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冒険者泣話

二話連続更新。若干の鬱(?)展開注意。


 肉。肉。肉。


 辺りから立ち込める旨そうな肉の匂い。焦げる”そーす”の香りもプンプンしているし、網で焼かれているイカにも目がひきつけられる。ありとあらゆるうまいモンのにおいが混じっていて、とにもかくにも腹の減る空間だ。


 オレの知っている屋台の群れと、このソノジマニシの祭りの屋台はちょっと違う。みんなが奇妙な調理用の魔道具を持っていて、提灯とか呼ばれる明かりを灯している。ガキも大人も商売以上にその環境を楽しんでいて、漲る活気が熱気と共に充満していた。


「おう、そこの強そうな外国人さん! うちの焼き鳥喰ってかねえか! 今ならサービスしてやるぜ!」


「おう、そんじゃあ三本くれよ! 腹が減ってしょうがねえんだ!」


 実際、オレは昼間っから準備を手伝っていたせいでロクなモンを食べていねえ。一応携帯食料をポケットに入れてはいたが、この祭りでうまいモンをたらふく食えるとわかっているのに、わざわざまずいものを食べる気にはなれなかった。


 空腹は最大の調味料っていうじゃねえか。なら、それを活かすのが冒険者ってもんだろ?


「はいよ、おまちどうさん! 憎いね、女連れなんて!」


「えっ」


「えっ」


 さっと目の前にあった串焼きが一本消えた。もちろん、オレがとったわけでもないし、親父が落としたわけでもない。


 恐る恐る首を動かすと、見た目だけはとんでもなく女らしい獣が、うまそうに肉を平らげていた。


「わぁ、おいしい。おねえさんこういうの大好き!」


「おいコラ」


 にこっと笑うミスティがいた。なんかこいつだけサイズが合わなかったとかで、着物じゃなくて法被とかいう祭り衣装を着ている。サラシで胸をぎゅっと押さえつけたある意味扇情的な恰好をしているからか、さっきから妙にチラチラ見られていた。


「勝手に取るなっての」


「いいじゃないかよぅ。バルダスのケチぃ」


「……てっきり連れだと思ったんだが、違ったかい?」


「ううん、違くないよ。今日は一緒にまわるってことになってるもん。彼、恥ずかしがってるだけなんだよね」


 そのままミスティは二本目もかっさらい、オレと親父の目の前で肉に歯を突き立てた。女にしては妙に鋭い犬歯がプツリと刺さって、そのまま串がすっと引き抜かれていく。


 てかてかと輝く肉の脂が、ぽたっと地面に落ちた。ごくりと喉を鳴らしちまったのはしょうがねえことだろう。


「うん、おいしい!」


「……」


 串焼き──ここでは焼き鳥と言うらしい──を頬張る。炭火で焼いた香りがなかなかクセになる。鼻にふわっと肉の香りと共に抜けていくのが最高だ。


 塩もいいけど、タレもいい。この甘辛いとでも言うべき味は古都にはない。ちょっと子供向けの味付けだが十分にうまい。


 肉の食べ応えも抜群だ。ケチケチした屋台と違って口いっぱいに頬張ることができる。舌の上で肉を転がし、その柔らかさと肉の感じを存分に楽しんでから飲み込む。


 最後の二口は豪快に一気に食べる。うまいモンは好きなように食べるのがやっぱり一番うまい。


「ねぇねぇバルダス。あっちの『たこ焼き』ってのおいしそうじゃない?」


「そうだな」


「一緒に食べない?」


「その前に言うことがあるだろ?」


「ごめんなさい」


 『ぐるぐるの刑』を執行してからミスティは幾許かおとなしくなった。アミルをからかったりすることは未だに多いが、少なくともオレに関しては真面目な態度を取っている。


「言ってくれりゃあ、串焼きの一本や二本は奢ってやったのに」


「おや、意外と紳士的だね?」


「そりゃ……」


 言おうかどうか迷って、結局言わないことにした。


「祭りなのにソロで動く女には優しくもなるだろ?」


「ひどい」


 ハンナはエリオと動いているし、アミルは言わずもがな。リュリュはちみっことどこかにいった。エリィはしらん。


「もう、バルダスの奢りで屋台を制覇してやる!」


「ラズはどうした?」


「爺様が面倒見てくれるってどこか連れて行った」


「じゃあ、どの屋台もいけるな。ちっとくらいなら奢ってやるよ。どうせ金欠なんだろ?」


「金欠につけこんで女の子を誘うなんて、なんか新手の人攫いみたいだね?」


「ほぉ?」


「ごめんなさい」


 しょうがないのでミスティと一緒に屋台を巡る。色気よりも食気な女だが、いないよりかはいたほうが何倍もいい。


 まずは目を付けた『たこやき』の屋台へ。三人前頼み、ミスティが二人分食う。なかなかでっかい丸っこいのが一人前で八つも入っていたのに、あいつははふはふ息を漏らしながらあっという間に食べちまった。中に入っていたタコ──よもやタコを食う日が来るとは思わなかった──はあんま味がしなかったが、ぐにぐにした食感が珍しかった。


「『お好み焼き』だって! 何を焼いてるのかな?」


「好みのもんじゃねえの?」


「つまらない答えだね……」


「うっせ」


 『お好み焼き』ってのは鉄板で焼く”ぱんけーき”のアレンジみたいなやつだった。汗を滝の様に流した親父が器用にそいつをひっくり返し、”そーす”と”まよねーず”をこれでもかとかけ、最後に緑色のなんかよくわからん粉と薄い木くずみたいのを振りかけると完成する。


 見た目通り、腹にたまる。野菜でかさまししてたが中には肉もしっかりあった。二人前頼んだのに、オレのもミスティが半分食いやがった。


「見て、あんなにでっかいウィンナーを丸ごと焼いてるよ!」


「お、おい」


 ミスティはオレの甚平の裾を握って子供の様にはしゃぎまくる。あちこちの屋台を駆け巡り、あちこちの屋台を冷やかし、ありとあらゆる食べ物──主に肉とか主食系を腹に収めながら祭りを楽しんでいた。


 もちろん、代金は全部オレが払った。ヤツは銅貨一枚たりとも払っていない。


「ねえねえ、バルダス! ここの焼き鳥すっごいおいしいよ!」


「……」


────~♪~♪~♪♪~


 ミスティはとある一つの焼き鳥の屋台で止まった。ここはオレが手伝った大舞台の近くにあるのか、さっきからなんかの歌声が聞こえる。どこかで聞いたことのある声だと思ったら、リュリュとちみっこの声だった。


「……どうしたんだい、ボーっとして。もしかしておねえさんに見とれてた?」


 ミスティがふわっと笑い、ふざけてオレの腕をとってきた。いくらか汗ばんだ掌の感覚を感じる。


 ミスティは目立つ。ヘソ出し谷間出しのその格好もさることながら、ミスティ自身の体が結構なものだからだ。


 マスターのところの、この黒髪の種族も可愛い娘が多いことは確かだが、それは童顔で可愛らしいという意味であって色んな意味で貧相なやつが多い。


 いわゆるナンパをされているのもちらほら見かけた。その観点で言えばミスティも十分に対象に入ると思うが、オレが近くにいるからか誰もよってこなかった。みんなチラチラと遠目で見るだけだ。


 傍から見れば、まさしく連れ合いに見えたことだろう。だが──


「おい」


「もう、照れちゃって!」


 焼き鳥を口にくわえたまま、器用にミスティははにかんだ(●●●●●)。やっぱり気のせいなんかじゃなかったらしい。


「充分食ったか?」


「まぁ、いっぱい食べたよね。イカも、肉も、焼きそばも。ホントに全部奢ってくれるとは思わなかったけど」


「充分楽しめたか?」


「これ以上に楽しいことってあるの?」


 ミスティが、あのいっつもふざけて人をからかってばかりのミスティが。自分の意思を最優先にし、獣の如き生き様を貫くミスティが。


 そんなミスティが、目に涙をためて、困ったように笑っていた。


「──甘いモン、まだ食ってないよな?」


「……っ!」


 オレたちが──いや、ミスティが食いたいと言って選んだ屋台は全部ガッツリ系のものばかりだった。甘い香りのするお菓子の屋台だっていっぱいあったのに、あいつはそんなもの一切見ようとしなかった。


 ここまでくれば、バカなオレにもわかる。こいつは、甘いものの屋台を意図的に避けていたのだ。マスターの屋台に行こうとしなかったのが何よりの証拠だろう。


「お、おねえさん、お腹空いちゃってて……」


「いっぱい食ったな。軽く五人前以上は食ったな。オレのも食ったな」


「お、怒ってる?」


「甘いモンだって好きなお前が、なんで見向きもしなかったんだ?」


「……」


 ミスティはうつむいた。拳をぎゅっと握りしめているのがわかる。


 まるで周囲の空間から切り離されたかのようにここだけに重い空気が流れている。遠くから聞こえてくるちみっこの歌も、近くで騒ぐ子供の声も、祭り特有の熱い喧噪も、すべてがどこか遠くの場所の事の様に思えるくらいだった。


「…………バルダス。キミ、すごく意地悪だよね」


 腹の底から振り絞ったかのような震える声。


 オレだって正直こんなことはガラじゃねえ。ガラじゃねえけど、明らかに様子のおかしい女を放っておくのも無理だ。少なくともその程度のやさしさはあると思っている。


 そして幸か不幸か、ミスティがそのやさしさを受け入れるのは──いつものメンツの中ではおそらくオレしかいない。


「意地悪な人は、何されても文句は言えないんだよ?」


「──ッ!?」


 ミスティの目が変わった。冒険者が本気を出す、殺気を孕んだ目だ。そして、そう気づいたときにはすでにミスティは、今のミスティが出せる最高の速度をもって、オレの腹に体当たりをぶちかましていた。


「おい……」


 もちろん、受け止めるまでもない。力の入っていないへなちょこ体当たりで拳闘士(オレ)を倒せるわけがない。


 そもそも、ミスティのほうから抱き付いてきちまっているんだ。オレにどうしろって言うんだろうか。


「おい」


「見るな」


 胸に顔をうずめたまま、くぐもった声ではっきりと言った。


「おい」


「見るなってば……!」


 見ちゃいねえ。声をかけただけだ。あと、胸に爪が食い込んで地味に痛い。さっさと発散させた方がいいだろう。


「──見ない。だから、存分に泣けばいいとオレは思う。胸くらいは貸してやるよ」


「……う゛」


 生暖かく、湿ったものを感じた。


「う゛ぁ……あ、あ……」


「……」


「ひ、っぐ……えっぐ……」


「泣いていいんだ」


 さりげなく目立たないところに移動しているあたり、オレって優しいと思う。こんなふざけたことでも考えておかないと正直身がもちそうにない。


「う゛わぁぁぁぁぁ……!」


 泣いてる。滝のように泣いてる。あのミスティが、おそらく一番泣き顔とは無縁のミスティが、子供の様に泣きじゃくっている。


「う゛わぁぁぁぁぁんっ!」


 頭をぐりぐりと胸に押し付けられた。


「ずるいよぉ……! 悔しいよぉ……! あ、あんな顔見せられたら、もう、どうしようもないじゃないかぁ……!」


 あんな顔ってのは、マスターとアミルの事だ。着替えが終わって晴れ姿になったとき、マスターもアミルもボーっと互いを見つめあってたんだよな。


 そりゃもう、見てるこっちが恥ずかしくなるくらいに真っ赤になっていて、二人ともふにゃりとだらしなく笑っていやがったのを覚えている。


「わ、わた、私だって本気だったのに……! 本当に、大好きだったのに……!」


「そうだな」


 ミスティもマスターが好きだった。オレも含めて周りからはふざけてそう言っているだけだと思われていたが、こいつは本気でマスターが好きだったんだ。


 こいつはこいつなりの方法で、本気でマスターのことを振り向かせようとしていたんだ。


 そんなマスターが、一人の女に恋の視線を注いでいたんだ。決定的な勝負がついていると確信せざるを得ないマスターの笑顔が、自分以外の女に向いているところをこいつは見てしまったんだ。


「どうすればよかったのさ……! どうしてわたしじゃなかったのさ……!」


「……」


 甘いモンの屋台に行かなかったのはマスターを思い出してしまうからだったのだろう。たくさん食ってたのはヤケ食いってやつだろう。


 ──妙にはしゃいで元気を出していたのは、そうでもしないと泣き出してしまうからだったのだろう。


「ずるいよ! なんでアミルはわたしより早くマスターに巡り会ってたのさ!」


「しょうがねえ。そういうもんだ」


「う゛わぁぁぁぁぁんっ!」


 泣き叫ぶこいつが、本当にミスティなのかとイマイチ信じられない。オレの知っているミスティってのは、もっとしたたかで、もっとひょうひょうとしていて、もっと強いやつだ。


 だが、今ここにいる女はフってもらうことすらされなかった、そんな失恋の悲しみに泣き叫ぶ女だった。


「おい、顔上げろ」


「み゛るなぁっ!」


 無理やりあげた。眼はウサギみたいに真っ赤で、やっぱり涙で全体的にぐしゃぐしゃだ。こうしてみると、やっぱり普通の女の顔だと思う。


 はっきり言っておこう。こんなのオレのガラじゃねえ。ただ、祭りに早く戻りたかったってのと、服にしわが寄るからってのと、それと──こいつの泣き顔をこれ以上見たくねえってだけだ。


「おーおー、ぶっさいくなツラしてやがる」


「……ッ!」


「おまけに性格だって、お世辞にも女らしいとは言えねぇよなあ」


「こんの……ッ!」


「でも、オレぁそっちのほうが好きだぜ」


 マスターのようにぎゅっと抱きしめる──ことはできないので、ちみっこのように頭をグシグシなでてやった。引っ叩かれる瞬間で止まった掌が、今も顔のすぐ横にあった。


「マスターはバカだよな。こんないい女に見向きもしないなんて。そういや、美的センスは壊滅的だったんだっけか」


「……」


「愛嬌もあって、一緒にいて退屈しねえじゃねえか。冗談もわかってくれて、変に気を使う必要もねえじゃねえか。付き合うってんなら、これ以上にない好条件だぜ?」


「……それ、もしかして慰めてくれているのかい?」


「バカいえ。オレは自分の好みの話をしているだけだ」


「…………口説いてる、の?」


「オレはデカい乳が好きなだけだ」


 これは紛れもない本音だ。やっぱり女はデカくなきゃいけない。そして、その点だけで言えばミスティは百点満点だ。


「…………」


「…………」


 さっきとは別の意味での重い沈黙。抱き付いたままミスティは三回ほど瞬きをし、伸ばした手を使ってそのままオレのほっぺをひっぱった。


「にゃにひやがる」


「いや……変態にはお仕置きが必要かと……」


「へんひゃい、か」


「変態、だね……ふふっ」


 まだ涙声ではあったが、その顔にはじんわりと笑顔が広がりつつあった。少なくとも、その瞳には活力が戻りつつある。


「なんか、泣いていたのがバカらしくなってきちゃった」


「そうだ、それでいいんだよ。オレが知っているお前はそういうやつなんだよ」


 ミスティは手で涙を拭いながらさっぱりしたように笑った。多少強引な方法だったが、なんとかなったらしい。完全に立ち直ったわけではないだろうが、十分な成果だろう。


「なんか、ありがとね。変なのに付き合わせちゃって」


「構わねぇよ。これでも仲間だ。それに、女に抱き付かれるってのも悪かねぇ」


「……ねぇ」


「あん?」


「もうちょっとだけ……このままでいい?」


「……好きにしろ」


 最後に一筋の涙を流し、ミスティは笑った。そして、そのままグッと顔を胸に押し付けてきた。


 小さな小さなすすり泣きの声が、ほんの少しだけ響いた。なんだか居た堪れなくなったので、軽く抱きしめ、ガシガシと頭を撫でてやった。







「……本当にありがとうね。もう、大丈夫」


 それからしばらくしてミスティは顔を上げた。化粧が崩れて大変なことになっていたが、決して口にはしない。口にしたが最後、何をされるかわかったもんじゃない。


「なんだっけ、デカ乳が好きなんだっけ? お礼にちょっとくらい、触らせてあげようか?」


 ぺろりと唇を舐め、胸をつんと突き出し、ミスティは挑発的に笑う。


 そう、こいつが笑うってのはこういう笑いなんだ。決してはにかんだり、にこって笑ったりはしない。あんなこいつにしては不自然な笑い方をしていれば誰だって気づく。


 焼き鳥を取ったあの瞬間から、ミスティはすでになんかおかしかったんだよな。


「ん? ん? どうしたの? 特別に触っていいって言ってるんだよ?」


「……」


 なんか、こいつのせいでかなりの精神的疲労が溜まり、祭りの時間を潰された気がしたので、その好意を素直に受け取ることにした。


「じゃ、遠慮なく」


「ひゃあぁっ!?」


 思いっきり鷲掴みにして揉んだら、なんか予想外の初々しい反応が返ってきた。


「ば、ばかぁっ!」


「いってぇ!?」


 思いっきり平手でたたかれた。ガラにもなく真っ赤になり、胸を腕で押さえている。とてもあのミスティだとは思えない。


「ほ、ホントに触るやつがあるかっ!」


「いや、触っていいっていったじゃねえか」


「シャリィちゃんとミィミィちゃんとお隣さんとこのパティちゃんとエレナちゃんにしか触られたことないのに……!」


「けっこうやられてんじゃねえか!」


 やっぱりいつものミスティだった。


 軽口をたたくミスティに、ホッと安心する自分がいることに気づく。頬はジンジンと傷むが、それだけの価値はあっただろう。


 あと、想像していた通りいい乳だった。本当に、こいつはどうしてこの肉体の女らしさをちょっとでも精神に振り分けることができなかったのだろうか。残念でならない。


「それじゃ──!?」


 戻ろうか、と声をかけようとした瞬間だった。


「……どうしたんだい?」


 ふざけていたミスティは、あるいはまだ気が緩んでいるのか、それに気づかなかったようだった。


「さっさと水場で顔洗って来いよ。たしか、あの建物の入り口んところにあったはずだ」


「むぅ、ついてきてくれないのかい?」


「バカいえ、オレが泣かせたみたいになっちまうじゃねえか。リュリュが歌っていた大舞台のところで待ってるからよ」


 冒険者が本気を出すときの、確かな殺気。ほんの一瞬だったけれど確かに感じ、そして今も何かが戦っているのがなんとなくわかる。空気が、オレの直感がそう告げいている。


 明らかな異常事態。今のこいつを一緒に連れていくわけにはいかない。


「じゃあな!」


 ミスティを置き去りにして人のいない敷地の奥へと走る。


「な──!?」


 オレの目に飛び込んできたのは、一級であるエリィよりも明らかに実力がある男が、全力の殺気を込めて見覚えのある少年に殴り掛かるところだった。




バルダスさんのその後についてはハートフルゾンビの【ゾンビの天敵】にて。

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