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レンの行方

それはカインが朝食のパンにバターを塗り一口食べようて口に近づけている時のことだった。


「第3区に緊急避難命令がかかりました。対象区にいる方は即刻避難シェルターに避難してくだい。繰り返します」

「はぁ…朝食はお預けか…。ナナ!聞こえているか?」

「あぁ、聞こえている」

「状況報告」

「第3区にて反国家組織のものと第3聖民の内山が戦闘を開始した。人的被害は今の所出ていない」

「了解、内山からの報告を待て」


あれから6ヶ月が立ち様々変化が起きていた。緊急避難信号受信器を設置したことにより、避難活動と国民への情報提供が簡単に行えるようになった。今までは国民に集まってもらい、集会のような状況で情報を伝えるしかなかった。変化はこれだけではなくアルスタ王国の聖民も大きく変わった。アルスタ王国に国保本部があるから、アルスタ王国の聖民になりたいというものが増えたのだ。国保の規定に国籍は関係ないため全く問題は無かった。むしろほかの国ともつながることが出来るため、アルスタ王国としては好都合だ。


「内山!状況報告」

「反国家組織第47民、51番隊隊長マカとの戦闘を開始。」

「お前の状態は?」

「まぁ、倒せないことは無いけど確実じゃない」

「了解、第2のルイを向かわせる」

「助かる」

「各隊及び聖民につぐ、第3区にて内山が反国家と接触、各隊は他の反国家襲来に備え観察と警備を強化。第.4.5.6.7.8.9.10聖民は待機第10は第3区に迎え」

「第2、了解しました」


 今までは一回いっかい連絡していたため全員に伝わるまで時間がかかりすぎていた。しかし、通信が発達したので一度に連絡できるようになったのだ。


「第4区に不審魔法反応、国保内に該当者なし。第4区に緊急避難命令を出します」

「了解、サラすぐに向かってくれ」

「了解」

「第1区にて不審魔法反応、国保内に該当者なし、緊急避難命令出す」


 通信を切った時再び緊急避難命令が下された。今まで緊急避難命令が立て続けに3回もだされることはなかった。何か良くないことが起こると聖民全員が感じていた。


「避難命令は出さなくて大丈夫だ。俺がでる」

「分かった」

「ナナ、第1区全体に保護魔法を展開してくれ。45秒以内で頼む」

「もう展開済みだ」

「こちら第4、現在反国家組織第40民10番隊隊長のエルヴァとの戦闘が終了。確保には失敗」

「了解、警備を厳重にしろ」

「こちら第3、反国家組織第47民51番隊隊長のマカの確保に失敗。本部に戻ります」

「了解、どちらも報告書を提出してくれ。ルイはすぐに第1区にこい」

「了解」


 カインは各々に指令を出しながらも移動していた。第1区は城を中心に半径10キロ圏内の区のことでここが落とされるとかなりまずい事態になりかねないのだ。


「ほぅ、自ら出向くとは珍しいな、ミキト」

「どうも、久しぶりですね」

「迅雷を放て、ライトニングノヴァ」

「いきなり何するんですか?」


 ミキトは指一本でカインの魔法を受け止めた。凡人なら死んでいてもおかしくないはずだがミキトは傷一つ負っていなかった。このことから反国家組織は聖民を超えるほどの実力があることがわかった。


「第3聖ですら幹部を確保できないなんて国保もたいしたことないですね」


 実際ミキトの言っていることは正しかった。この6ヶ月で確保できた反国家は0だ。他の国でも未だ確保したとの報告は無かった。


「もう時間なんで失礼しますね。また近いうちに会いましょう」

「待て!」


 カインが言った時にはすでにミキトの姿は無かった。反国家はオリジナルの移動術を持っているようで、魔力を消費しなくても小瓶に入った魔法陣が割れて空気に触れると展開され、移動ができるようだ


「待たせた」

「もう遅い。城に戻るぞ」


 カインが城に戻るとそこには傷だらけの2人がいた。さっき通信をしたときには気づかなかったがかなりのダメージを負っていたのだ。ほかの聖民も集まっていたが1人だけ足りなかった


「レンはどうした?」

「朝から見てないな」

「大総統閣下、異界から通信です。通信指令室まで来てください」

「異界?分かった。すぐ向かう」


 カインが指令室に向かってる間、レン達はルイに連絡を取っていたが全く通じなかった。


「どこの界だ?魔界か?」


 ついこないだ天上魔界の王座継承式が終わり晴れて天上魔界王になったのだ。そのため魔界の仕事もある、それらの連絡はこの通信指令室を通しての連絡になるのだ。


「それが…天界なんです」

「天界⁉︎レンへの連絡じゃないのか?」

「大総統閣下につないで欲しいとのことでしたので」

「そうか…分かった、つないでくれ」

「はい、通信つなぎます」


魔界の主であるカインと天界が話すことなど心当たりがなかった。しかし、朝からレンを見ていないことや反国家の異常な出現を考えると何かあるとしか思えなかった


「事前連絡なしの通信もうしわけない、地上界の王よ」

「別に構いません、あなたは誰ですか?」

「これまた失礼、私は上天界第1権力者、ミカエルという」


 上天界はルイが収めている天界の一つ上の貴族が多く住んでいるところだ。


「上天界...そのような高貴なところが一体何用ですか?」

「天界の第1権力者のレン・アルバドルが魔界に手を貸したと言う報告があがってきたましてね、これは事実ですか?」

「なんとも言えませんな、レンが手を貸したのは事実ですが、手を貸した相手は私です」

「あなたは?」

「カイン・ゼルク・サタンです」

「サタン…あのサタンの息子ですか?」

「孫です」

「やはり魔界の者に手を貸したのですね…」

「魔界に協力したのではなく、あくまで私に協力したのです」

「そんなこと問題ではないのです!問題なのは魔界の者と関わったことです。天界では魔界との接触、戦闘などは全て私の許可が必要です、それをしなかった者は誰であろうと罪になります」

「そうですか、ではそちらのやり方に任せます」


 カインのその言葉引き金になってしまった。天界のやり方がどのようなものなのかカインは知らなかったのだ。


「こちらとしては罪人の関係者は全て罪人です、よって全天界は地上界および魔界に攻撃をします」

「なるほど、これは私に対する宣戦布告ですね。いいでしょうお受けします。ですが一つだけ言わせてください。後悔はするなよ」

「もちろんです。ではまた」


 通信が終わったとき、本部の中は静まり返っていた。人がいなくなったわけでもないのに呼吸音すら聞こえない程静かだった。沈黙を破ったのはナナだった


「お前というやつは...」

「すぐに大総統会議を開きたい、三大剣に連絡してくれ」

「分かった。早急に手配しよう」

「返事が来たら知らせてくれ」

「分かった」


 カインが自室に戻ると大量の報告書が机の上に乗っていた。カインのもとには国保加盟国全ての反国家及び異界問題についての報告書が上がってくるようになっている。


「はぁ…反国家問題だけでも軽く1000は超えるのに…わざわざ自分から問題を起こしちゃうなんて…あの時に戻って自分をぶん殴りたい…」


 カインが1人ぼやいているとノックとともに新たな報告書を抱えたルイが入ってきた。


「新しい報告…あっ、出直しますね」

「おい、まて、そのまま出て行こうとするな、ちょっ、とまれ!止まらんかい!」

「えー…だって、僕めんどくさいのは嫌いですもん…」

「大丈夫だ。あの報告書を全部お前に回すようなことはしないから、ただ聖民を全員呼んでくれ」

「怪しい…なんか企んでますね?」


カインはなぜかルイやほかの人から進ぜてもらえないことが多い。


「いいから早く呼んできて」

「はぁ…」


ルイは意外に行動が早い男で、全員を呼ぶのに5分とかからなかった。一般人なら絶対に不可能だ。


「また何かやらかしたのか?」

「もう、何が起きても驚かないけどね」

「前にも何かあったんですか?」

「うん、初期メンだった頃にね〜」

「内山さんって初期メンバーでしたっけ?」

「いや、でもルイから聞いてたから」


あまりに無邪気に話していたため、止めるのをやめしばらく聞いていたカインだったが、このままでは終わりそうにないので、ここで強制的に中止させた


「まずはみんなに謝ならければな、申し訳ない」

「いや、突然謝られても」

「勝手な話だが、先ほど天界が宣戦布告をしてきてな、それを勝手に受けてしまった、これは世界的な問題になるかもしれない」

「カインの時代は終わったな」

「さらにレンが天界に捕まった、天界の法に反したそうだ」

「第10も落ちたか〜」

「なんで勝手に受けたんですか?」

「いや、俺だって受ける気は無かったんだけど相手があまりに挑発的だったから…」

「はぁ?」

「明日大総統会議を開く予定だ」

「優先順位めちゃくちゃだな」

「まぁ、受けてしまったものは仕方ない、準備は進めといてくれ、以上だ」

「本当自由な人だよね」

「まぁ、あれくらいがちょうどいいだろ」

 その日の夜、ようやく本部から通信があり大総統会議を開くことが許可された。


この時この戦いが魔界戦の時よりも激しいものになるとは誰も予想していなかっただろう…


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