プロローグ
こんにちわ!(^-^)現役女子高生の藤峰男です!(*´∀`)♪
座右の銘『苦渋の選択』
わたしは女神です。名前はないので、『女神ちゃん』なり『ヴィーナスたん』なり、お好きに呼んでいただいて結構です。
さて、わたしのお仕事ですが、いわゆる受付嬢。死者(お客様)が望む、死後の生活についての案内をさせていただいています。
あ、もしかして『ちょっと楽そうだ』なんて思いました? とんでもない。確かに人間の世界で言う『受付嬢』と違い、事務的な作業はなく、お客様が来られた時のみ以外は椅子に座っているだけでいいので、実働時間は1、2時間程度です。
ですが、この何もない真っ白な空間でお客様の来訪をずっと待たなくてはいけない、というのも想像以上に過酷なものです。『何もない空間』で、ですよ? この空間(わたしたちは面接会場と呼んでいます)には、机が1つと椅子が二つしかないのです。以前上司に、「この殺風景な空間に花でも植えたら、きっとお客様も喜ばれるのでは」と提案したのですが、「昔からの決まりだから」と聞く耳を持ってはくれませんでした。石頭な上司です。
それにこのお仕事、お給料があまりよくありません。同じ職場でも、罪人更生プログラムを請け負っている同僚は、一日ごとに天使の輪っかを新調できるぐらいのお給料をもらっているのですが、わたしといえば、羽をクリーニングに出すことさえままならない、まさしく雀の涙ほどしかもらえないのです。まあこれは肉体労働とデスクワークとの差だということで、無理やり納得していますが。
さらに終業間際にお客様が来られた時には、それはもう悲惨です。終業時刻を過ぎてもお客様の対応に追われ、それが終わる前に次のお客様が滑り込むように……。昨日なんて、この空間に泊り込むことさえ覚悟しましたから。
なんて言っている間に、お客様の訪問を知らせるベルが鳴りました。ええ、受付嬢の辛いところですよね、これ……。
そしてわたしは今日も、(上司に見つからない程度に程よく手を抜きながら)やりがいのないお仕事に精を出すのです。迷える魂をあるべき場所へ導くために。