第38話 怪奇レポート5-11 魔王バラスオキラ
「おや?ロードヘルグとの戦闘から随分と強くなったようだ。」
!?
今の今まで店の中には誰もいなかったはず。それにこの男、この雰囲気・・・
「おっと、名を名乗っていなかったね。余の名はバラスオキラ。魔王である。」
「ま、魔王・・・」
「レイ、君には失望したよ。余が力を与えずともゴーストプリズムにふさわしい力を持っていたというのに。」
「・・・・・・」
「だんまりか。まぁ、良い。今日来た用件はそんな細かいことではないからね。アリス・カグラよ。今すぐに我々との敵対をやめ余の傘下に入るがいい。さもないと貴様の命はないと思え。」
「私の命だけで済ませてくれるんだ?」
「そうなればいいがな。貴様を殺したあとどれだけの災いが人類を襲うか、想像にたやすいだろう?勘違いしないでほしいのだが、余は貴様を殺したいわけでも世界に混沌をもたらしたいわけでもない。人間に必ず与えられる不平等をなくし、平等な世界を作り出したいだけなのだよ。」
「魔王や魔族がその頂点に立つ、とでも?」
「その通りさ。真の平等を語るのなら頂点に君臨するのが人間ではいけないだろう?前世で自殺をするほど世界の不条理を体感した君ならわかってくれると思っているのだが?」
「やっぱりあんたも異世界から来た人間、いや元人間ってわけね。」
「その通りさ。俺は"元"人間。貴様の自殺の経緯でも聞かせてみろ。」
「私の死因は幽霊に呪われて体を操られたことで自殺した。だからあんたの考えには賛同しかねるかな。」
「そうか。それだけの呪力を孕んでいるのだ。同類だと思っていたのだが違うようだな。明日正午、ヒョウラセンの平原にて待つ。来なければ人類を支配するための行動を即座に始めると思え。すでに準備はできている。その仕上げを確実なものにするために貴様の力を利用しようと考えていたのだが、そのような考えの人間の力など必要ない。援軍を呼ぶなどした場合も同様だと思え。俺が死ねばゴーストプリズムは崩壊する。最後の決戦と行こうじゃないか。それではさらばだ。」
言いたいことだけ言って転移魔法で消えていった。あの威圧感本当に魔王なんだろうね。
「アリス・・・」
「大丈夫。勝つから。」
「本当に行くつもりか!?あんなもの脅しのための口上に決まっておろう!」
「仮に本当だったら?人類の時代が終わるのをただ眺めていろと?私だけじゃない。多くの人が巻き込まれる。それなのにシアは私にただ待ってろとでも言うの?」
「そ、それはじゃな・・・」
「私も着いていく。」
「レイ・・・でも援軍を呼ぶなって・・・」
「バラスオキラの中ではこの3人以外にこの情報を話すなってことだと思う。だから私が行く分には問題ない。」
「それならば妾も・・・」
「シアはだめ。ゴーストプリズムと関わりがあるわけでも過去にあったわけでもないんだから。これは私たちの問題。それにシアって私が生きてるかどうか認識できるでしょ?」
「そうじゃが、それがどうしたというのじゃ。」
「もし私が死んだらさ、ギルドに行ってすぐにマスターにこのことを報告して。マスターには明日シアが来たらシアの言うことを貴族様でも王族でも誰でもいいから報告してもらうよう頼みこんでおくから。遠隔で戦いの結果を探知してギルドへ報告するなんてことシアにしかできないからさ。」
「・・・・・・死んだら呪ってやるのじゃ。」
「それじゃ死ねないね。まぁ、信じていてよ。私たちは勝ってみせるから。」
シアとレイには店に残ってもらって、一旦ギルドに来た。
「今日はどうしたってんだ?魔族を倒したって聞いたが・・・」
「その件は置いておいて。明日正午以降時間を空けておいてくれない?あとどなたでもいいし大貴族様経由でもいいから王族にコンタクトが取れる貴族様にすぐに連絡が取れる状態で。」
「おいおい、急だな。」
「こっちも急ぎなの。お願いね。シアが来たらシアから言われたことをすぐに報告して。内容に驚くかもしれないけど、とにかく報告が優先。お願いね。」
「おい、待てって。そんな死に急い出る奴みたいな雰囲気を出されると放っておけねぇっての。事情を話す気はねぇのかよ。」
「ごめんだけど無理かな。あと、もし万が一私の身に何かあって報酬を受け取る前に私が死ぬようなことがあったら怪奇屋の従業員でのカレンとその父親のアレスさんに4分の1ずつ、残りの半分をトウカさんに渡して。」
「死ぬって、縁起でもねぇこと言うな。」
「大丈夫。万が一の時の話だから。今回の依頼料をもらった後だとしても万が一のことが起きたらって話。それじゃ、私まだやることあるから。」
「事情は知らんが無事に戻れ。」
「努力はするよ。それじゃ。」




