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正しい判断とは…

状況は刻一刻と悪化していった。天界神アダムが死にぎわに使ったゼノンオーバーによって世界の30%が白い灰となってしまった。さらにはその地域にいた反国家組織がここぞとばかりに活発になっている。このままでは世界が反国家組織の手に落ちても不思議ではない。


「決断の時はもうそこまできている。いつまでも伸ばしておけるものではないぞ」


最初の主大総統会議が行われたのはカインが天界から帰ってきた次の日だった。それ以来3回、これを合わせると5回目になる。しかしカインは未だに決断できずにいた。


「まぁまぁ、サタン様のおかげで世界は一様戻ったんだし。落ち着こうよ」

「うるさい、チビ」


フレイの言うようにサタンの力により世界は元どおりに戻った。サタン曰く【時間を戻して半分にし半分になった時間を今の時間…】長いので省略させてもらうがとにかくサタンのおかげで世界は日常を取り戻しつつあった。だがまだ完璧ではなかった、世界が戻ったのもこの会議始まる5分前のことだし戻ったのは全体の半分に過ぎない。もっと言えば反国家組織に新たな兵器が開発されたらしくアダムのゼノンオーバーが応用されているらしい。


「危機的状況にいるのは確か。しかし容易に決められないのもまた事実。判断に時間をかけ過ぎていること本当に申し訳ない。だがもう少し時間をくれ」


三大剣は何もカインに焦らせ、失墜させようとしているわけではない。今の時点で反国家組織に劣っていると分っているならば、早くその劣っている部分を直す必要があるからだ。


「・・・」

「今日の会議は終了だ。次回は手紙にて通達する」


第5回目の大総統会議も結局何も決まらず終わってしまった。これまでも、何も変わらずただただ集まって何も決まらず終わった。開くだけ無駄だと言う者もいるがカインの耳には聞こえていない。それだけカインは悩んでいた。


「だいぶ迷ってるね」

「あぁ、我々国保がなくなればこの世界を守るものはいなくなる、しかし我々がいるから反国家組織は力を増していく」

「いや、君が迷っているのは世界を手放すことだ。前アルスタ国王から引き継ぎ、今や世界の中心にあるこの国を手放すことを迷っている」


フレイの言っていることは間違っていなかった。いくら力のあるカインでも拠点となる場所がなければならない。魔界王であるから魔界から支配すればいいとも思えるが、別界からの支配は簡単なものではないのだ。


「戯言はよせ」

「やっと二十歳になった君に世界は大きすぎたんだよ」

「悪いが俺は人より長く生きている。人間の年齢で言えば200ちょっとかな?」


カインは人間ではないため、ほとんどの確率で寿命死はしない。さらには魔界王ランクになると病気にかかることもほとんどない。だからカインは200年以上は生きている。


「じゃあ、200年以上の知恵じゃ解決できないってことだね」

「たった200年以上では足りないということだ。私が知っている時代ではあり得なかった」


カインが地上界にきたのは今から200年前。それ以来50年ごとに転生していた。今の地上界では50年でちょうど時代が変わる。カインは四つの時代を見てきている。


「時代はいつだって変わり続け誰かをおいて行くんだよ」

「だとしても、俺はこの世界を手放したり見捨てたりしない」


カインの中で何か消えた。この世界を手放さない、ただそれだけにこだわってきたのに今の今までそのことを忘れていた。そのことにきずいたカインはやっと決断できた。


「明後日最終判断を出す」

「そう、じゃあ僕は帰るね」


カインが通達を出したのは次の日の朝だった。想像より早い通達に誤断を疑ってしまうほどであったが、三大剣は定時に集まった。カインを今は信じるしかない間違っていたら自分たちが治してやればいいのだから。それが三大剣の考えだった。


「さて、時はきた判断を出そうと思う」

「やっとか、これだけ早い判断、まさか血迷ったわけではなかろう?」

「当たり前だ」

「それで、判断は?」


カインに注目が集まる。この決断で三大剣、国家安全保障連合の運命が決まる。カインの時代が始まって以来の大改革となるか大消滅となるか…運命の瞬間だ。


「国家安全保障連合はこれまでも、これからも世界最大の安全保障組織として活躍していく。そのためには反国家組織の撲滅は欠かせない、それが今までの考え方だった。しかし、反国家組織をと撫すこと自体が間違っていたのかもしれない。消すのではなく、共存するのが正しい世界の形ではないのか?」


「一理ある、しかし我々のやり方が気に入らないのが反国家組織だ」

「だとしても、武力で相手を抑えるのは間違っている」


力をつけ、反国家組織を撲滅する。今まではそれが正し考え方だと誰もが思っていた。しかし、それが間違いだったとしたら?カインたち国家安全保障連合は安全を保障するどころか自らが世界を恐怖のどん底に叩き落していたことになる。


「ではどうする?今更仲良しこよしはできないだろう?」

「反国家組織の考えを聞き出す必要がある。そためにも今は反国家組織の動きを調べる」


反国家組織のとの共存計画これがカインの考えだした新たな政策、しかしこの計画は国家安全保障連合壊滅へのカウントダウンの始まりだった。

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