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天界の終わり

カインたち国保が反国家組織の動きを調べ始めたと同時に反国家組織活動が本格化し始めた。


「反国家組織の過激化....今までとは明らかに違う動きだ」

「まるで共存を拒んでいるかのようだな」

「あちらが拒んでも、俺はしつこくアタックしていくよ。それが国家安全保障連合の未来につながると思っているからね」

「はぁ、まるでストーカーだな」


反国家組織の攻撃が激しくなろうと国家安全保障連合は誰一人として反撃に出なかった。こちらが反撃すれば交渉の糸口は消えてしまう可能性が高いからだ。


「そういえばレンはどうした?あの日以来見ていないが」

「え?あ、忘れてた…まだ天界だ」


天界には現在、法の執行者である天界神、最高神がいないためレンのことは保留となっていた。以前まで代行人としてアルキメデスという法典の王がいたが今は法の執行資格をはく奪され管理者として法を教えていく職に就いている


「一様地上界の王と魔界神代行として引き渡しを交渉してくる」


レンは地上界において作戦参謀、政治的政策などアルスタ王国だけでなく世界規模で活動している。レンが不在の為世界政治は停滞状態になっていた。


「私も同行しよう。天界には少しかしがあってな」

「そ、そうか。じゃあ行こうか」


カインがサタンから無理に奪った。代行受理書にサインすると天界へのゲートが開いた。


「久しいな、あの戦い以来だ」

「貴女のことはあまり聞かないようにしていたが、今回ばかりは聞かせてくれ。貴女は何者だ?」

「貴殿に話すような秘密はないよ」

「秘密しかないだろう?」


実際カインはナナのことを一切と言っていいほど知らなかった。天下の大魔導士、世界の英雄などと呼ばれているナナだが、ナナが何者なのかはカインたち国保のメンバーは聞かされていない。


「まぁ気にすることではないさ」

「はぁ…」


ナナのことを聞こうとするといつもこのようにはぐらかされてしまう。それはナナが過去を知られたくないだけなのか、それとも知ったところでどうでもいいことなのか。どちらにせよ話したくないことを無理に聞くのは、やめることにした。


「しかし、天界神も最高神も居ないのによく天界はその自治機能を保っていられるな」

「天界は地上界や魔界と違って兵団だけじゃなく各作業にリーダーがいるからね。最終判断を行うのが最高神や天界神だから、最悪最高神や天界神がいなくても活動はできるんだよ」

「なるほどな」

「お待ちしておりました。魔界神代行及び地上界王様」


カインとナナがゲートを抜け進んだ先にいたのは法の管理者、法典王アルキメデスだった。どこから情報を手に入れたのか分からないが、アルキメデスは今日ここにカインたちが来ることを知っていたようだ。


「お待たせしたことお詫び申し上げる。早速だが天界第一権力者レンについて聞きたい」

「ここではなんですから、どうぞ中へ」


アルキメデスが立っていた後ろにある扉が誰が開けたともなく、ギィっと音を立てて開いた。その先は応接間のようになっていたが、壁には溢れんばかりの本が綺麗に並んでいた。


「付き人の方もどうぞこちらへ」

「紹介が遅れてしまいましたね、地上界の第七権力者、ニイナ・ナナと言います」

「本来なら第ニ権力者以上のものが来るべきなのだが、なにぶん都合が付かなくてな」

「ニイナ・ナナ…魔界戦線の英雄、ニイナ・ナナ様ですか⁉︎」


やはりナナは天界では英雄として有名らしい。


「あぁ、そのナナだ。その節は世話になったな」

「いえいえ、こちらこそ貴女がいたから、魔界戦線で勝利を収められたのですから」


カインは二人の話をあぜんとし聞いていた。何百年も前にてんかいに負けたといわれただけだった、これと言ってナナを恨むわけではないが、ナナの謎がますます深まったのは言うまでもない。


「二人は知り合いだったのか」

「知り合いも何も、魔界戦戦では共に戦いましたから」

「思い出話はこれくらいにして本題に入りましょう」

「そうですね。あなた方の要求は理解しています。結果を言うならば、あなた方の要求は飲めます」


意外な答えに少しあっせたが要件を飲めるというならそれに越したことはない、早急にレンを回収し停滞している政治を戻さなければならない。


「だったら話が早い、受け渡しを要求します」

「しかし、罪人の疑いがある者を判断なしに受け渡すことはできません」


アルキメデスの言っていることはカインが最初に予想していた答えだった。天界で起きた事件で天界の者に疑いがかけられているのだから天界で判断を出さなければいけない。しかし天界には判断を出せる者がいない。第1権力者なら判断を出すに申し分ないが、今回はその第1権力者が疑われているからそれはできない。


「ではどうしろと?」

「私に判断権限を与えていただきたいのです。そうしてくださればレン様を悪いようにはしません」

「なるほど、では貴方に今回件に限り、判断権を与えればいいと、そう言うことですね?」

「今回に限らず、常に私に権利をくださってもいいのですが...」


あまりにわがままな答えにカインはついに切り札を使うことにした。


「それはできません。それに今回の件についてもう答えは出ています。天界は地上界の代表、ユークカインに天界第一権力者レン、の身柄を受け渡すようにと界議会で決まりました」

「そのような議会が開かれたという報告は来ていません。界を超えての審議や会議はそのかいの代表に通達を送らなければならないルールですよ?」

「とわ言え、天界には通達を送る代表がいませんから」

「しかしながら…」


アルキメデスの言葉を遮るようにカインは話を続けた。


「言いたくはないが言わなければわからないようですね。天界はもはや三界の頂点ではないのですよ。あなたたちの王は、神はもはやこの世にいない。ましてやこの界は地上界の反国家組織と呼ばれる組織と手を組み地上界の破壊と支配をしようとした。三界の頂点としてあるまじき行為だ」


確かに三つの界の頂点に立つのならそれぞれの界を理解し、正しい判断を取る必要がある。しかし天界は自界の法律を主張しレンを拘束した。あの時の状態なら情状酌量の余地はあったはずだ。しかしそれを行わなかった。完全な独裁的判断だ。


「君たち天界が仕切る時代は終わった。これからは従う番だ」


アルキメデスは何も言い返すことなく俯いていた。カインはそんなアルキメデスを横目にレンのいる地下牢へと向かった。


「遅い!」


あの事件からもう一ヶ月が経とうとしてため、レンはかなりキレていた。すぐに来るだろうと思って待っていた分、そのキレ具合は尋常ではなかった。


「まぁ気にするなよ。さぁ帰ろ」


カインはレンを牢から出すとすぐにゲートを開いた。天界に来てからまだ2時間と経っていない。しかし天界には大きな衝撃を与えるには十分な時間だった。ずっとトップを張り威張っていた天界がたった一人の男によりその権力を全て奪われたのだ。これによりカインはすべての界を支配下に置いたことになる。これを機に国家安全保障連合の壊滅へのカウントダウンは急速に進み始める。そしてそれはカインが治める世界の終りも同時に連れてきていることを意味している。

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