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大総統会議

サタンが帰ってから1カ月が経とうとしていた。まだ連絡は来ていない、本当に連絡が来るのかと聞かれても来るとは言えないだろう。カインの経験上サタンから連絡が来たのは今まで一度もなかった。だからこそ、サタンが連絡しようと言った時はかなり驚いた。だが、よく考えれば来るわけがない。ましてや攻めて来るのに連絡するのはただのバカだ。


「失礼します。サタンのことについて、各国の大総統より、連絡が来ています」


 ノックと同時に開いた扉から大量の書類を抱えたルイが入ってきた。その書類をテーブルに置こうとしたが、テーブルの上も書類だらけで置けなかった。仕方なく床に置くことにした。


「その中で一番重要そうなものをくれ」

「これですね」


 それは、大総統会議の開催計画書と開催許可願いだった。内容はいたってシンプルで、サタンについての報告と対策についてだった。


「はぁ…これ、開催しないとダメかな?」

「しなければならないだろうな」


 ノック無しに入ってきたナナは少し怒っているように見えた。ナナが怒るのはわかる気がした。カインは自分の事を話さずにこの1ヶ月間過ごしてきた。さらに、学校業務もナナたちに全て任していたのだ。ナナはまだ制裁者(ジャッジメント)の人間ではない。そんなナナを巻き込むのは心苦しいが、今のカインは猫の手も借りたいぐらい忙しいのだ


「この会議で全て話してもらいたいものだな各国の大総統にも私たちにも」

「そうだね、世界を巻き込んじゃったわけだし。話さないとね」

 カインにも話したくないことがある。だが、カイン1人の問題ではなく世界の問題となってしまった以上話さなくてはならなくなってしまった。

「ルイ、各国の大総統に手紙を出して、内容は“今週の末にアルスタ王国、大神殿にて、大総統会議を開催する”って」

「分かりました。今日中にだしておきます」

「あと、この許可状も一緒に出しといて」

「了解しました」

「もうすぐ授業が始まるから戻る、会議を楽しみにしている」


 ナナが出て行き、部屋にはカイン1人になった。机の上には反国家組織の報告書と制裁者育成教官の要求願いなど様々な書類が散らばっていた。どれも重要だが、それを全て見ている暇はなかった。会議開催まで、あと3日しかない。それまでに片付けなければいけないが、サタンがいつ来るかもわからないため流星学園の生徒の強化もしなければならない。カインの頭はパンク寸前だった。


「お茶だ。飲むといい」


 そっと前に緑茶が出された。この国では滅多に手に入らない高級な代物だ。レンはカインが困っている時には必ず緑茶を持ってきてくれる。


「ありがとう」


 緑茶を飲むと考えがまとまり、仕事がしやすくなるのだ。だが今回に限ってはあまり効果がないようだ。


「あまり無理はするなよ」


 それだけ残してレンは行ってしまった。


〜大総統会議当日〜

 その日の街はやたらとざわめいていた。


「ガイス王国の王が一体なんのようだ…?」

「次はナイラ王国の王だぞ…」

「それだけじゃない、ミリアナ王国にイーリス帝国も来ている」


 街にいる人が騒めくのも当然のことだった。いくら、制裁者の中心国とはいえ今まで各国の王や皇帝、大総統が集まることなどなかった。


「本日はお集まりいただき本当にありがとうございます」

「挨拶など無用だ。本題に入ってくれ」

「わかりました。今日お集まりいただいたのは、サタンについてと今回のジャッジメントについてです」


 ナイラ王国の国王ミラ、女性にしながらその戦い方は野蛮で勝ちを取るためなら手段は択ばない、そんな強力な国を作り上げた。制裁者の中でも1.2を争うほどの戦力を持った国だ。(もちろんアルスタ王国を除いての話だ)


「全国の大総統を招集したわりにはやけに少なくないか?」

「今回は全国の大総統を招集していません」


 ガイス王国の国王カムイ、その戦い方は自由的で自分の思うままに戦うことを第一にしており指示には従がわないことから一緒に戦うことを嫌う国は多くいた。


「どうゆうことだ?」

「今回はジャッジメントの中でも特に強い聖民を持っている国を招集しました」


 ジャッジメントといえどその力は不安定で、国によってはジャッジメントと平民が同じぐらいの強さのところもある。そんな国の大総統を呼んでしまってはその国は反国家組織に簡単に制圧されてしまうと考え今回は強い国しか呼ばなかったのだ。


「それはさておき、サタンについてはどうするのでしょうか?」

「サタンについては、アルスタ王国の聖民と私が治めている下等魔界の軍を使い対抗します」


 イーリス帝国の皇帝ハクア、世界から死神と呼ばれている彼女は戦闘での勝率は100%で負けたことがない。しかし国としての実力は無く、彼女だけが異常なほど強いのだ。


「そんなこと本当にできるのか?サタンは魔界の中でも最高峰の天上魔界の王なんだろ?下等魔界の軍が動いてくれるのか?」

「カムイ殿の言う通りだ天上魔界王に刃向かうことは死にも等しいのだぞ?」

「確かに刃向かって負ければただではすみません。ですが勝てれば、彼らは天上魔界の軍になれるのです。これほどのチャンスを逃すわけがないでしょう?」

「カインの言うことにも一理ある。だが、負けたときの代償は大きすぎるぞ?それでも加勢してくれると言うのか?」


 確かに負けたときの代償は計り知れない。だが、負ける戦いなら最初から受けたりはしない。勝てると打診しているからこそ魔界の軍を頼るのだ。また、制裁者に対抗できるのは制裁者と言うように魔界に対抗できるのは今のところ魔界だけなのだ。サタンと戦うには魔界の力が必ず必要なのだ


「負ける戦いなら最初から受けたりしません」

「それはお前ひとりの考えだろ?勝てる証明はない」

「私が勝てると考える理由は、二つあります。一つは私が作った下等魔界軍は天上魔界軍の上をいっているからです。以前、魔界王軍の強者決定戦で天上魔界王軍と戦い勝った経験があります。二つ目はアルスタ王国聖民の中に天界の者がいるからです」

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