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新人剣士&弓士とフレンチトースト

れっつくっきんぐ!

 カランカランと涼やかなベルの音。

 その直後の、ゴツッという鈍い音。


 もう数えるのに片手じゃ足りないくらいここにきているのに、相変わらずおまぬけなエリオは角をぶつけた。


「いったぁ……!」


「もう、いい加減に覚えなさいよ」


 痛そうに角の根元をさするエリオを無視して、店の中に入る。相変わらず、いい感じに落ちついた雰囲気の店内。うまく言葉じゃ説明できないけど、いるだけでリラックスできて、その日の夜はぐ~っすり気分よく眠れるってかんじ?


「……あ」


 この喫茶店にはいっつもいろんな花が飾られている。今日はいつもの赤、青、黄色に加えて、紫の面白い形の花がかわいい感じに配置されていた。


 あまり嗅いだ事のない甘い特徴的な香りがするけれど、いったいなんて言う花なのかしら?


「やぁ、いらっしゃい。《スウィートドリームファクトリー》へようこそ」


「こんにちは、マスター!」


「こ、こんにちは……」


「おにーさん、大丈夫ですか?」


 にこにこ顔のマスターと給仕のシャリィちゃん。この喫茶店はだいたいこの二人で切り盛りしている。たまにみょうちきりんな服装をしたおじーちゃんを見かけるけど、あたしもエリオもそこまで話したことがあるわけじゃない。


 ──まぁ、来るときはいつもエリオと一緒だから当然なんだけどね。


「おねーさんたち、冒険の帰りですか? それって薬草ですよね」


「うん、ちょっと早く終わったからこっちにきたのよ。どうせ納品は明日の昼までだしね」


 あたしとエリオは薬草採取の依頼を受けていた。もちろん、この森での採取だからひよっこが受けるような依頼なんだけど。


 さすがに初めて冒険に出たころよりかは強くなったとはいえ、まだまだ九級の低級冒険者。地道にコツコツやっていかないとね。


 ただ、低級依頼の割には報酬もなかなかよかったから、ちょっとここで至福の時を過ごすことに決めたのよ。


 人間、やっぱり息抜きも必要なんだから!


「薬草みると盗賊のおにーさんを思い出しますねぇ。そういえば、おにーさんには会えたんですか?」


「うん、ギルドの中でね。ボク達に気付くなり逃げようとしてたけど」


 たしか、ここで学者に邪魔されながら“くっきーばらえてぃ”を食べた翌日だったっけ。たまたま偶然ギルドでレイクさんを見つけられたのよ。


 出会った瞬間に逃げられそうになったけど、魔法使いのアミルさんが植物魔法で拘束してくれたのよね。


 アミルさん、かっこよかったなぁ。あたしも魔法の才能があればよかったのに。


「それでそれで、どうなったんです?」


「ここの常連つながりってことで、今度一緒に冒険することになったのよ!」


 冒険の後はここで一服することも既に決めてある。もちろん、あたしたちの奢りで。ここはどれだけ飲み食いをしてもあたしたちでも十分に払えるくらいお安いところだし、なによりレイクさんも気に入ってる場所だから。


「それはいいですね。……ところで、ご注文はどうします?」


「うーん……。ハンナ、どうする?」


 エリオは注文を取るとき、ううん、だいたいどんなことでもあたしの顔色をうかがってくる。


 そんなうじうじしてないで、スパッと決めてくれればいいのにっていっつも思う。エリオは優しくて安心する性格だけど、こういう頼り気のないところが問題だ。……それさえなければ、とってもカッコいいのに。


「ちょっと小腹がすいたから、そこそこお腹に溜まるもので」


「かしこまりました。……しかし、都合がいいというかなんというか、ちょうど今そういうの、作っているところなんですよ」


「へぇ」


 ちょうどその時、なんだか甘いような香りが奥から漂ってきた。


 うーん、やっぱり何の香りだか判らない。この果物じゃない甘い香り、ここでしか嗅いだ事がないし……。


 この甘い匂い、本人たちは気づいていないけど、マスターからもシャリィちゃんからも漂っている。あたしもここで寝泊まりしたら、こんな香りがするようになるのかなぁ?


「あれ、マスターもシャリィちゃんもここにいるのに、誰がやっているんですか?」


「ばかねぇ、あのおじーちゃんに決まっているでしょ?」


「いえ、今日はじいさんは来てませんよ」


「あ、あれ?」


 エリオがじとっと恨めしそうに睨みつけてくるのを口笛を吹きながら受け流す。あ、あんな顔しなくてもいいじゃない。誰にだって間違うことくらいあるわよ。


「マスター、来てくれ! ど、どれくらい焼けばいいんだ!?」


 店の奥から聞こえてきたのは、男の人の声だった。声の調子からすると、店員さんではないみたい。マスターはにこにこ笑いながらその声に受け答える。


「はいはい、今行きますよ。……そうだ、せっかくだからハンナさんとエリオさんもやってみます? クッキーじゃないけど、こちらもわりと手軽にできるやつなんですよ」


「そうですよ! 自分で作るのもとっても楽しんですよ!」


 エリオと顔を見合わせた。


 正直、かなり興味はある。あんなにおいしいモノ、自分で作れるようになれればどれだけいいことか。


 まぁ、仮に自分で作れるようになったとしても、あたしはここに食べにくると思うけどね。それでも、最初っから答えは決まっているようなものよ。


「もちろん! ぜひお願いします!」


「お、お願いします」






 装備を解いてシャリィちゃんからもらったエプロンとバンダナをつける。よく見なくてもマスターがつけているものと色違いのお揃いだった。


 エリオは角が邪魔でバンダナをつけるのに苦戦している。あたしも耳がちょっと邪魔だったけど、エリオは普段からどんくさいし、必要以上に時間がかかっていたと思う。


「んもう、ほら、後ろ向きなさい。やったげるわよ」


「ご、ごめん」


 ホントにいつまでたってもどんくさいんだから。あたしがいなければバンダナ一つつけることができないんだもん。これだから、目が離せないのよね。


「おねーさんもおにーさんもお似合いですよ!」


「ありがと!」


 ひょいと厨房の中をのぞく。そこにいたのは、マスターよりも年上の男の人。やっぱりエプロンとバンダナをつけていて、そのバンダナから金髪がはみ出ていた。


 マスターがその隣にたって一緒にフライパンを見ている。焼き加減でも見ているのかな。手軽にできるっていってたけど、あたしにもできるのかな。


「はい、セインさん、これで終了ですよ」


「ふう、いやはや、難しいな。マスターは毎日これをやっているのか。達成感はあるが、大変だな」


「……これ、ものすごく楽な奴ですよ。他のなんて尋常じゃないくらい面倒だし体力使いますからね」


「そうなのか……おや、君たちも、かな?」


 金髪の男の人があたしたちに気付いた。


 彼はセインと名乗った。なんでも元騎士らしい。今は冒険者をやっている、と騎士をクビになったらしいのにも関わらず、明るく話してくれた。


 きっと、この人もあたしみたいに、ここでお菓子を食べて元気になったんだろうなぁ。


「いやぁ、ここのお菓子をなんとか再現できないか努力していたら、マスターがここで簡単な奴の作り方を教えてくれるといってくれてね」


 そういってセインさんがフライパンからお皿に移したのは……なにかしら、黄色くて茶色くて四角い……?


「これは“ふれんちと──」


「はい、ストップですセインさん。それ、僕の台詞ですから。さぁ、早速作りましょう」


「セインさん、最近マスター台詞盗られると拗ねちゃうんですよ」


 ちょっと怒ったように笑うマスター。あは、なんか可愛いかも。


「材料はこれだけです。古都でもこれくらいなら手に入るでしょ?」


 マスターがそういって取り出したのは、卵と白い砂糖とミルク。まぁ、たしかにこれくらいなら古都でも手に入るけど、ちょっとお高いってところは目をつぶらなくちゃならないかなぁ……。


「さぁ、さっそく始めましょうか」


 まずは器に卵を割るらしい。あたしもエリオもマスターにならって卵を割りいれる。こんこんと叩いてかぱっと。これくらいなら楽勝よね。


 そのあとマスターに渡された妙な質感の変なので卵を溶きほぐす。これ、ホントになんなのかしら。硬い金属のようなものを細くしていくつか集めて形を作った……のかしら?


 シャリィちゃんが泡だて器だと教えてくれけど、こんなの使っている人なんて見たことない。


「さ、そしたら残りの材料も入れて混ぜましょう」


 お砂糖、ミルクも入れてぐるぐる混ぜる。


 最初は卵の黄色だった中身がキュリオスバードみたいな薄い黄色になってきた。ちゃっちゃっちゃと掻きませる音が厨房に響く。


 ちらりとエリオを見れば、手を少し汚しながらも順調に作業を進めているようだった。


「で、これで第一段階はおしまいです」


「え、もう?」


「はい。次はこれですね」


 次に出てきたのは……なにこれ!?


 見た目はパン、そうパンなのよ。茶色い見た目で直方体になっているのはまだいいわ。でもどうしてこんな中が白くてふわふわしているのかしら!?


「マ、マスター、もしかしてこれってパンですか?」


「はは、エリオさんもセインさんと同じこと言うんですね。こっちには食パンないって本当なんですね」


「うむ、私もこれを見たときは驚いたよ。これ単品だけでも十分なごちそうだよ」


「ねぇマスター、この“しょくぱん”はどうやって?」


「はは、普通のパンと一緒ですよ。僕の友人が栽培した小麦をこないだ学校のみんなで刈って作ったんです。まぁ、多少手を加えられてはいますが」


 あたしはがちがちのパンしか食べたことはない。あれと材料が同じだなんてとても信じられなかった。


 何をどうやったらこんなふわふわで白いパンになるのかしら。そういえば、このかんじは“けーき”に使われている“すぽんじ”と少し似ているような気がする。本質は似たようなものなのかもしれないわね。


「この食パンをこれに浸して焼けば完成です。どうです、簡単でしょう?」


 さっそく切り分けられた“しょくぱん”を浸す。なかなかうまく浸ってくれなかったけど、シャリィちゃんが横から押すといいと教えてくれた。言われた通りにすると、面白いように浸み込んでいく。


「ホントは長くつけなきゃだめなんですけど、これくらいでもいいでしょう」


 フライパンに火をかけそこにひたひたになった“しょくぱん”を入れる。弱火でじっくりやらないといけないらしい。


 ああ、なんだかもどかしい。強火で一気にやっちゃえばいいのに。


「……なによ、エリオ」


「べ、べつに?」


 何か言いたそうな顔でエリオがあたしを見てきた。何も言わないなら最初からあんな顔で見なければいいのに。


「~♪」


「はい、上手にできました。初めてでこんなにきれいに焼けるってすごいですよ!」


 やがて甘く焦がれるようないい香りがしてきたところでひっくり返してもう片面を焼く。キツネ色の、見ただけでおいしいとわかるきれいな色に焼けていた。







「お待たせしました《フレンチトースト》です」


 運ばれてきたそれ。あたし達はセインさんと同じ席に座り、それぞれの出来栄えを見ていた。


 こんがりと焼けたやさしいきつね色。ふんわりとやわらかそうな見た目。やさしい四角のフォルムはなんとなくかわいくて、食べるのがもったいないくらい!


 やっぱりマスターが作ったやつが一番見た目がいい。あたしのはちょっと焦げ目がついちゃったし、エリオのは若干火の通りが弱い気がする。セインさんのは、ちょっと形が崩れているようだった。


「とりあえず蜂蜜とメープルシロップを用意しました。お好みでどうぞ」


 さっそくフォークをとって“ふれんちとーすと”に取り掛かる。最初の“しょくぱん”のときとは打って変わって、見た目は全体的に黄色く、ところどころに茶色い焦げ。ふんわりと漂う甘い香りにおぼれそう。


 サクッとした音。続いて手に感じる柔らかい手ごたえ。


 それを、口に、運ぶ。


「うわぁ!」


 サクッとした歯ごたえに続くしっとりふわっとした食感。甘ぁいふるふるしたものが、口いっぱいにじゅわぁ~って広がる!


 むぐむぐと口を動かすたびに、噛みしめるたびにその甘味は強くなって、口の中全体を駆け巡るの!


「すごいわ! これホントにあたしが作ったの!?」


 とても卵と砂糖とミルクを混ぜただけとは思えないような甘さ。それぞれが持つ甘味が引き立て合っているのね。優しくて、暖かい、のどかな甘さなんだと思う。


 小麦由来の独特な風味もいいわよね。ほのかにパンが焼けたときの香ばしい香りがする気がするわ。甘さもそうだけど、“しょくぱん”の味の基礎がしっかりできているんだと思う。


 たぶん卵や小麦といったマスターの用意した材料そのものがもともといいものなんでしょうね。ここで使われる果物もマスターのお友達が作ったものらしいし、

ガッコウでみんなで収穫しているみたいだし、あたしも一度ガッコウとやらにいってみたいなぁ。


「うむ、確かに自分で作ったとは思えないほどだな。いや、自分で作ったからこそこんなにうまいのかもしれないな」


 セインさんが嬉しそうに口を動かす。あたしは自炊はそんなに好きじゃないけど、こんなにおいしい思いが出来るのなら毎回やってもいいと思えてきた。


「この全体的にふるふるしているのがいいよね。フォークで切り取るのが難しいくらいだよ」


「え? 表面はサクッとしてるわよ?」


「ボクのはふるふるしているけど?」


「私のはなんともいえないところだな」


 いぶかしみながらもエリオの皿を手繰り寄せる。ああもう、そんな情けない顔しないでよ。全部とるわけじゃないし、あたしのだってあげるんだからさ。


「わぁ……!」


 なるほど、エリオがつくったやつはあたしのよりも何倍もふるふるしている。口の中に入れたときの食感もまるで違った。


 なんだろう、あたしのはサクッとしっとりだったけど、エリオは今までに感じたことのないようなふるふるだった。


 甘さもちょっと控えめな感じ……なのかな? よくはわからないけど、あたしのとは少し味が違う。


「私にも一口くれないかな?」


「もちろんですよ、ほら、ハンナももういいでしょ」


 せっかくだから、ということでセインさんのも一口貰う。セインさんのはあたしとエリオの中間くらいの食感だった。サクッとはしてないけどふるふるすぎるほどでもない。


 なんだろう、うまく例えられない中途半端な感じ……なのかな? でも、全体的に甘さが引き立てられていて、あたしのよりも香りや風味がいい。


「エリオのは……ふむ、これはすごいな。“こんぽーとぜりー”じゃないが、すごく柔らかい」


「はは、フレンチトーストは簡単に作れますが、材料の割合や焼き加減一つでここまで食感や味が変わるんですよ」


「同じ材料でも、あたしがつくったのとじいじがつくったのとマスターがつくったのとではまるで違いますもんね。蜂蜜もかけるともっとおいしいですよ!」


 シャリィちゃんに促されて蜂蜜をつけた。


 うわぁ、“ふれんちとーすと”の甘さと蜂蜜の甘さがすごくよく合うわね! とろりとした蜂蜜と“ふれんちとーすと”の食感の組み合わせも最っ高!


「“めーぷるしろっぷ”もすごくいいね! ボク、これはじめてだよ!」


「すごいな、これ、“くりーむ”にもあいそうだ」


「ああ、クリームもよく使われますよ。他にも最初に材料を混ぜるときにいろいろ入れたりもしますね。 今日僕がやったのは最も単純な基本的なレシピのものですが、 工夫次第で軽食にもおやつにも、甘くもしょっぱくもなるんですよ」


「しょっぱくも、とはどういうことかな?」


「最初の段階で香辛料を入れたりだとか、出来上がったものにチーズ挟んだり目玉焼き挟んだりウィンナー挟んだりする場合もあるらしいですよ? あたしは甘いのが一番好きですけどね!」


 簡単に作れるとはいえ、なかなか“ふれんちとーすと”の奥は深いのね。料理とはいえ剣や弓と同じように道を究めるのは大変ってことかしら。素人同然のあたしたちだけでここまで味の違いが出るのだから、マスターが作ったものはどれだけのものなのだろう?


「ねぇ、マスターが作ったのも食べていいのよね?」


「はは、もちろん。そのために作ったのですから」


「わぁ、楽しみだな。ボクたちでもここまでうまくできるんだもの。プロが作るとどれだけのものになるのかな?」


「ふむ、たしかに興味深い」


 早速エリオが三人分に切り分ける。やっぱり見た目はすごくいい。あたしみたいなちょっと汚い焦げ目じゃなくて、食欲をそそる焦げ目。エリオみたいななよなよした見た目ではなく、柔らかな見た目。


 それを口に運んだ瞬間、あたしたちの自信は粉々にぶち壊れた。


「……う」


「……」


「……ぁ」


「ど、どうしました?」


 このマスター、本気でそう言っているのかしら?


「うますぎる……!」


「それはよかった」


 あたしたちが満足してたのが恐ろしくバカらしくなってくるくらい、マスターの“ふれんちとーすと”はおいしかった。もう、全てにおいてあたしたちのはるか上をいっていて、比べるのもバカらしい。


 なんで? なんなの? どうしてなの?


 いくら焼き加減とかで味や食感がかわるっていっても、なんでこんなに差が出るの!? いろいろおかしいでしょ!?


「やっぱりプロには敵わないよね……」


「そうだな……しかも今気がついたが、せっかく教えてもらっても“しょくぱん”は古都では買えないな。というか、王都にもないだろう。そもそも“こんぽーとぜりー”もそうだが、マスターの作るものはあきらかに入手経路がわからないものがある」


「つまりは、作り方が分かってもダメだったってこと!?」


「……いっけない、すっかり忘れてた」


「マスター、変なとこで抜けてますもんねぇ。でも、こっちにあるものだけでも大丈夫なものもありますよ。道具がないから作るのが大変なことには変わりありませんけど」


 シャリィちゃんが呆れたように笑う。そういえば、厨房の中には見たことがない道具がいっぱいあったっけ。泡だて器とやらも珍しいものだったし、魔道具みたいのもいっぱいあった。


 ひょっとして、ここで出てくるものはどれも恐ろしく手間がかかっているんじゃないかしら?








 わずかばかりの矜持を粉々に粉砕されながらもあたしたちは満足して店を出た。何事もプロには敵わないものだけど、まさかこれほどまでに差があるなんて思いもしなかった。


 あたしも早く剣の道を究めたいな。マスターがどんな修行をしたのかはわからないけど、あの若さであの腕なんだもの。あたしだって。


「……エリオ、明日から特訓よ」


「う……まぁ、そうだよね」


「私も付き合おうか? 幸い、今は暇だからね」


 セインさんが面白そうに笑う。ひょっとして、今のはジョークのつもりだったんだろうか。


 いつか必ず、マスターに認められるくらいに剣を極めて見せると誓いながら、あたしたちは古都へと戻っていく。


 そうね、剣を極めたあかつきにはあの店の専属護衛として雇ってもらうというの

どうかしら? あそこ、いまいち安全かどうか心配だし。


 そして、常連をはるかに超えた存在になって毎日あそこでお菓子を好きなだけ食べてやるの。お菓子作りの腕を磨くのもいいけれど、あたしはやっぱり食べるほうが好きだ。


 もちろん、そのときはエリオもいっしょに、ね。


 頼りなさげな相棒をみて、あたしはくすりとほほ笑んだ。








20150422 文法、形式を含めた改稿。


フレンチトーストはお菓子なのか料理なのか。

硬いパンでもいけるとかいけないとか。


あとリスのおねーさん視点ってすっごく書きにくい。なんなのこれ。

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