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友達

「え?何?」


突然頭を下げられ困惑する賢人


「風が吹いて飛んできたなんてそんな理屈で納得してもらえる訳無かったんだ~」


女は目に涙を浮かべながら頭を抱えている。


「いや、そりゃあまぁ。明らかに糸で引っ張ったかのようにまっすぐに向かってきてたし」


しかしなぜ頭を下げたのか?誰にも言わないでとは何なのか


(魔法って言ってから態度が一変したよな...嘘だろ?そんなまさか...いや、でもあの出来事が魔法だったなら説明はつくけど...)


そう思うとなんだか急に怖くなった。目の前のこの女が魔法を使ったのだとすれば、とんでもない現場に遭遇してしまったのではないか

もしも本当に魔法を使ったのだとするとそれはつまりこの女の人は...


「ま...魔女...」


賢人は唾を飲み込み、喉がゴクリと鳴った。

女は何も答えない


「む、昔から魔女が住んでるって...伝説が...でもそんなのただの伝説で...そもそも魔法なんて空想の物で...」


やはり何も答えない

本当に魔女なのか?しかし魔女だったとすればさっさとこの出来事に関する記憶を消してしまえば済むのでは?なぜ頭を下げられるのか。

賢人は考え込み、女もうつむき何も言わない

沈黙が続く


「あ、あのさ...魔女なら魔法でさ、俺の記憶を消せばいいんじゃないの?それならさ、解決じゃん?」


賢人が提案すると、女がようやく口を開いた


「記憶を消すのは私のおばあちゃんにしか使えない、私はまだ未熟だから...」


やはりこの女は魔女なんだ、しかもどうやら他にも魔女が存在しているようだ。


「いや、それならそのおばあちゃんに頼めば...」


「ダメだよ...魔法使ってるのを見られたって知られたらたくさん叱られちゃうし、それにもう町には行くなって言われちゃう...そんなの嫌だから...」


女の声が段々と小さくなっていく


「じゃあ魔法で俺の事脅してさ、口封じするとか...」


賢人は恐らくこれから目の前にいる魔女がとるであろう行動に恐怖しながらも、その最悪の事態をそのまま先に口にした。


「脅すとかそんなのしたくないよ...」


賢人の予想に反した言葉が、か細く震える声で返ってきた。

なんと弱々しい魔女なのだろう、いやそもそも自分達が知っている魔女は所詮想像上の存在で実際はこんな弱々しい魔女だって普通にいるのかもしれない。というか目の前にいる

賢人は暫く考えた後に、深く深呼吸をして一つ提案をした。


「じゃあさ、こうしよう。俺のお願いを一つ聞いてくれたらこの事は絶対に死んでも秘密にする」


すると女の表情が一気に晴れた


「うん!可能な限りは!あ、でもあんまり無茶苦茶なのは無理だよ?」


魔女にお願いを聞いてもらえる

こんなチャンス二度と訪れないだろう

魔法の力を借りて何でも叶えてもらえるであろうこのチャンス

どうせなら今一番欲しい物を希望しよう、と賢人は今自分が一番欲しいモノを思い浮かべ、それを言葉にした。


「友達になってよ...」


あぁ言ってしまった...勿体無い、今なら訂正できるが

いや、でもこれでいい。これで...


「うん?と、友達?友達になればいいの?」


魔女は面を食らったような様子で目を見開いている。


「そう、嫌かな?...」


賢人は突然恥ずかしくなりうつむいた。


「全然いいよ!大歓迎!むしろ友達になってもらっていいの?」


魔女は満面の笑みで賢人に歩み寄った。

彼女の予想外の喜び具合に賢人は少し驚き顔を上げると、彼女が手を差し出してきた


「握手しよ?よろしくね!」


照れつつ賢人も手を差し出し握手を交わした


「あ、そうそう!この帽子返さないといけないんだ!一緒に来てくれる?えーっと...」


そうだ友達になるためにまず大事なことを忘れていた

出会ってからそこそこ時間が経過したが改めて自分の名前を名乗る

「俺は賢人...黒沢賢人」


「私は山中幸与(やまなかゆきよ)よろしくね!」

ニッコリと微笑み名乗った名前は魔女にしてはえらく和風な名前だった

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