最大の策〜皇帝追放〜
二話の続きです。まだ少し続く予定なのです
「反国家組織…ですか?」
睨まれた。やはりダイナは反国家組織がある事を知っているの
「はい、ダイナ皇帝はご存知ありませんでしたか?」
「初めて聞きました。いったいどのような者たちなのですか?」
目が泳いでいた。この人は嘘をつくのが下手だと思った。
「反国家組織は各国にその存在が確認されています。
我が国アルスタでも最近新たに確認されました。反国家組織の活動は主に2つです。1つは国家への反乱計画をたて、それを実行する事。2つ目は、各国の王を辞任させ自らが王になり実権を握ること」
「そうなるとアルスタ王を辞任させたあなたも反国家組織の一部となりますね」
「ご心配なく。私は違いますので」
「信用しましょう。で、制裁者が反国家組織撲滅にどのように役立つのですか?」
「反国家組織の大半が開拓者だとの報告が上がっています。相手が開拓者ならば魔法や錬金術の使える制裁者の方が戦いやすいからです」
反国家組織が魔法を使うならこちらも魔法がないと戦うことはできない。となればやはり制裁者は開拓者であることが確実である。
「また、各国の国家機密情報も反国家組織に流れているようです」
反国家組織に国家機密情報が流れているということは国家の中に反国家組織のスパイがいるということだ。だが、世界中の国にスパイを送れるほど今の反国家組織は大きくはない。ということは、世界中の国家情報が集まるダイナ大皇帝の周辺事物である可能性が高いのだ
「そのことに気づいておられましたか?」
「いえ、気づいていませんでした」
「そうですか。警備が甘いのですね」
「今日から強化しますよ」
ダイナが知らない事実を一国の王であるカインが知っているというのも疑うべき点であるのに、今のダイナはそこをつかなかった
「私の国報告によると、昨日ダイナ大皇帝の屋敷に報告書を届けていますが、ご覧になりましたか?」
「私のもとに報告書は来ていませんが?それにきていたら知らなかったなどとは言いません」
「報告が来ていないのではなく、出させていないと言うのが正しいのではありませんか?」
「先ほどからあなたは何が言いたいのですか?」
カインはすべてを知っているだからこそ強気に出れるのだ。なにも根拠なしに行っているわけではない。証拠はカインの手の中にある
「ダイナ大皇帝、あなたは嘘をついていますね?あなたは反国家組織に情報が流れているのを知っていた、違いますか?」
「知らなかったと言っているでしょう?何を根拠に言
っているのですか?」
「開拓者に関する事の報告書は参考にしたかったのでダイナ大皇帝に出す前に私のところにでしていてもらっていました。その中の一つにこのような報告書がありました」
カインはコピーしておいた報告書を上層王に配布した。その書類を見て全員が唖然としていた。
「ここにはダイナ皇帝が治めているフェル皇国の反国家組織について書かれています。また、反国家組織のスパイと思しき者の名も書かれていました。その名はリア・シャル、これはダイナ皇帝の娘様の名前ではありませんか?」
フェル皇国の皇帝の娘が反国家組織に関与していたとなれば大問題である。これが事実ならダイナ皇帝は皇帝の座を降りなければならないだろう。
「確かに娘の名前ですが、スパイとおぼしきだけで関与した証拠にはならないでしょう?」
確かにその通りだ。思しいだけで事実ではない。だが、フェル皇国には疑わしい過去があったのだ。
「確かに証拠にはなりません。ですがフェル皇国では過去にも一般の者に国家機密情報を売るといった行為がありました。その時も疑われたのはリア・シャル様でした」
「あれは、部下の手違いだったと判明し、売られた情報は帰ってきたでしょう?」
確かに情報は帰ってきたが、調べてみるとコピー履歴が残っていた。と言うことは少なからず一回はこの情報がコピーされたことになる。フェル皇国はこの事を国民には知らせなかったのだ。
「まぁ、それも詳しく調べればはっきりとするでしょう。親は子を守りますからね」
カインはダイナ皇帝に二枚の申請書を提出した。1枚は制裁者(再結成の申請書、もう一枚はフェル皇国に対しての厳重調査の申請書だった。
「申請書は確かに受け取りました。上層王会で厳重な審査の元、検討します」
二つとも可決され、その日のうちにフェル皇国に第三者調査員とアルスタ王国の調査員が入った。調査の結果リア・シャルにダイナ大皇帝が情報書類を渡している写真がフェル皇国の広報から提出された。これが決定的な証拠となり、ダイナ皇帝は国家機密情報漏洩の罪に問われ、フェル皇国皇帝の座を降りることになり、監視が10年つくことになった。
制裁者の再結成にあたり、魔術や武器の使い方を教える学校が必要だと判明しため、今は学校の建設準備が開始されていた。