ひよこ、推理、証拠発見
工事中以来初めて入ると大型娯楽施設。床はワックスが塗られて光沢がまぶしいフローリングになっていて内装は明るいイメージが本来ならば強いのだろうが、今は殺人事件のせいで営業しておらず閑散としている。そんな中受付ロビーの奥から明かりが見える。すでに誰か来ているようだ。
「ラッキーだね。従業が来ているみたいだ」
「そうだといいね」
見た目の雰囲気を守るためかとにかく落ち着いて歩いて受付まで行き従業員を呼ぶベルを鳴らすと奥から黒縁の眼鏡をしたセミロングの藍色の髪に藍色の瞳をしたきれいな女性が出てきた。僕らの格好を見ると小走りで僕らの元にやってくる。その際に大きな胸がバインバイン揺れているのを著ししてしまう。隣の三根くんも同じみたいだ。
「どうなさいました?」
三根くんは我に返ってすぐに手帳を取り出して刑事であることを証明する。
「刑事さんですか・・・・・・。何か御用ですか?」
そういえば、僕はここに来る目的を知らない。三根くんか勝手に計画して勝手にここまで来たので僕は何も知らない。三根くんはいかにも刑事っぽい仕草で告げる。
「監視カメラの映像を見せてほしい」
なるほど監視カメラを見て犯人の姿を直接確認にするのか。
「で、ですが監視カメラの映像はすでに警察の方に渡したはずなんですが・・・・・・」
そう簡単にうまくはずもないよね。
「自分らは通常の警察の捜査からは外れて捜査を特別捜査官なのです」
「・・・・・・・はい?」
受付のお姉さんが首をかしげる。僕も同じことをやりたいです。
「私は警視庁未解決事件防止特別捜査係のロリ刑事とこちらはその手下のひよこ刑事です」
その手下ってなんだよ。
というかよくもそんな警視庁未解決事件防止特別捜査係なんていうでっち上げを咄嗟に言えるものだ。尊敬しちゃうよ。
「犯行時間前後の監視カメラの映像すべてを見せていただきたい」
受付のお姉さんはしばし戸惑いながら僕らを待たせて奥の従業員室に入って行った。すると半分くらい禿げた偉そうなおじさんが出てきた。
「どうも責任者の武藤です。えっとその何とか係の」
「警視庁未解決事件防止特別捜査係のロリ刑事とひよこ刑事です」
なんで強く主張する必要があるんだよ。
一瞬困ったような顔をした武藤さんだったが・・・・・・。
「そのもしもこの殺人事件が早期解決するのならば喜んで協力させていただきます。どうか、一日でも早い犯人逮捕をよろしくお願いします」
偉そうなおじさんでも深々と頭を下げた。その姿がなんか意外だった。
こんな真面目にこのお店のことを考えて事件の早期解決を誰よりも望んでいるこの人たちのためにも僕はあの大きなお胸の女性を見つけて警察に連れて行かなければならない。それなのに・・・・・・・。
「お姉さん年はいくつなの?彼氏はいるの?」
このバカときたら刑事の格好をしながらナンパをするとは何事だよ。
この藍色の女性は藍澤さんというらしい。確かに何か不思議な魅力のある切れな女性であることは間違いないけど、今はそれどころじゃないでしょ!
「ロリ刑事。いい加減にしないと渡した例の物のデータをすべて削除しますよ」
それを聞いてから三根くんはすごく速い。物惜しそうな顔をしながら監視カメラを一括で管理する監視室に案内される。テレビが6台あり、レコーダーのようなものもある。
三根くんはさっそく椅子に座っていろいろいじり始めた。
「では、私はこの辺で」
「あの藍澤さん」
「はい」
「なんで関係者以外が立ち入り禁止なのに藍澤さんや武藤さんはこの建物の中にいるの?」
しばらく沈黙が続くと藍澤さんは答える。
「いつでも営業を再開できるように準備をしているんです。まだ、営業を始めて1週間ばかりしかたってないこのお店を潰さないために私たち正社員ががんばらないといけないので」
「・・・・・・そうなんだ」
なんか自分の仕事を誇り思っててすごいな。僕なんか今の仕事を覗をするのに適したいい仕事しか思っていない。特に誇りなんてなくただカメラを仕掛けることに没頭している。そのせいで僕は未だにひよっこなのかもしれない。
監視室の扉を閉めるとこの部屋は僕と三根くん二人っきりになった。
「さぁ、ひよこくん。写真の女性を見つけるまで帰れないと思いなよ」
「うん」
写真を画面を見るのに邪魔にならないところに張って監視カメラの映像を巻き戻して1週間前の事件が起きた10分ほど前まで戻した。僕らが持っているのは犯人の顔とその犯行に使った凶器と正確な時間。これだけの武器があれば大丈夫。後は犯人の行動さえ捕まえればそれでいい。
まずは浴場の出入り口。
「あ。黒髪の女性だよ」
「本当だ。いっしょに男も同時に入ってく」
「あれがタカシなのかな」
「すべての原因タカシなんだろうな」
それからしばらくして誰も女風呂に入ってこない。黒髪の女性の次に浴場に入っていたのは第一発見者のおばちゃんだった。しかも複数いた。それから数分後悲鳴が聞こえた。それから悲鳴を聞きつけて多くの従業員が女風呂に入って行く。しばらくすると画面越しからパトカーのサイレンの音と救急車のサイレンの音も聞こえて現場は騒然となった。
「・・・・・・ひよこくん。おかしくない?」
「おかしいね」
黒髪の女性の後に誰も浴場に入って行っていない。ここ意外に侵入方法があるのかもしれないけど、明らかにおかしい。ここで僕はひとつの結論に至った。
「犯人は幽霊じゃない?」
「大丈夫かい?ひよこくん?」
自信ない。
「でも、変だよ。だって誰も浴場に入ってないんだよ」
「他に侵入路があったかもしれない」
「だとしたら従業員用の通路だよね。でも、藍澤さんはこの写真と雰囲気が違う。胸のサイズは全く同じだったけど」
「よく画面越しとリアルを見比べて同じだと思ったね」
「三根くんと違って僕は大きい方が好きなんだよ。藍澤さんの胸は体格に合ったベストな大きさ。そして、男心を揺さぶるあのゆさぶり感。あれほど完璧な女性はいないよ」
「ひよこくんはここに何しに来たの?」
おっと危うく道を踏み外すところだった。
「とりあえず、建物全体に設置してあるカメラを見ることにしよう。どこかに映っているかもしれない。ひよこくんはそっちをお願い」
「分かった」
とりあえず、僕らは手分けをして施設中に仕掛けられた監視カメラの映像で写真の女性を探すことにしたが、結局1時間以上画面とにらめっこをしていたが目的の女性を発見することはできなかった。カメラは正面玄関、浴場入口、ロビー、食堂から従業員が使用する裏口、従業員用通路、事務所と多々存在するがどこにも見当たらなかった。
「ねぇ、僕の幽霊説を否定できる?」
「難しい」
完全に脱力して椅子に全体重を乗せる僕ら。これは警察が苦戦するわけだ。便りの監視カメラに証拠になりうるものが何も映っていないんだ。入り口から別に女湯の更衣室に入ることが出来る従業員通路にもカメラが設置されていてそこにも何も映っていなかった。客にいないとなると従業員かなって思ったけどカメラに映っていないからこれも完全に否定されてしまった。
「これは警察も一体どこに焦点を当てて捜査すればいいか完全に迷ってる気持ちがよく分かる」
「三根くんの言うとおりだね」
これは僕ら素人がどうにかできる気がしなくなってきた。
「こうなったら犯人かもしれない人物ひとりひとり顔を見て確認していくしかなさそうだ。とりあえず、ここから出よう。さすがに多くの警察官を前にしたらさすがに偽物だってばれるだろうし」
「そうだね」
椅子から立ち上がって部屋を出た大広間の人たちの姿を見て僕らはすぐに監視室に戻る。
「ど、どうするの?ロリ刑事?完全に捜査を再開する時間になったみたいだけど」
「ハハハ。どうしよう・・・・・」
「そうしようじゃないよ!ここまで来たのは三根くんのせいなんだよ!」
「すべてはひよこくんのためを思ってやったことだ!ひよこくんにとやかく言われる必要はない!」
「僕のためじゃないでしょ!自分のロリコン映像を守るためだろ!」
「それを守ってない何か問題でもあるのか!」
「問題大有りだ!」
取っ組み合ってこんな狭いケンカを始める。そのケンカをしているさなか僕は監視カメラの映像のリモコンを巻き戻して押してしまい映像がどんどん巻き戻って事件後の営業終了まで戻ってそこで再びボタンを押して一時停止を押して映像が止まる。そこでケンカも三根くんの圧勝という形で終了した。
「まだまだ、ひよこくんはひよっこだな」
「くそ~」
僕は体の芯が細いからそれだけ鍛えても筋肉がつかないんだよ。ケンカに負けた悔しさをにじませながら止まった映像の画面が目に入る。映像は浴場に向かう従業員用の通路だ。そこで僕は何か変だと思う。
「ねぇ、三根くん」
「なんだい?また、ケンカでもするのかい?」
「いやいや、そうじゃなくてこれを見てほしい」
そう僕に言われて三根くんは映された映像を見る。
「これがどうしたんだい?そもそもこの時間は事件とは関係ない時間帯じゃないか?」
「いや、この画面横端にあるこれに注目してほしい」
僕が指を刺したのは画面の左端。画面の一部が歪んでノイズが走ったようになっている。
「何これ?」
「データの受信状況が悪かったりするとよく起こるんだよ」
「そういえば、まるでモザイクみたいに幼女のあそこにノイズが」
「今はそんな話しないで」
僕がコホンと一息咳払いを入れて場の空気を戻す。
「つまりだよ。この映像は僕が使っているものと同じタイプだってことだよ」
「どういうこと?」
「外部から操作できるってことだよ」
僕の覗カメラも実は大きな弱点がある。それは電源だ。シャアハウスに仕掛けてあるものは定期的に取り出して充電しているのだがこういう施設に仕掛けたあるものはそうもいかない。よって電源を少しでも節約するために外部操作で電源が切れるようになっている。他にも映像をズームしたりといろんな機能が外部のパソコンなどから操作できる。
「でも、外部から操作できる監視カメラと事件の関係せいはあるのかい?」
「あるよ。僕が覗映像であるものを消したよね」
「ああ、湯気だね。あれでより繊細に女の子の裸が」
「だから、今はその話はしないでよ」
本当に三根くんは変態だよ。三根くん以上の変態がいたらそれは本当に人間かどうか疑うよ。
「つまりだよ。警察が見ていないこの建物の外から監視カメラを操作してここから逃げる犯人の姿を消すことが出来る」
「それは本当かい!」
「うん、実際に僕も覗映像を売るときは見せたくもない醜い体のおばちゃんの姿を消して売ってるし」
そうなると犯人は複数なのか?黒髪の女性を殺す実行役と証拠を隠ぺいするサポート役。
「でも、これってひよこくんだけの技術じゃないの?」
「いいや。ネット上に上がってた技術を応用しただけだから誰でも使えるはずだよ。パソコンの技術さえあれば」
そうなると僕らの仮説の一部が外れて警察の予想の一部が当たったことになる。今はとにかく。
「三根くん他のカメラにもこんなノイズがないか探して」
「分かった」
再び画面をにらめっこする。だけど、同じようなノイズは見つからなかった。あるのは僕が最初に見つけた従業員用の通路の物だけだった。
「このカメラだけだね」
「うん、まるであらかじめここを殺人犯が通るのを見越していたみたいだ」
「じゃあ、ひよこくんは警察が言うように計画的犯行だったと言いたいのかい?」
僕は無言でうなずく。そして、これらの証拠から犯人も想定できる。
「犯人はこの施設の従業員だよ」
「じゃあ、適当に女性従業員の顔をひとりひとり調べていけば誰だか犯人は分かるわけだね」
「そうだよ」
まさかここで僕の覗技術が活躍するなんて思ってもいなかった。
「じゃあ、さっそくは行こう!」
「おお!」
三根くんと勢いよく監視室から出た途端だった。開けた扉に何かが当たった。そして、僕らの視界にはたくさんの警察捜査関係者の皆さんの姿がった。その全員が僕らの方を見ている。
「え~と・・・・・・」
僕は三根くんにどうにかしろとアイコンタクト送るが、ダメだ。目が泳いでいて完全にパニック状態だ。
と、とにかくやれることだけやってみよう。偽物の警察手帳を取り出して自らを名乗る。
「えっと、僕たちは警視庁未解決事件防止特別捜査係のひよこと申します」
「ひよこ?」
ひとりの捜査員が僕の明らかにあだ名な名前に疑問を投げかける。
「えっと、ひよこって言うのは鶏の子供のひよこじゃなくて日時の日に夜って書いて古いと書いて日夜古って言います。こちらは同僚の三根刑事です」
「なんで本名?」
とっさに思い付かなかったから。
するといかにもベテラン刑事の形相をした白髪の刑事が僕らの元にやって来た。
「警視庁未解決事件防止特別捜査係?聞いたことないな」
やばい。ばれそう。
「えっと、警視庁の中でも極秘中の極秘組織なのであなたのようなベテランでも知らなくても不思議じゃないです」
もう、これ以上は無理だよ。ベテラン刑事の勘とかいうもので絶対にばれるってだって僕らはひよっこ風呂工事師と就職活動中のニートだよ。どこにも刑事の威厳とか風格とか存在しないよ。
「う~ん」
ベテラン刑事は僕らをじーっとに睨めつける。やばいもうダメだ。ばれる。
「組織の名前からしてこの事件が泥沼化しそうだって本店さんが怒ってる証拠やな。おい!お前ら!これ以上、上に舐められたら俺たち県警のメンツが丸つぶれや!一刻も早く犯人の証拠を探せ!」
『はい!』
そうベテラン刑事が捜査員全員に気合を入れると全体の士気が上がった。
「いや~。あんたらみたいな特殊監査官がいるなんて知らなんだ。でも、あんたらの出番はない。わしらが絶対に犯人捕まえてやりますんで、お茶でも飲んで待ってください。それでは」
ベテラン刑事はそういうと捜査に戻って行った。
「ねぇ、ロリ刑事」
「なんだい?ひよこ刑事」
「大丈夫なのかな?日本警察?」
「大丈夫じゃないね」