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ピエロ

カインのとこに来たのはkと書かれてある緑の液体だった。


「リミットは30分だ。それを過ぎる前にこっちを打て、過ぎたらお前の命が危ない」


次に青い液体が送られて来た。ルイがカインをお前と呼ぶことはそうそうなかった。


「了解、30分で倒すわ」


Kが何なのか誰にも分からなかった。わかるのはカインとルイだけだった。


「フッ…移植術か、お前もお前もおちたな」

「移植術?これは俺とレンが開発した新しい術だよ」


“カチッ”、薬を打った。打ったと同時に変化が現れた。カインから異常な魔力が出ているのだ。


「すごい魔力だね…」

「ぐ、グァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」


カインはただ叫ぶことしかできなかった。動こうにも術の影響で体が言うことを聞かなかった。


「体が、拒否反応を起こしてる」

「いったいあれは何なんだ?ただの開発術には見えないが?」

「そりゃそうさあれは体に召喚従者を埋め込む特殊な術...というよりは薬かな、リミットの30分を過ぎるとカインの体は埋め込んだ召喚従者に乗っ取られる。でもその30分の間は使い方によっては無敵になれる」

「どう言うことだ?」

「見てればわかるよ。ただしうまくいけばね」


 ナナが再びカインの方を見るとさっきとはあきらかに様子が違った。さっきまでは薬に翻弄されているようだったが今は術を自分のものにしているようだった。


「“従者召喚ピエロ”」


 聞いたことのない従者だった。従者は古代神だったりするものだ。だが、古代神にピエロなんて神は記されていなかった。


「ピエロ?なんだそいつは?まぁいい、お前が従者を出すなら私も従者でいこう。“従者召喚ネロ”」


 ネロは魔界の古代神の一人。ネロには特殊な能力がある、それは全ての者を従わせる支配と呼ばれる能力だ。


「あんな弱いのじゃピエロには勝てないなぁ」

「(ネロは召喚従者の中でも最強クラスに入るやつだぞ?それを弱いだと?ピエロとはいったい…)」

「従者は召喚するだけじゃ無意味だ。従者の正しい使い方はこうだ、“従者装備ピエロ”」

「従者を装備だと⁉︎なんだそれは」

「貴様に答える義務は無い」


ピエロを装備すると力や能力だけでなく雰囲気も変わった。今までとは違う黒い雰囲気を纏っていた。


「あと15分、急いでね」

「了解、ピエロの力を披露するとしますよ」

「支配神ネロ、ピエロの前に跪け」

「貴様何を言っている」

「われに、したがう、ネロ、カード、入る」


 鎧となったピエロが何とも言えない声で喋ると、今まで何ともなかったネロの体が光始めた。


「な、これはどうゆう事だ⁉︎」


ネロの体が光の粒子となってカインの持つカードの中に吸い込まれていった。そして何も書かれていなかったカードにネロの絵とアルファベットでネロの名前が書きこまれていた。


「残念ながらあなたの召喚従者はカードの中に入っちゃいました~」

「まさかそんなことが!?」

「そんなことがあるんですよぉ...アッ...グァァァァァァァァァァァァァァァ!アグッ...」

「おっと、ごめんよ、これ以上は無理かな。“従者召喚リア”」


レンが従者を召喚すると同時にリアの不のオーラが強く、ピエロが半強制的に消されてしまった。


「早く薬を投与しな」

「グァ...オ、オレハマダ....シネ..コ.ロ」

「言葉すら失いかけてる。もう一本用意しといてよかった」


ルイはカインの後ろに回り込み、首もとに刺した。


「1回目は失敗かな」


ルイが投与した薬はすぐに効果を発揮しカインから放たれていた異常な魔力はきれいに消えていた。しかし乗っ取られる寸前まで行ってしまったのだから、その消費魔力は相当なものだった。


「早く、サタンを…」


 カインは気絶した。あれほど強力な魔力を体内に移植していたのだから当然だ、多分だがこの後も様々なところでなんらかの影響が出るだろう。


「大丈夫、あとは俺がやる」

「驚きだ、人の子が魔界の従者を使うとは」

「人の子だってやるときはやるのさ」

「でもここからは俺がやるよ」


そこに現れたのはレンだった。カインの戦いをナナたちと一緒に見ていたはずのレンだったがあまりにも無謀な戦いにしびれを切らし自らが出てきたのだ。


「サタン殿その節はどうも」

「挨拶してくださるとは恐れ多い。しかし古代のことはよく知らんのでな」


 サタンは魔法陣を展開し、武器を取り出した。神刀・魔刃まじんと呼ばれる、天上魔界の最強武器だ、一振りで界そのものの90%を破壊するまさに最強の武器だ。


「礼儀はいらないようですね。では、魔武器ごときで止められるなどと自惚れるな」

魔刃まじんをただの刀と侮るなよ」


レンは天界術で、サタンは魔刃まじんで、激しくぶつかり合った。両者とも気を抜けば即死するぐらいの勢い戦っていた。


「その程度ですか?魔界の最強とは?」

「まさか!?まだ1%にも満たない」


確かにサタンの魔刃からはまだ何の変化は現れていなかった。しかしこのまま戦いを続けるのは、レンにとっては不利になる一方だった。


「これ以上はあなたが不利になるだけですね」

「お分かりならば早く終わらせていただきたい」

「では、死技、魔刃魔光斬」

「カディス・レイス」


双方の攻撃は激しくぶつかり合い、烈しい閃光を放った。しかし魔法と武器では魔法のほうが有利だった。ましてやカディス・レイスは他の魔法を無効化する効果を持っている。カディス・レイスがサタンの魔刃まじんにあたり、魔刃まじんは静かに消えていった。サタンに再び武器を召喚するだけの魔力もレンを他をすだけの体力も残っていなかった。だが、それはレンも同じだ、サタンを拘束するだけの魔力はもうない。


「いいとこどりになるが、許せよ。“ハイセン・バクガ”」


 ナナの拘束型攻撃魔法によりようやくサタンは拘束されたようにみえた。しかしサタンはそんなに甘くはない、ナナの魔法を魔力に変換し自分のものに変え吸収した。そして武器を召喚したのだ。


「まだまだだな、これで終わりだ」

「チッ…まだ足掻くか?」


 もう終わりだと誰もが思った。カインも倒れ、ナナの魔法も効かない、レンは魔力が残っていない、ルイは…そういえばルイの姿がなかった。

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