魔界に協力依頼⁉︎
「カイン入るぞ」
「毎日来られても邪魔なだけか?」
刺されてから3日間毎日フレイとルイは通っている。ただ見舞いに来ているだけでなく、国保の現状報告を兼ねているのだ。
「毎日悪いな」
カインが不在の間国保の事はミラとハクアが責任を持って指揮していた。すべてを二人に任せるのは荷が重すぎるので、カインは二人が行っていることの報告書を見て最終的な確認をしている。
「気にするな、お前が動けないなら俺らがやるしか無いんだから」
フレイのとこもだいぶ復旧はしたが、未だ国民を戻すまでには至っていない。そのためミリアナ王国の国民は別国に避難しているのだ。ミリアナ王国、アルスタ王国という力を持った二つの王国が壊滅状態なのは世界を左右してしまうだろう。
「うちの復旧はどこまで進んでる?」
「街はだいぶ戻った。しかし国保本部がな…」
「国保本部の復旧を最優先にしてくれ」
今まで国保本部は城の中にあり、城そのものが本部という建物になっていたが魔界戦以降、国保本部は城とは別の場所にあるのが安全ということになり、国保本部は大神殿の中に移動された。その国保本部が復旧しない限り全ての行動ができない。そのため国保本部には近づかないように戦っていたが、天界の兵士が攻めていたようだ。
「入るぞ、おや今日も来ていたのか」
「あぁ、ところでカインはいつ安静が解除できる?」
「もう出ても問題ないだろう。しかし、戦うにはまだ早い」
「会議ぐらいならいけるか?」
「あぁ問題ない」
「そうか、フレイ会議の準備をしてくれ。明日アルスタ王国国王城、会議室で開く」
いつ天界が攻めてくるかわからない以上、話せるうちに話しておかなければならない。だからこそ急を要するのだ。
「分かった。三大剣には伝えておく」
〜翌日〜
「もう大丈夫なのか?」
「あぁ問題ない」
若干の痛みはあるが会議には差し支えない程度だ。
「まずは現状が知りたい」
これはハクアから報告が始まった。ハクアはここ数日のあいだ、国保の聖民からの報告書をすべて処理していた。
「まず、国保関連についてですが、今までと変わりなく活動しています。しかし私たちの指揮ではうまく
動けていないようでした。次に加盟国状況ですが未だ天界関係の報告は上がっていません。しかし反国家の活動が活発になっているようです。最後に加盟していない国ですが90%が反国家の餌食になったそうです」
「国保外は壊滅か…カムイのとこは?」
「特に何も」
これは国保開設当初から予測できていたことだ。国保は国保外には加勢していけないというルールがある。国保外に加勢すると国保内が保てなくなるからである。しかし90%が壊滅するとは思ってもみなかった。
「次にこれからについてだが、今の状況では次に天界が攻めて来た時には国保は壊滅するだろう。よって各国で増強することを命じる。反国家の方も活発になっているという事は天界と何らかの関係があると思い行動してくれ。以上だ」
まずは国の軍を強くする事が最優先だろう。しかしそれにもあまり時間はかけていられない。次いつ来るか正確な日は分かっていないからだ。
「魔界にも協力してもらうか…」
今の国力では次の襲撃でこの世界は終わるといっても過言ではない。だからこそ、世界を超えての力にすがりたくなってしまうのだたく。ましてや過去に天界と戦ったことのある魔界なら、いい戦力になるに違いない。
「魔界か…。今回のはすごい戦いになりそうだね」
「あぁ...」
翌朝、カインは魔界へ向かった。魔界にも天界の四聖剣のような者たちがいる。まずはそこに協力を求めることにした。
「死神たちを呼んでくれ」
「はっ」
死神正しい書き方は四仁神。サタンの命しかきがずサタンのためだけに行動する。言わばサタン親衛隊だ。しかし死神と呼ばれるだけあり必ず死を敵に与え帰って来るのだ。カインも初めて会う者たちで名前ぐらいしか知らない。ただ、サタンはカインなら扱いは簡単にできるだろうと言っていた。
「呼んで参りました」
そこに来たのは見るからに強そうな武器を持った4人の男だった。
「あんたが新しいサタンかい?」
彼はヴィル、死神の中でも最強クラスの男だ。その姿からは想像できないほど強い。彼が本気を出せば国保の聖民を一人で一掃できるだろう。
「そうだ」
「へぇ頼りなさそうだね」
しょっぱなから失礼なこいつはレル、死神の中では2番めに強い男だ。しかし外見は子供っぽく弱そうである。レルの強さは弱そうだと言うとこにある。
「レルさん失礼ですよ」
このしっかり者はウェル、通称レルmother、強さはレルの下だが、ウェルはこの中で一番無情なやり方をする。まさに死神だ。
「・・・」
特に何も喋らないこいつはエル、まったく喋らないためカインの祖父であるサタンですらよく知らない。
「単刀直入で申し訳ないが協力してほしい」
「何に?」
「今現在地上界は天界からの攻撃を受けている。このままでは地上界は壊滅する。それを止めるのだ」
「ヘェ〜何で?」
「地上界が終われば次は魔界だ。そうなる前に倒したい」
「だったら地上界を壊滅させるまで待ちましょうよ。天界の戦力が減りますから」
魔界の者たちには地上界がどうなろうと関係ないのだ。実際地上界が滅んだからと言って何か困るわけでもない。彼らの答えは真っ当なものだ。
「サタン様、これが我ら死神の答えです」
彼らの協力を得なければどうやったて天界からの攻撃を防げない。今は何としても協力してもらわなければならない。
「そうか、これが答えか…死神はサタンの命を必ず聞くと聞いていたが何かの間違えだったのだな」
「勘違いをなさらないでください。私たちはあなた様をサタン様と認めていません」
「そうか、どうすれば認める?」
「私より強いのなら認めます」
魔界の者は力で全て解決する。強いものが勝者で弱いものが敗者そう言う世界なのだ。
「じゃあ広間まで行こうか」
広間に着くとすぐに戦いが始まった。先陣を切ったのはヴィルだった、魔界では強者から攻撃を始める。
ヴィルは自分のほうが強いと確信しているのだ
「セイヤッ!」
鎌には技などない力を使い、腕を使い、頭を使いながら扱う武器だ。そのため、力で全て解決する魔界の者は鎌を好んで使う。
「力技は嫌いでね」
一方カインは武器は使わず魔法系で攻めている。中距離武器の鎌に比べ全距離対応の魔法の方が有利な
のだ。カインが放った魔法がヴィルの鎌にあたり鎌が飛んでいく。しかしヴィルは気にせず体術で応戦して来た。さすが死神と呼ばれるだけあり、一打一打が重く強い。油断すれば飛ばされてしまうだろう。
「魔武器、サタンバレット」
「魔武器、デスサイス」
お互いに得意武器を手に取り激しく戦い始めた。しかし優勢なのはヴィルの方だった。ヴィルのほうが当たれば確実に死を与えるだろうと思われるほどの力がこもっていた。それに加え中距離より短距離のほうがデスサイスには不利になる。デスサイスの内側には特別な魔法がかかっているのだ。触れれば死を招く魔法が。
「従者召喚、ジョーカー」
召喚の一瞬の隙を逃さずヴィルの鎌がカインの刀を弾き飛ばした。しかし鎌は刀を弾き飛ばしただけでカインには一切触れていなかった。ジョーカーが守ったのである。
「従者進化、ラストカードジョーカー」
今までのジョーカーは全てを逆にするだけだったが、ラストカードジョーカーはトランプのジャック、クイーン、キングを召喚できるのだ。これにより召喚1体召喚でさらに三体をタダで召喚できることになる。
「勝負はこれからだ。本気でいくよ」