決着
戦いは最初から両者本気でぶつかっていた。サタンもカインも魔法は一切使わずに武器と武術だけどのほぼ実力勝負をしていた。
「いつまでもつかねぇ〜」
「あなたも余裕ないくせによく言いますね」
「はぁい?よく聞こえないなぁ〜」
サタンも余裕を装っていたがそれもどこまで続く分からなかった。カインも持ってあと1、2打撃が限界だろう。勝負をつけるなら今だ。
「我の魔を吸い力と変えよ武器転換、悪魔刀」
「ようやくでたね、待ってたよ」
魔刃と悪魔刀では強さ的には魔刃の方が上だが、サタンを超える魔力を持つカインなら勝機はある。
「魔刃覚醒、魔王刃」
サタンも魔刃の最終形、魔王刃に武器を変えた。両者の武器が揃うと再び、激しい戦いが始まった。その戦いに誰も手を出せなかった。機会があれば援助でもと思っていたレンだったがあまりにも速すぎる動きと激しすぎる戦いにただ呆然と立ち尽くすしかなかった。
「そろそろ限界なんじゃないんですか?」
「そんなことないよッ」
「そうですカッ」
"カキンッ"カインの一撃がサタンの魔王刃を遥か彼方へ飛ばした。魔王刃は魔武器のため召喚しようと思えばいいつでも召喚できるがサタンにはそんな魔力は残っていなかった。
「勝負ありですね」
「早く殺せば?」
「殺しませんよ、あなたにはいろいろと役だってもらいます」
「ほんと君は悪どいよね」
ようやくカインとサタンの戦いは終わった。サタンは軍を率いて魔界に帰り、王座引き継ぎの準備をするそうだ。
「報告だ、今回の戦闘による街の損害は…」
「書類にまとめて明日提出しろ。城の被害状況は?」
「41%の消滅、18%が破損」
「至急、城の復元をしろ。ルイを呼べ」
「了解」
ナナの指揮のもと急速に城の復元作業が行われた。というか一瞬だった、もともと城には形状記憶魔法がかかっていたため、復元魔法を使えばすぐに元どおりに戻るのだ。
「復元終了だ」
「お疲れ、俺の部屋も戻った?」
「あぁ、レンはもうくるはずだ」
ノックと同時にレンが入ってきた。ナナは静かに部屋を出て行った。
「何の用だ、このくそ忙しい時に」
「今回の一件お前はどう思う?」
「どうって?」
「魔界の侵略、アルスタ王国だけの襲撃、反国家の活動停止」
「魔界が侵略してきたことと反国家が関係あると?」
「直接的ではないだろうが、反国家がこの期間一切行動してこなかったのが気にかかる」
確かに反国家が一切の活動をしなかったとは不思議だが多きな問題ではない、むしろ活動を停止しているならばそのほうが確かるからだ
「そこまで大きな門かどうかは今は分からないが、もし反国家が陰で動いているならこれから何か起きるだろうな」
「そうか...とりあえず制裁者に参加している各国の王に緊急会議を開くため、アルスタ王国大神殿に集まるように連絡してくれ」
「分かった。すぐ連絡しよう」
レンの迅速な対応によりその日のうちに各国の王に召集状が届けられ、翌々日には会議が開かれることになった。
〜会議当日〜
「本日はお集まりいただき感謝します」
召集状により、国保に加盟している国の王が150人中25名集まった。少ないように見えるが、あまりに貧弱な国は10カ国で一つの聖民を作っている国もあるため、実際は30人程度しか参加できる者はいないのだ。
「して、今回の議題は?」
「制裁者のあり方についてです」
「制裁者のあり方については法律により定められているはずですが?」
「はい、確かに定められいますが今回のサタンの一件によって見直すべきだと感じました」
「それは、あなたの国だけの問題では無いのかな?我々の国は被害は一切なかったが?」
「それは、アルスタ王国が第1標的となったために他の国は影響が無かったものと思われます。ですが、本
当にそれで良いのでしょうか?自国に影響が無ければ他国はどうでも良いのでしょうか?」
会場にいる全員が、無言になってしまった。カインの言う通り、今まで制裁者は自国を守るためだけに行動して来た。自国が平和なら他国はどうでも良いと考えていたのかもしれない。
「皆様が良いと思うならそれはそれで良いと思います。しかし、それでは制裁者に加盟している意味がなくなります」
「では、制裁者に加盟している意味とはなんですか?」
「反国家による攻撃が自国だけでは対応できない時に協力し対応するのが一つです。また、これから先反国家に国政を奪われる可能性が出てくるでしょう。そうなった場合、その国だけでの対応は不可能です。それをどうにかするのにも協力が必要です」
「制裁者の意図はわかった。して、どの様な変革を行うのだ?」
「まずは法律の改変を行います。今現在、聖民の条件は満17歳までとなっていますが、年齢制限を無くし、技術のある者を優先して選んでいくこととします。また、開拓者でなくても良しとします。さらには制裁者という部類ではなく国家の安全と国民の生活安全を保護する組織、国家安全保障連合として連合としての行動をしていきます」
「それだけか?」
「いえ、まだあります。国保加盟国の王には王座を返上していただき、国の政権を持つのは聖民とします」
会場に戦慄が走った瞬間だった。今まで王として国をまとめていたものが突然王座を返上しろと言われてすぐに返上するわけが無い。が、それをごく普通かの様に公言されたのだ。
「それはさすがに無理でしょう」
「では、王と総統の意見が対立したらどちらを取れば良いのでしょう?例えばそれが一刻を争う戦争だった場合は、どちらの意見を優先するべきなのでしょうか?」
誰も答えることができなかった。難題すぎたのだ、例えば王が守りを固めろと命じ、総統が攻め落とせと命じた場合、正反対のことをすることになるのだ。
「この様な混乱を招かないためにも、王か総統はどちらか一人であるべきなのです。また、総統は戦時指揮に優れています。よって私は総統ではなく王が降座するべきだと考えます。しかし総統には政治力がありません。どちらを取るかはその国にお任せします」
「アルスタ王国はどの様にその弱点を埋めていのでしょうか?」
「我が国は総統が反国家対応を全て行い。政治関連に詳しい第二聖民が政治関係を行なっています。政治会見も第二聖民が行う様にしています」
「上手くいっていますか?」
「今のところは上手くいっています」
政治関係と軍事関係〈反国家対応とう〉を分けることにより、聖民の意見対立をなくすことで人間関係も安定させている素晴らしいやり方だ。
「今現在他国と連携して政治を行なっているところはどうするのだ?」
「それは一つの国になっていただきます」
「負担が大きくはならないか?反国家だって増えるのでは?」
「それなら問題ありません。小さい国は協調性がありますから。何かあれば国民総出で行動してくれますよ」
規模の小さな国は無くてもさほど問題ではないためできれば反国家に乗っ取てもらいたいのが本音だった。だからこそ深くは掘らなかったのだ。
「ほぅ、では問題発生時の責任は誰が取るのだ?」
「もちろん、国保がとります。ただしその国の国保ですがね」
「自国のことは自国で、ということか」
「世界全体に影響が無ければ、できるだけ自国で対処してもらいます」
世界規模の問題でなければ自国で対応してもらわなければ、その国の存在意義が危うくなってしまう。いくら連合で在っても問題しか起こさない国をそのままにしておくわけにはいかない。最悪の手段を折らざるを負えない場合だってあるはずだ。
「国力が無い国は滅びろといっているのか?」
「国力が無い国にはいい影響になると思います。国力が無ければ国を失うことになるのですから」
国力をつけさせるためにも最適なやり方だと少なくともカインは感じていた。
「私はこの案に賛成しよう」
「私も賛成だ」
「右に同じく」
「今は賛成しよう」
その後も王の賛成を多数あったため、この案は可決された。
「では王会議はこれで終わりにしましょう。次に総統会議に移ります、総統以外は退出を」
突然の会議の変更に少しざわめいたがスムーズな行動により、すぐに始めることができた。