サタンVSカイン〜始まった戦い〜
翌日の早朝、カインの元に一報が入った。サタンの軍が侵略を開始したのだ。
「さてさて、じゃあ攻撃開始〜」
サタンの合図と同時に魔界の兵器レイジングフォースに砲弾が入れられた。
「全兵士に告ぐ、全力を持って臨め、手を抜くものに明日はない」
「放て、死弾」
「魔方陣!展開!」
カインの合図とともに城に仕掛けておいた防護特殊魔方陣が発動した。今回の魔方陣は全ての攻撃を無効化するだけでなく、その攻撃と同じ威力の魔法で反撃するのだ。
「バーカ、狙いは城じゃない。街だ!」
「防護特殊巨大魔方陣の展開にはまだ時間がかかる。どうにか防いでくれ」
「まさか、知っていたのか!?致し方無い、フル・ワールド!」
時間操作系魔法の最高潮のものだだが、その効果を持ってしても死弾の速度は落ちることはないだろう。だが、何もしないよりはましだと思った何もせずに攻撃されるより、無駄でも何かやってみる方がいいと考えた。
「強制終了」
強制中止の上の魔法消去系魔法を使われた。強制中止はその対象が使った魔法のみを消去するが、強制終了は術者を中心に半径100m圏内の魔法全てを消去するのだ。よって城に仕掛けておいた防護特殊魔方陣も街に仕掛けておいた防護特殊巨大魔方陣をも消去されてしまった。もう後がなかった、街どころか最後の兵器である城も守ることができない。希望などなかった…
「諦めるなど情けないな、魔界の王よ」
その場にいた全員が一度は聞いたこのある声だった。そう、レンの声だ。
「ようやく登場か、天界第1権力者、レン・カイサル」
「図に乗るなよ魔界の王、私たちが救うのは地上界だ。魔界などどうでもいい」
「はいはい、素直じゃないよね相変わらず」
「黙れ、クソ兄貴てか、いつから気づいてたんだよ」
「初めて会った時からだ」
2人の会話を途切れさせたのは死弾だった、カインの魔法の効果が切れてしまったのだ。このままでは街も城も崩れてしまう。ナナが防護魔方陣を展開したが小さすぎてとても防げそうにはなかった。
「ライトフォース起動!」
突然何もない空間から城のようなものが出てきた。それはまるで聖なる光をまとった大天使の雰囲気に似ていた。
「ライト・キャノン」
その城が放った光線は死砲弾を上回る威力だった。
「ブラック・ボックス」
黒い箱が現れ、ライト・キャノンを吸収していった。魔界の上級術の一つでどんな攻撃でも吸収してしまう。最強の術だだが魔力の使用量はえげつなかった。100%中75%を使用するのだ。最後の手段として使うことが多いがこんなにも早く使わせるなんて、天界の兵器はヤバすぎるものだ。
「じゃあ、僕も本気で行こうかな…」
今までカインの本気は誰も見たことがなかった。というかカインを本気にさせるほどのことがなかった
のだ。学校完成前夜の事件も言ってしまえばどうでもよかった。学校が壊れたなら作り直せばいいと考えていたのだ。ルイが瀕死だった時も、カインはナナに任せていた。もちろん見捨てたわけではなくルイなら大丈夫という信頼があったからだ。だからカインの本気はどんなものか想像がつかなかった。
「破人鎌」
まさか武器だとは誰も思わなかった。魔界術を使うのかと誰もが想像していた。唐突な武器の出現に場は静まり返った。しかしサタンにはカインの行動が分かっていた。だからわざと目をそらした。
「よそ見しちゃダメだよ」
さっきまで数百m離れていたはずのカインが武器を持ってサタンの目の前に現れた。サタンはこれが分かっていた。だからあっさりと躱した。しかし横にいたゼロへの攻撃にはきずいておらず、きずいた時には眼前に迫っていた。だが、サタンはこれも防いだ。カインは仕方なくゼロの剣を天高く飛ばした。
「マジック・ボックス」
箱の中にサタンとゼロの姿が消えた。再び箱を開けたがそこに2人の姿はなかった。魔界の移動手段の一つだ。箱を二つ用意しAの地点に隠しておく、後はピンチの時や移動が面倒な時に箱に入るとAの地点に移動できる便利な代物だ。
「いったん陣営に戻り立て直しましょう。再びサタンの攻撃が来る前に」
〜サタンの陣営〜
「まさかこんなにも早く、ブラック・ボックスとマジック・ボックスを使わせるとは…なかなかやりおるな」
サタンにとって天界はたいした脅威では無かった。今はカインの方が脅威だった。脅威ではあるが負けるほどやわではない、だから恐れることは無い。しかしサタンには何か別な違和感があった。
「どうしますか?」
「ラスト・マジックを起動させる。わしらも本気でいかねばな…」




