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予約でいっぱいの店

作者: 遼馬

 神は地球を創った。

もちろん宇宙も神が創ったものだ。そしてこの宇宙にはさまざまな神たちが存在し、

そこには我々人間のような世界も存在するのだ。

 ここに一組の神のカップルがいた。彼らは付き合い始めてもう200億年になる。

神の世界では長い方だ。神の彼氏が言った。

「今度の記念日に素敵なレストランを予約してあるんだ。」

「ありがとう。楽しみだわ。」

「そのレストラン今流行の自然食レストランでね、なんでも60億年先まで予約でいっぱいなんだってさ。」

「へー、早く行ってみたいわぁ。」

「ヴォワ・ラクテっていうお店だよ。」

楽しそうな恋人達の会話だった。


 そして約束の記念日、そのレストランは銀河系のはしの方の太陽系にあった。

太陽系に着くと、神のシェフが出迎えてくれた。

「本日はようこそおいでくださいました。こちらへどうぞ。」

神のカップルは土星の席に案内された。土星の環がテーブルになっている。

「素敵な席ね。」

彼女が言った。

神のシェフが話す。

「当店は自家栽培の食材を使った自然食レストランでございます。食材がちゃんと育つまで店を開けませんので10億年に一度しか営業しておりません。そのぶん最高の食材を使いますので、必ずご満足いただけることと思います。どうぞごゆっくりおくつろぎ下さいませ。」

神のシェフはそう言うと厨房へ向かった。

神のウェイターが木星で冷やしておいたシャンパンを二人に運んでいた。


「さてと、料理にかかるか・・・」

神のシェフはそうつぶやくとまずは地球のスイッチを入れた。ハワイのマウナ・ロア火山を強火にしたのだ。

連動するように地球上の火山が強火になった。

溶岩で太平洋、大西洋の海水が温まる。海草と魚介に塩水だ。まずいはずがない。

いわゆるフュメド・ポアゾンである。

動物たちは太陽のオーブンに入れられこんがり焼き上がる。植物は火星のパーシャル冷蔵庫でサラダに、

北極で冷凍しておいた食材は、水星のレンジで解凍。太陽を一周すれば出来上がりだ。

神のシェフは一品一品料理を仕上げ、カップルに提供していった。

もちろんカップルも大満足だ。


神のシェフがつぶやく。

「うーん、今回の畑は害虫が発生しちゃったみたいだなぁ。なんか勝手に建物みたいな巣がいっぱい出来てるし道も作って畑が台無しだ。空気まで汚れたみたいだ。1000万年前に来たときはこんな奴らいなかったのになぁ・・・ちょこちょこ見に来て駆除しないとダメだなぁ・・・だしにもならないよ。とりあえずまた耕して新しい食材を育てるか。」


人間界では異常気象での災害が報じられはじめてしばらく経ってからのことだった。



 




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