない…最低でもあと1人、高度な魔法を使える魔道士が必要になる、でもこの国の魔道士はいない。他国から来てもらうしかないがジャッジメント結成は320の国で行われている、ほとんどの国が魔道士不足で困っているのだ。そんな中で魔道士の派遣要請を出せばアルスタ王国は世界から攻撃されてしまうだろう。ある程度の仕事は2人いれば何とかなると思っていたがそれは大きな誤算だったらしい。


“レンさんの時みたいなラッキーは起きないものか…”


カインがそう心の中で言ったとき


「また会ったな、カイン大総統閣下」


 あのとき学校を襲った魔道士だ。カインはとっさに詠唱を始めた


「徘徊する魂よ、我が元に集まり我を守れ、”亡霊の嘆き”」


 しかし詠唱が終わる頃には相手の火炎弾が目の前に迫っていた。亡霊の嘆きでは防ぎようがない、カイ

ンはまた反射的に目をつぶってしまった、爆音とともに消える亡霊の嘆き、だがカインは生きていたそれどころか傷1つ付いていなかった。振り返っても誰もいない、亡霊の嘆きで防ぎきれるはずがないほどの強力な魔法だったはずなのにカインは生きている、奇跡などではない、明らかに誰かが防護障壁を発動したのだ。だが背後にも前にも人はいない。いるのはフードを被った魔道士だけだ。そこにレンがやって来た。


「カイン!大丈夫か?」

「あぁ大丈夫だ。誰かが防護障壁を張ってくれたらしい」

「いったい誰が…前にも後ろにもそれらしき人はいなかったぞ」

「前後左右、そのわずかな空間しかないのかお前たちには?まるで二次元だな」


声がする方を見ると宙に浮いている女の人がいた。背の高いすらっとした色白でセクシーな美女だった


「浮遊魔法か」


 魔導書に乗っている最上級魔法の1つだ、使える者は国に1人いれば良い方と言われている。自身または対処を浮遊させることができるが、コントロールが難しい魔法だ。それをまるで地面に立っているかのような状態でキープしている。相当練習したか、レン以上の魔力の持ち主かのどちらかだろう。


「久しいなレン。あの時一緒に旅をした以来だな。あの時のおまえはまだ6歳だったな」

「俺と一緒に旅をした?6歳の時?」

「師の名前と顔を忘れるとは…私は悲しいぞ」

「まさか、ナナさん⁉︎」

「私以外に浮遊魔法を無詠唱で使える奴がいるか?」

「俺だな…」


そう言うとフードの男は浮遊魔法を発動させた。


「ほう…レン、こいつは何者だ?」

「わからない、ただそいつものすごく強いよ」

「私以外に魔法を極めている者などいない」


ナナは足元に赤い魔法陣を発動させた。魔導書にも載っていない魔法だとすぐにわかるほどの強力な魔法陣だ。


「覇者の塔!!!!!」


 そう叫ぶと地面からフードの男に向かって土の柱が伸びて行った。男は土の柱を見るとすぐに指をパチンッと鳴らした。強制転換だ。自身を別の場所に転送させられ代わりにその場所から代わりのものを連れてくるのだ。男の代わりに来たのは魔法陣だった。柱はそれに吸い込まれるかのように伸びて行った。しばらくして同じ魔法陣が3人の上にも現れた。ナナはファイナルマジックを使い全魔法を消し去った。多分あの魔法陣からはナナの覇者の塔が現れるのだろう。ナナゆっくりと降りて来た。


「して、こちらの青年は?」

「ユーク・カインと言います。この国の王です」

「王だったのか、あのようなものに襲われるとはあなたも大変だな」

「こいつは制裁者って言う国の護衛部隊のリーダーをやってるんだよ」

「こんなに弱いのにか⁉︎」


 今の状態を見られては驚かれるのも仕方がない。国を守るべきものがたまたまいた女性に助けられるなんて情けないなんてどころではない。


「今、俺が教えてる最中だ」

「お前では話にならんだろ。どうだ国王どの、私を雇ってみないか?」


 レンより強いのであれば断る理由はない。ましてやレンの師ともなればなおさらのことだった。だが、彼女に払う対価もない。


「雇ってもいいのだが、あなたに払うものは何もない」

「では、お前は私から魔法を教わる代わりに私をその制裁者とやらに入れる。これでどうだ?」


制裁者のメンバーは決まっている。今更変えるわけにもいかない。だが、確かに制裁者にいれば最大の戦力になるだろう。


「では、来月行わられる、ジャッジメント就任試験に出ていただけますか?」

「なぜだ?」

「制裁者のメンバーはすでに国民に発表してしまいました。ですから今変えるわけは行きません。そこで


来月行わられる就任試験で勝ち上がったものとして入れば良いと考えました」


「そうか、そう言うことなら納得しよう。では来月の就任試験までに君は私より強くならないと私に王座を奪われることになるな」

「それは困りますね。ちゃんと教えてくださいねナナさん」

「私の指導は厳しいぞ。体を壊すなよ」

「もちろんですよ」


新たにナナという魔道士が来たことでカインの悩みの種は消えかけていた。

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