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約束

朝が来てしまった

本当は今日も休みたかったのだがこのまま休み続ければ不登校になってしまう

それは駄目だと何とか体を起こし学校の準備を始める

それにしても昨日の出来事は夢だったのか現実だったのか

朝食を食べながら母親が何か言っていたが頭の中で昨日の記憶がグルグルしていたため耳に残らず適当に返事をして家を出た


「くーろーさーわーくーん」


学校について早々嫌な声が聞こえた


「もう風邪は治ったのか?いやぁ俺心配したよ」


イジメっ子の香田(こうだ)


「うん...」


「元気になったなら良かった良かった!そうだ!何か復帰祝いでもしようか?」


無理矢理肩に手を回して話しかけてくる


「いや、いいよ」


「遠慮すんなよ〜!まぁ後で楽しみにしとけよ!」


そう言い残すと香田は去っていった

今日は一体何をされるのか、この後の事を考えると胃が痛む感じがした


しかしその日一日何もされないまま放課後になった

忘れていたのかそれともこれから何かする気なのか

どちらにせよ早く帰ろうと急いで学校を出た

しかしすぐに嫌な声が聞こえてきた


「くーろーさーわーくーん」


振り向くと香田とその取り巻き達の姿があった

最悪だ。でもこのまま走って逃げれば...

しかし香田の取り巻き二人が駆け寄ってきて手を掴まれてしまった


「酷いよ黒沢くん、お祝いするって言ったのに先に帰ろうとするなんてさ」


香田が不敵な笑みを浮かべながら近づいてきた。


「い、いいよ別に」


「なんだよ黒沢ノリ悪いな〜。香田の好意は素直に受け取れよ〜」


「そうだそうだ!」


取り巻き二人が賢人を引っ張り香田に近付ける


「あれぇ?ちょうどこんなところに田んぼがあるぞ!美味しそうな稲が植えてあるなぁ!黒沢、収穫したいか?」


「は?いや、そんな...」


「収穫したいよなぁ?」


香田が賢人の胸ぐらを掴み田んぼの方へ引っ張る

あぁ落とす気なんだ。もう駄目だ。と賢人が諦めて目を閉じたその時


「痛ってぇ!」


香田の苦悶の声が聞こえた。何か起きたんだと目を開けると犬が香田の尻に噛み付き、飼い主らしきおばあさんが必死に引き離そうとしている。

香田はジタバタ暴れそのまま足を滑らせて田んぼへ落下した

取り巻き二人が慌てて引き上げる。


「クッソ!何なんだよ!あーもう最悪!お前ら、帰るぞ!」


ドロドロになった香田は取り巻きを引き連れ帰っていった

賢人はただ立ち尽くして香田達の背中を見送っていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた


「いやぁ、危なかったね!」


声の聞こえた方へ振り向くとそこには幸与がいた


「なんでここにいるんだよ...」


「昨日賢ちゃんの話し聞いて今日も何かされてるんじゃないかと思って見に来たら丁度ちょっかいかけられててさ」


「なんだよそれ...ってまさかさっきの犬は...」


「私の魔法でちょっとね」


「あぁなるほど...カッコ悪いとこ見せちゃったよな...」


賢人は大きくため息をつき幸与に背中を向ける


「ホントだよ!逆にあいつら突き落とすくらいしなきゃ!」


「いや、だから無理なんだって...」


「でもやられっぱなしはダメだよ!」


このまま続けても昨日のように大声を上げてしまうかもしれない。

賢人は無理矢理話題を変えることにした


「そんなことより賢ちゃんってなんだよ」


「ん?賢人だから賢ちゃん。嫌だった?」


背中を向ける賢人の正面に回り込み微笑む幸与

賢人は視線を反らし答える


「いや、急に馴れ馴れしすぎだろ」


「そう?私のことも幸ちゃんって呼んでくれていいよ!」


「え!?」

「ん?ほらはやく」


「ゆ...幸...幸与...さん...」


「うーん?まだ距離がある感じだね」


「き、昨日知り合ったばっかりなのにいきなり馴れ馴れしく出来るわけ無いだろ!しかも年上相手に!」


その割にタメ口なのねと幸与は思ったが口には出さず、大目に見てあげようと微笑んだ


「あ、そうそう賢ちゃんさ。今日の夜暇?っていうか夜外出できる?」


「なんだよ急に」


「見せたいものがあってさ」


「今じゃ駄目なのかよ」


「うん。夜じゃないと駄目」


「まぁちょっとくらいなら外出できるけど」


「ホント!?じゃあ決まり!約束ね!昨日別れた場所辺りに夜10時集合ね!」


こうして約束を取り付けると二人は他愛もない世間話をしながら帰路についた

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