序章
どうも、駿河ギンです。
創造期間約3日という走り書きで書いたお話です。
いつも以上に誤字脱字が多いと思いますので、発見し次第教えていただけると嬉しいです。
「ふふふふ~ん」
陽気な鼻歌を口ばさみながらも僕は作業する手を休めない。オープンを数日後に控えた超大型娯楽施設の一部である銭湯の工事を僕は受け持っている。と言ってもやることと言ったら露天風呂の男湯と女湯の間の板を張る作業しかしていないのだが。男湯側の板は張り終わり最後は女湯の板を張るだけで作業は終わる。他の先輩方は風呂の配管の最終点検的なことをやっている。僕みたいなひよっこにはやらせてくれない作業だ。
「おい!ひよっこ!手が止めってるぞ!さっさとしろ!」
「すみません!」
早くしなければばれてしまう。一発勝負だ。正確に素早く、そしてばれないように迅速に作業を進めなければ。
僕専用の工具箱の中から出てきたのは釘でも板を固定するための電動ドリルでもない。手のひらサイズの小型カメラだ。男湯と女湯の間には小さなスペースがある。他にもスペースがあったがここが一番ベストだ。そこに廃材で捨ててあった板の切れ端を使って小さな棚を作りそこにカメラを置いて固定する。そして、今までやって来た通りに板を張る。でも、少し違う数ミリ隙間を空けるのだ。中がしっかりと覗けるように。
僕は背も高いとは言えず芯も細く、髪も男としてはさらさらときれいな髪だねとよく言われて一見女の子に見えなくもない。その外見を裏切らないほどの気の弱さと意思の弱さはお墨付きなのだ。だから、このカメラを設置するのも最初はとてつもなく緊張した。でも、それを越えた先にあるのは男の楽園なのだ。
「まだ、終わってないのか!」
「も、もう終わります」
カメラの設置も終わり手早く残りの作業を進める。
この仕事を初めてもう2年になろうとしている。いつまでたっても僕の立場はひよっこのままだ。なのでみんなからはひよっこかたひよこと僕のことを呼ぶ。確かにひよこのように小さく弱い存在なのでマッチしていると言ったらマッチしている。一度は女の子に間違えられて『なんで学ランきてるの?』と言われたことすらある。そんなに僕の見た目はショタなのかと疑いたくなる。
この職業について筋力は上がった方だと思っているのだが細い体は昔と同じだ。
「終わりました」
道具を工具箱に押し込んでその場から離れて親方の方に向かう。
さて、数日後が楽しみだ。僕の内心はウキウキしている。これからどれだけ簡単な作業に時間食っているんだよって怒られることを知っていながらも。
でも、この仕掛けたカメラに映っていたのが女の人の裸ではなく、まさかあんなものが映りこんでしまうなんて、誰にも予想できなかった。