81 桜に触れることを許されて
後夜祭も残り半分くらいまで時間が経過した。私はこれから教室の後片付けに向かわなければならない。海斗くんと一緒なのでそれぞれ蓮くんや藍那とは別れ、口喧嘩をしている二人を残して私達は教室へ戻った。
「お、天宮に瑠衣。もうそんな時間か」
「うん、思ったより進んでるね。残りは俺らでやるから、みんなは後夜祭に行ってきなよ」
「いいのか? じゃあお言葉に甘えて!」
「片付けとか面倒だなと思ってたが、話しながら手を動かせば案外早かったな。じゃあ後は頼んだ!」
本当の交代時間はもう少し後になるけれど、もう二人で十分終わるであろうことしか残っていない。これ以上待てば私達の仕事もなくなるし、海斗くんの判断が適切だと思う。満面の笑みで手を振る彼らに同じように返し、走り去っていく姿を見送ってから自分達の仕事を始めた。
私と海斗くんの担当は一番最後だったから、残るすべてをやらなければならない。とはいえ、先に言ったようにかなり進めてくれていたから私達がやらないといけないのは飾りつけされているものを取って、机や椅子を元に戻すくらいのものだけど。
「海斗くん、お客さんの数はどんな感じだった?」
「予定より多かったかな。俺と藍那が客寄せ担当って感じだったからね。俺らも接客の手伝いしてたけど、全然人手が足りてなかったかも。忙しかった」
「そっかぁ……私達はずっと遊んでいたから申し訳ないな」
「気にしないでよ。その分、瑠衣のように今日自由に過ごしていた人は事前準備を頑張ってくれていたんだから。それに、蓮と一緒に買い出しに行ってくれたの本当に助かったよ。改めてありがとう」
「いえいえ。私、桜華の近くに業務スーパーがあるの知らなくて、今日初めて行ったの。大きいスーパーって少しわくわくしない? まあ一人暮らしだし、今後も行くことはないだろうけどね」
「なにそれ」
知った意味ないじゃん、と目を細めて笑みを浮かべる海斗くんを見て、彼は本当に顔が整っているんだなと思う。何気ない表情が蓮くんとはまた違った系統で綺麗なんだよ。さすがは学園内で唯一公式ファンクラブがある男。男子カーストトップ。これで勉強ができて運動もできて、人柄も良いんだからさすがとしか言いようがない。藍那が海斗くんを好きになった理由は知らない。でもその気持ちも分かるかな。親友の好きな人を横から奪おうなんて、そんな最低なことは考えないけれど。
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