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ひよこ、やれる子、できる子

「第1回緊急対策会議をここに開催したいと思います」

「よろしくお願いします、ひよこくん」

「まずは現状報告を三根くんにお願いします」

「はい。現状としては警察は今回起きた通称湯煙殺人事件はまさに湯煙のごとく先行きがまったく見えない状況となっています。警察は開店したばかりで客の数もまばらである時間を狙って浴場に刃物を持ちこんでいることから計画的に被害女性を殺害したものだと考えております。さらに金品が特に盗られておらず女性の遺体からは争った形跡がないことから身内の計画的犯行だと断定して警察は今も捜査を続けているが有益な情報は未だなしとのことです」

「どういうことだー!」


あれから1週間。犯人は捕まるどころか何ひとつ証拠を掴めないままでいる。犯人の特定に至ってない。分かっていることとしたら犯人は女性であるということくらいだ。


「犯人が女性とか当たり前でしょ!女風呂で起きた殺人事件なんだから!」

「まぁまぁ、ひよこくん。落ち着いて」

「落ち着いていられるか!」


このままでは仕事に集中するどころか覗の技術を高めるという趣味に没頭することすら集中できない。


「それよりも驚いたことをひとつ言ってもいいかい?」

「何!」

「よくひよこくんの仕掛けたカメラが見つからないで済んだね」

「当たり前だとも。物を隠すことだけは自信がある」


いやいや、そんなことよりも。


「なんだか罪悪感で心が押しつぶされそうなんだけど、どうすればいいかな?」


もうこの映像を見せるしかないのかな・・・・・・。


「ひよこくんには悪いけどあることについて調べたんだけど」

「何を?」

「もし、ひよこくんがあの覗映像を警察に提供した場合に突きつけられる罪について」

なんでそんなものを調べる必要があるんだよ。


「とりあえず、もしもひよこくんの覗画像が警察に手に分かってひよこくんがカメラのありか、映像を売買したのも全部ばれた場合にどんな罪が課せられるのか調べてみた」


そんなことは絶対にありえないと思うんだけど・・・・・・。


「まず、浴場を盗撮した罪として迷惑防止条例違反、軽犯罪法違反にあたるね。次に、ひよこくんの場合は建物の家主に無許可でカメラを設置して盗撮しているから建造物侵入罪、器物破損罪などが課せられる。最後にひよこくんはこの撮影した映像を売買しているからわいせつ図画販売罪、名誉棄損罪などの罪に当たるね。ちなみに罪事態はそんなに重くなくて罰金だけで済むみたいだよ。よかったね」

「よかったね、じゃないよ!」


一体僕のために何を調べてきているんだよ!


「これらの罪を回避するために、そして幼女のお風呂映像、生お着替え映像を手に入れるためにも今から作戦会議をするわけだよ」

「そのための作戦会議!」


日本の警察は優秀なんじゃないの。犯人を見つけるどころか全く違う方向に進んでいるんだけど!


「どうすればいいの!」


僕が叫ぶと。


「提案があるんだ」

「提案?」


若干涙目になる僕に三根くんは小さく手をあげてその提案というもの言い出す。


「ひよこくんの良心をこれ以上傷つけず、さらに盗撮していることもばれないようにする方法はもうひとつしかないよ」

「その方法とは」


身を乗り出して聞き入る。


「ひよこくんが犯人を捕まえればいい」

「・・・・・・・・・・・・はい?」

「ひよこくんはすでに犯人の顔を見ている。なら、その顔を便りに犯人を捜して捕まえればいい。もしくは警察に捕まえてもらえばいい。そうすれば、犯人を捕まえたという正義感にひよこくんの罪悪感は消えて、さらに除きもばれることもない。まさに一石二鳥の作戦」

「いや、無理言わないでよ。僕はそんな名探偵じゃないよ」

「見た目は子供みたい、頭脳は大人。完璧じゃないか」

「どこも完璧じゃない!」


確かに背は低いし、体は細いから子供に見えなくもないけど子供じゃない。お酒も飲めるし、コンビニでエロ本とかも買える立派な大人だ。


「でもさ、こうなってくるともうひよこくん自身で犯人を突き止める方が早いと思うよ。それにもし捜査に行き詰った血迷った警察がカメラが隠されている女湯と男湯を分ける板の解体を始めたら大変だよ」

「た、確かに」


警察が女湯の外装を壊してまで徹底的に翔子探しを始めてあの板を剥がしてしまったらせっかく僕が仕掛けたカメラが見つかってしまう。もう、あれから1週間たってしまっている。三根くんが言うような捜査を始めてもおかしくない。


「やるしかないみたいだね」

「だね」


こうして僕は自らの覗の罪を隠すため、そして罪悪感を消すため、三根くんの特殊な欲求を満たすための映像を守るための戦いが今始まったのだ。

本当に大丈夫だろうか・・・・・。

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