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神剣

「自惚れが甚だしいぞ、わかぞう!」


 アダムの使う剣は天界でもっと古く、もっとも力を秘めている聖剣、デュランダル。エクスカリバーをも超えるこの剣と互角に戦うにはまだ早いようだ。


「神の銃を使っても倒せないのかよ」

「神の中のトップにただの神が勝てるわけなかろう」

「ただの神って…」

「どでかいのが来るわよ」


マリアが指さす方ではアダムはデュランダルを上から下にサッと振り下ろしていた。一瞬だけ空間が切れたかのような線が見えた。線が消えたかと思うと、デュランダルが向けられた先の建物などが全て真っ二つに切り裂かれていた。


「デュランダルには全てを切り裂く力がある、空気も時間も何かもだ」

「神に対するは星の力、七星剣!」


七星剣はシンの国に伝わる北斗七星の力を宿した剣、シンの国には和神と呼ばれる神々が存在していて、アダムなど天界の神とは全く違う神が存在している。聖民の刀使いの多くはこの和神の武器を神器としている。


「忌々し!和神など、神にあらず!」

「七星剣は神ではない!星だ!」


デュランダルと七星剣が激しくぶつかり合う音があたりに響いていた。しかし、デュランダルのほうが七聖剣よりも放つ一打が重く、防ぐので精一杯だった。


「アルテミスの弓よ、友の支えになれ!」


マリアの放った矢がまっすぐアダムへと向かっていった。


「無駄だ!」


アダムはデュランダルを振るい、矢を真っ二つに切り裂いた。


「どれだけ集まろうと、所詮雑魚は雑魚!無駄な抵抗はやめろ。エル!一掃しろ」

「断る、私は死神だ。天上魔界王に使える者だからな、お前には従わない」

「天界を裏切るのか⁉︎」

「元から天界の神ではない」


 エルは観察者サーバーであり、神ではないのだ。だから誰に従いどこに住まおうが自由なのだ。


「おのれぇ!どこまで私を怒らせれば気がすむのだ…レン!貴様が終止符を打て」

「あぁ、わかった」


レンは俯いたままエクスカリバーを握り立ち上がった。


「さぁ、天界対戦もこれで終わりだ!」


レンがエクスカリバーを構えてアダムの元から内山たちの元へと飛び出した。しかし、聖民も死神も身構

えることはなかった。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


レンはそのままの勢いで内山の胸に飛び込んだ。しかしそこにいたのは、カインだった。


「やっと捕まえた...」

「兄さん...!?どうして?」

「どうだっていいじゃないかそんなこと」


カインは腕で挟んだエクスカリバーをはなし、レンをそっと抱いた。


「おかえりレン」


レンの目からは大粒の涙がこぼれていた。


「ただいま、兄さん...」


涙を拭いたレンはエクスカリバーを構え、カインの横に並んでいた。エクスカリバーの矛先はアダムに向けられていた


「聖民がやっと全員揃ったね」

「あぁ、これからが本番だな」

「貴様らぁ!いい加減しろ!」


アダムがデュランダルを天高く掲げると大神殿の上空に天空城のような城が現れた。それは以前にも見た

ことがある、ライトフォースだった。ライトフォースから一発の光弾が大神殿に落とされた。


「フォースフィールド!」


ナナの反射的な行動で高度防衛魔法陣を発動して、最悪の事態は防いだが、大神殿を含むアルスタ王国の建造物の60%が崩壊した。


「圧倒的な力の差にひれ伏すがいい!」


ライトフォースの力は圧倒的なものであったが、レン達は諦めていなかった。


「たしかに力の差は圧倒的!」

「だとしても!俺たちは諦めてない!」


圧倒的な力を目の前にしているのにカインやレン、そのほかの聖民の目から希望の色は消えていなかった。むしろその色はさっきまでと比べ増しているようにも見える。そして静かにカインとレンはダインスレイフとエクスカリバーをクロスさせた。


「二つの剣を調和し、新たな神剣を作れ!神剣、クロスエンペラー!」


エクスカリバーとダインスレフが互いに光り始め、しろと紫の光が交わって強い光を放った。光がおさま

ると、カインとレンで一本の剣を握っていた。新しくできた神剣、クロスエンペラーだ。


「天地全てを切り開く!ダインエルヴァ!」


カインとレンがクロスエンペラーを振り下ろすと、ライトフォースが二つに割れた。誰もが割れたと気づかないほど静かに割れていた。


「なん…だと…」


新たな神剣クロスエンペラーの力に驚きを隠せないのはアダムだけでなく、カインとレン以外の全員も同じだった。

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