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最高神

天界との決戦はアダムの死により終結した。しかし、問題は山積みだった。アルスタ王国はナナの術により再建したが、三代剣であるフレイ、ミラ、ハクアを始めとする全国保加盟国だけでなく、非国保加盟国も壊滅的な状況だった。


「まさしくワールドエンドだな」


あまりの悲惨な状況に意味もなく笑うしかなかった。これだけの被害の根源であるミキトの行方も全くつかめていなかった。


「笑ってる場合じゃないだろ」

「そうですよ!どうするですかこれ」


アルスタ王国にはナナの仕掛けた魔法があったため、如何なる状況に陥ってもナナさえ生きていれば、街も城も全て元に戻すことができた、しかし全ての国にナナのような高度な魔法が使える者がいるわけでは

ない。


「案ずるな、世界を終わらす魔法があるなら世界を作る魔法もあるはずだ。もっともいまの天界に協力要請を出したところで無駄だがな」

天界神、四聖剣が死んだいま天界との関係は悪化していた。こちらに非は無くても天界からしたら恨まずには似られない状況となってしまった。


「天界とならレンがいるからなんとかなるだろ?」

「いや、世界を作るも壊すも天界神様か最高神様しかできないから」

「じゃあ最高神様に掛け合ってよ」


最高神は天界の全最終決定をする天界神の上にいる存在、謁見は天界神かそれに等しい身分の者にしか認められていない。四聖剣ですら謁見は許されていない人物だ。


「いやいや、四聖剣ですらあってもらえない方だよ?俺なんかじゃ尚更無理だよ」

「天界神、四聖剣が死んだ今、第一権力者であるお前以外誰が会えるんだよ?」

「エー…」


天界第一権力者という天界神の次に聖権力があるレンであっても、最高神にはあったことがない。いまの状況でレンが最高神に会える可能性はほぼゼロに近い。レンの汚名は返上どころかさらに汚れたのだから。


「大丈夫、いざとなれば魔界神と同じくらいの身分である俺がなんとかするから」


カインは魔界王だがサタンの孫というだけでその権力は世界に通じるものになっていた。さらにカインは天上魔界王であるサタンよりも仕事をこなしているため信頼は厚かった。


「はぁ、とりあえずやってみるさ」


レンが天界へ続くゲートを開いた時、廊下をものすごい勢いで走ってくる音が聞こえた。


「て、天界から応援信号です!」

「天界から?虚偽ではないのか?」

「間違えない、天界だ」


ナナがマリアの後を慌てることもなく歩いてきた。内容はわからないが、天界からの応援依頼だということは事実のようだった


「俺、レン、ナナ、マリア、サラの五人で向かうぞ」

「了解」

「承知した」

「分かりました」

「O,K」


レンが開いた天界へ続くゲートを通るとそこには明らかにここが天界だと証明するかのような天使の石像が置いてあった。その天使の像を横目に、大広間へと出ると今度は動く床に乗り最上階へと向かった。最上階には巨大な扉があり、そこへ入ると王座があった。その王座の後ろに最高神のいる場所へと続くゲートがある。


「まだ、あるのか!?長いな」

「最高神に会えるのは天界神だけだから、王座の広間以外にゲートを創らなかったんだ」


ゲートを抜けると、一つの大きな扉があった。この先に最高神がいる。しかしそこから感じるものはこうこうとした光のようなものではなく、冷たい命が消えていくような空気だった。


「応援信号を出した割には警備が薄いな」

「薄いどころじゃない、全くいない」


レンが扉を開くとそこにはあまりに残酷な光景が広がっていた。あちらこちらに横たわった翼のない天使たち、中央にある玉座には最高神と思われる人物が血を流し死んでいた。神座ごと無数の槍で貫かれたその姿は残酷の一言で言い表せるものではなかった。


「ちょっと遅かったね」


最高神の亡骸の横に誇らしげに立っているのは、反国家組織、クラックのトップ、ミキトだった。天界にミキトがいることもおかしいが、天界トップクラスの神を殺したというのも信じがたいことだった


「貴様がこれを?」

「裏切者に罰を与えただけだよ」

「なるほど、これで合点がいった。天界戦の根源はお前か」

「はは、面白いことを言うね、君の話を聞いていたいけどあいにく僕は忙しくてね、また今度ゆっくり聞せてよ」


懐から小瓶を取り出し、あの時と同じように魔法陣を展開し颯爽と消え去ってしまった。


「俺たちも急いで戻らないと…」

「そこを動くな!全員手を上げろ!」

「遅かったか」


大人しく手を上げ戦闘の意思はないことを表した。しかし、現状が現状なため即拘束され、一時的に牢に入れられることになった。


「弁解しようにも、あの状況を見られては、弁解の余地もなく死刑だな」

「えぇ〜!レンさんなんとかできないの?」

「流石に第一権力者でも、無理です。それに僕は裏切り者ですから」

「シッ誰か来ます」


灯りが階段を降りて来ているのがわかった。だが、時間的には深夜のはずなのに一体誰が会いに来ているのか、全く見当がつかない。ましてや天界に来るなど一般人には不可能なことだ。


「フッ…無様だな、カイン」

「魔界神、サタン⁉︎」

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