さくらの季節2
佐伯美晴、15歳
今日から高校生!
期待に胸を膨らませ、駅までのんびり10分歩くと、仲良しの千紗との待ち合わせの公園が見えた。
私が到着すると、噴水の前にもう千紗はいた。
「ちさー、おはよ!」
手を降りながら千紗に走り寄った。
「おはよう美晴。制服、新鮮だねっ」
千紗はすっごくキレイ。つやつやロングに目もぱっちり。
制服も、似合ってる!
「千紗可愛いっ」
「美晴も可愛いっ」
千紗とは中1からの仲良しで、いつだってなんでも相談してきた。
初恋の相談も、テスト勉強も、お兄ちゃんとのケンカも。
春休みだって、私の高校デビューのプロデュースをしてくれたのは千紗。
キレイで優しくて、いつも真剣に話を聞いてくれる。
そんな千紗は私の憧れでもある。
千紗といれば楽しくて時間を忘れちゃう。
ふたりでおしゃべりをしながら電車に乗り、あっと言う間に学校に着いた。
さくらが舞う。
私達の門出を祝ってくれてるみたい。
千紗と合図して、
「せーのっ」
同時にジャンプして高校の敷地内に入った。
門からは桜並木が続いていて、私達はその下を通ってクラス発表を見に行った。
先に見つけたのは千紗。
「あった!!同じクラスだよ!やったぁ美晴っ」
「良かったー!!ヨロシクね、千紗」
「こちらこそヨロシクねっ」
千紗と同じクラスで本当にホッとした。
実は人見知りな私は千紗がいないと不安で仕方ない。
中学が同じ子が他にもいなくはないけど、少ないんだよねぇ。
入学式が始まるので、新一年生はぞろぞろと体育館に向かいだした。
「私達も行こっか」
「うん、実は入学式の楽しみがあるんだぁ」
千紗がニヤっと笑う。
楽しみ?
入学式なんて退屈な話を聞かされるだけじゃないのかな…
疑うような視線を千紗に向ける。
「美晴は知らない?ここの生徒会長」
「生徒会長ぉ?知らないよ、縁がないもん」
「ま、そうだよね。私もまだ見た事ないんだけど、これが格好イイらしいの!」
珍しく千紗が男の話題で興奮している…
千紗はモテるのに彼氏がいない。
寄ってくるのが多すぎてうんざりしていて、色恋沙汰には興味がないみたいなのに。珍しい。
「だってね、格好イイだけの男なら沢山いるよ?でもね、勉強も出来てスポーツも出来て…パーフェクトなんだって!」
「で、入学式でその生徒会長が出てくる、と。」
千紗は大きく頷いた。