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天界対戦〜ヘル〜Part2

百丸びゃくまるってそんなものだったっけ?」

「(やはり私には…)」

「まだ諦めちゃダメだよ」


そこに現れたのは第4聖民のサラだった。

「またまた邪魔者が増えたのかな?」

「ハンガクなんかで止められると思わないでね」


サラの手には一本の槍が握られていた。

「それはぁグングニルだね?」


グングニル神話では死霊の群勢を一瞬にして消し滅ぼしたと言われるほど聖力が強い武器だ。


「何で君が私の神器を持っているのかなッ?」


言い終わる前にヘルは攻撃を加えてきた。しかしグングニルの聖力にはハンガクですらも勝てなかった。


「どうかしら?貴方の槍の力は?」


ヘルの返事を待つ前にサラは槍を天高く掲げた。するとさっきまで雲ひとつなかった空に暗雲がたちこめ、槍に雷を落とした。


「やめろ、私の神器をお前如きが解放するなぁぁぁ」

「神器解放!トゥルーグングニル!」


雷を受けたグングニルは姿も形も変化していた。


「全てを貫け!トゥルーグングニル」


サラの投げたグングニルは自ら回転しヘルへと一直線に向かって行った。


「ハンガク!」


ハンガクを横に使いグングニルを受け止めたヘルだったが、神名を解放したグングニルは止められる代物ではなかった。


「あ〜あ〜、まさか自分の神器で最後を迎えるなんてなぁ」


グングニルを受け止めきれず二つに割れたハンガクを地面に落ちた時、既にヘルの姿も消えていた。


「ごめんなさい…私…」

「全力で戦って負けることの何が悪い?貴方は最初の頃からいる聖民なんだからもっと自信をもって」

「ありがとう…」


サラの言葉を受け入れたかったがなにもできていない悔しさでどこか表情は曇っていた。一方その頃カインは四聖剣の1人憤怒ラストのディリナイアと対峙していた。


憤怒ラストのディリナイアだな」

「魔界王、カイン・ゼルク・サタン様ですね」

「よく知っているな」

「有名ですもの、祖父を落とし、父を殺した。最悪の王としてね」

「あまり、怒らせるなよ」


公開されているはずのない情報を知っているということは魔界と繋がっているということになる。しかもかなりの昔からだ


「そこどけ、王様」


死神の一人で最強と言われているヴァル。協力は無いと思っていたために衝撃は強かった。


「ヴィル!ヴィルなのね、会いたかったわ、覚えてる?私よ、ディリナイアよ」


まるで兄弟かのような口調でヴィルに話しかけているディリナイアにまた驚かされた。根本ヴィルに兄弟や親の類がいるという話は聞いたことがなかったのだ。


「黙れよ、お前はあいつじゃねぇ」

「ここは私たちに任せて、早く行って」


どこからともなく現れたエルに促され、その場を立ち去ることにした。一体彼らはどんな関係なのか誰にもわかる余地はなかった。しかし今は走るしかなかった、この先に、レンがいると信じてただ走るしかなかった。


「酷いわ、私たち姉弟なのに…」

「あいつは死んだ!俺がやったんだ。だからお前はあいつじゃねぇ!」

「えぇ、確かに私は死んだわ。けどあれは貴方のせいじゃ無い!」

「黙れぇ!」


ヴィルは持っていた鎌を力強く振った。それに合わせるように辺りの空気が衝撃波のようにディリナイアに向かって行った。


「どうして!どうして認めてくれないの!」


ディリナイアも剣を引き抜き、衝撃波をヴィルに向かって放った。


「神器解放!ディアデスサイス!」

「神器解放!ラストエンパイア!」


二人の武器がぶつかり合うたびに虚しく響く乾いた音は色の無い、悲しい空間を作り上げていた


「面白くない戦いは嫌いだ。神器解放!ディリナイア!」

「お前、なにを?」


エルは自分が見ていて楽しくない戦いを嫌う、だからこそこの色のない戦いにしびれを切らしたのだ。


「お前も、お前も!どこを見て戦っている!こんな無意味な戦いを見届けても、楽しく無い!もっと本気になれ!そうじゃ無いと、僕が幕引きをやるぞ」

「部外者は黙ってて!」


神器ラストエンパイアと神器ディリナイアがぶつかる音が響いた。神器に名を持つものはその神器が傷つけばその者も傷ついてしまう。


「だめだ、あいつは俺がやる」

「じゃあ本気でやって!僕を楽しませて」


返事などせず黙ってディリナイアの所へ向かった。


「神器、ダブル解放!ディアデスサイス!」

「やめて、それ以上は貴方がもたないわ!」

「ぬおらぁぁぁぁぁぁぁ」


この一撃が決まらなければ、ヴィルが死に、決まればディリナイアが死ぬ。まさに諸刃の剣の一撃だった。本当に前にいるディリナイアなら避けずに消滅するだろうと思いヴィルはかけたのだ。ディアナリアは昔から弟思いの優しい姉だった。ディアナリアが過去に死んだ理由もヴィルをかばってのことだった。


「天界神様、私には貴方に使える資格がなかったようですわ…」


最後に何かを言ったような気がしたがそれはヴィルの一撃でかき消された。これはヴィルの勝利と同時にディアナリアが本物であったことを証明していた。


「また俺は、あいつをやっちまったんだな…」


ヴィルは静かに目を閉じ、魔法陣を展開した。そしてそのまま光の粒子となり、消えていった。


「神名、観察者サーバーエル、帰還します」

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