さくらの季節3
「そんな完璧な男いるのかなぁ」
私は半信半疑。
もしいたとしても、あまりにも完璧すぎると近寄りがたいかも…なんて思ってしまう。
でも、さすが。
千紗は違う。
「私、今まで沢山告白はされたけど、誰とも付き合って来なかったの」
「だね。何人も泣いたの見てる。」
「でもね、好きでもないのに、とりあえず付き合ってみよっかって、私は出来ない。」
千紗は凄く真剣な目で私を見た。
「そんなの相手にも失礼だよ。」
千紗はすごい。
こんなに美人でモテるのに、性格も美人なんだから。
「だからね、私、恋がしたいの!自分から付き合いたいって思える人を探したい!」
まさかの千紗の恋愛宣言に驚きつつも、私はなんか嬉しかった。
「私、頑張るね!」
「うん、応援するよ!」
千紗には幸せになってほしい。
きっと出会えるよね。
…あ、
…しかし、その発想から生徒会長の話になったんだよね?
まさか、狙う気か千紗!?
そんな他愛もない話をしていると、突然チクリと痛みが走る。
あれ…?
やばい…
オナカ痛くなってきた。
初日で緊張してるのかなぁ、どーしよぅ
「千紗ゴメン、先に体育館行ってて、私トイレ行ってくる」
小声で千紗に告げて、私は今来た桜並木を逆走し、校舎に入った。
トイレどこだ!!
入試ぶりの建物で、トイレの場所なんてわかるかい!
キョロキョロ廊下で困っていると、後ろから声をかけられた。
「どうしたの?」
声の方に振り向くと、背の高い、目鼻立ちの整った、
うん、つまりイケメンがいた。
「新入生だよね?迷ったの?」
「ハイ…お手洗いを探してて…」
イヤーーー!
イケメンにトイレとか聞きたくないぃ!
「ここからだと裏庭が一番近いよ、ほらそこに見えてる」
イケメンは裏庭を指さし、にっこり笑った。
「ホラ、早くしないと入学式はじまっちゃうよ?」
「はい!あ、ありがとうございました!」
「どーいたしまして」
イケメンはひらひらと手を振ってくれたので、私は腰から90度折れ曲がってお辞儀をした。
すごいなぁ、さすが高校クオリティ。
校内にイケメンがいるなんて。
なんとか無事にトイレを済ませ、ふと気付く。
ピンチに現れ助けてくれ、優しくて格好イイ、上級生…
しかも笑顔ステキ
少女まんか的流れで言えば…
ゴメン千紗、
あれ生徒会長だわ。