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放課後乱闘ライヴズ  作者: (=`ω´=)
三日目
49/109

04-22 四人会議。

 学校からほど近い、あるファーストフード店内でのことである。


「……で、次はどうしよっか?」

 西城沙名は、指折り数えながら他の仲間たちに問いかけている。

「一、今朝の件で因縁がついた、七重と路地のコンビを片づける。

 二、現時点では一番多くのスキルを持っている委員長を襲い、あの子が持っているスキルを山分けする。

 三、叶くんのスキルは魔法に有効であるのかを試してみる……」

「四、もうしばらく様子を見てみる」

 奥地八重が、西城の言葉を引き取った。

「……ようやく、他のみんなも活発に動きはじめたところだし、もう少し様子を見てみてもいいんじゃないかなあ」

「そうそう」

 辺見洋子も奥地の発言に頷いた。

「ここでわたしらが本腰入れて暴れはじめたら、あっという間に決着ついちゃうじゃん」

「そしたら、今度はこの四人で争って決着をつけることになる」

 そういって、夢川明日夢が軽く顔をしかめた。

「そんなルートは、避けたいなあ」

 彼女たち、自称魔法少女の四人組は自分たちのスキルについて絶大な自信を持っていた。

 個別に見ればそれなりの欠点や弱点も存在するのだが、四人が組んでいる限りはその欠点をフォローしあえる。

 この四人が組んでいる限り、あの三峰刹那を相手にしても遅れを取ることはないと自負していた。

 その割には、今朝の騒動の際、七重香と路地遙の二人組には苦戦を強いられているわけだが、あのときも時間制限さえなかったら自分たちで相手を圧倒できたというのが四人に共通した見解だった。

 具体的にいうと、奥地八重のスキル『捲土重来』によって路地遥を閉じこめてその機動力を無効化し、あとは二人を個別に撃破していく。

 あの二人は、コンビを組んでいる限りはかなり強いのだが、個別に対処すればそう脅威にはならない。

 少なくとも自分たち魔法系のスキルの敵ではない、と、彼女たちは考えている。

 というか……今のところ、自分たちの優位を脅かすほどのスキルの持ち主は出現していない、というのが、彼女たちの一致した見解だった。


 ではなぜ、これまで彼女たちはゲームを終わらせるべくスキル収集に取りかかっていないのか?


 それはひとえに、彼女たちがこのゲームを、より詳しくいうのならば、このゲームにより与えられたスキルを愛好しており、このスキルが使用できる時間を少しでも引き延ばしたいという欲望を持っていたからだ。

 彼女たちの目的はゲームのルール上、最後まで勝者として勝ち残ることではなく、できるだけ長い時間、この与えられたスキルを使い続けることにある。

 いわば、「このゲームをできるだけ引き延ばし、その時間内にスキルを使用して目一杯楽しむ」ことが彼女たちの目的なのであった。


「……でも、あの委員長だけは早めに潰しておかない?

 なんかあいつ、意外に仕切りたがりだし」

「態度が偉そうってのはあるよね」

「でも、あの子を真っ先にやっつけたら、今度はわたしらの方が警戒されなくない?」

「それは、あるか」

 七重は、辺見の言葉に頷いた。

「強そうなやつ、スキルをたくさん持っているやつから突っかかっていく……というやつもいるだろうし」

「よほど自信があるタイプだね」

「実力がその自信に追いついていなければ、自滅するだけだけど」

「いずれにせよ、それで狙われる方にしてみれば五月蠅いことは確かだよ」

「そうそう。

 しばらくは避雷針代わりに、委員長は泳がしておこうよ」

「ああいう偉そうな子がふんぞり返っている以上は、こっちに矛先がむいてくることはないないわけだし」

「じゃあ、叶くんは?」

「あの子はあの子で、不気味なんだけどねー」

「あの子のスキル『リヴェンジャー』だっけ?」

 テスト初日に配布されたプリントで確かめてから、夢川が叶治郎のスキル名を口にした。

「名前からいっても、自分が受けたダメージをそのまま跳ね返すスキルっぽいな」

「スキルって、日本語でいうと、技能とかいう意味だったよね。

 そこまでいくと、技能というよりは才能とか体質になっちゃっていると思うけど……」

「そういう文句は、リライターにでもいってくれぃ!」

「無駄なレベルアップとか、妙にゲームっぽいシステムを採用しているのがねえ。

 なんだかなー……って感じで」

「案外、こっちの世界の流行とか激しく研究していたりして」

「まあ、クラス丸ごとモンスターがうじゃうじゃいる異世界に転移させられなかっただけでも感謝しようじゃないか」

「やだようねえ、ああいうの。

 食べ物からなにから、自分で調達しなければなならないし」

「それ以前に、ああいう未開の世界にいったら、お風呂だって滅多に入れないだろうし」

「……んー。

 そう考えると、このゲームもそんなに悪くはないのかなー」

「まあ、待遇面だけをみれば」

「だけど、クラスの中で仲違いさせようっていうのは、どうみても趣味が悪いよねえ」

「今さら、それをいいますか?」

「どっからどうみて、悪意があるでしょう。

 わたしらに、っていうか、人間という存在そのものに対して」

「やつらからみれば、わたしらなんてモルモット以下の存在なんだろうなあ」

 自称魔法少女たちは、おしゃべりに興じていくうちにどこまでも話題をずらしていく。

 ようやく元の話題、

「今後どういう方針で動いていくべきか」

 ということに話題が戻ったのは、それから小一時間ほど建ってからだった。


「ええと、なにをはなしていたんだっけ?」

「ほら、あれ。

 明日からどうしようか、と」

「もちろん、ゲームでのことな」

「あー。

 ……もうしばらくは、様子見ってことでいんじゃないのかなー」

「そう? やっぱり?」

「そうそう。

 別に、焦る必要もないし」

「それとも誰か、真っ先に潰しておきたい子っている?

 あ。

 委員長以外で」

「特にいないかなあ」

「むしろ、もうしばらく泳がせておいて、今後どう動いてくれるのか見守りたい子ならいっぱいいる」

「だよねー。

 有坂くんとか新堂くんとか、今のところはゲームから身を遠ざけているわけだけど……それも、いつまで続くかなあ、って……」

「今の時点ではまだいいけど、落伍者が増えてくると傍観者気取りでもいられなくなるだろうしねー」

「そうそう。

 彼ら以外の、これまで様子見に徹していた子たちも、今日の一連の騒ぎを見て今頃危機感をおぼえているんじゃないかなー、って……」

「だろうねー。

 明日あたり、また騒がしいことになるんじゃないかな?」


 そしてまた、自称魔法少女たちの会話はグダグダとどこまでも果てしなく脱線していくのだった。


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