79 桜が散ったその時に
そんなわけで、日向くんと別れた私達は一年四組を訪れた。予想に反して教室には誰もおらず、暇していたらしい彼らは嬉々として私と蓮くんを迎えた。私達は食べ物系の屋台をほぼすべて制覇したからこんなにステッカーが集まっただけで、他の生徒はそんなに食べないだろうし、かと言ってピンポイントで当てるのも難しいと思う。彼ら、カードゲームで遊びながら待っていたからね?
「いやぁ、もうちょっと簡単にすべきだった気もするんですけど、そうなると景品だけで予算オーバーになってしまうんですよねぇ……」
「うんうん、自腹は嫌だよね」
「ですよねぇ! 分かってもらえて嬉しい!」
この学園、金銭感覚がおかしい奴ばっかなんですよ! と私に訴えかける男子生徒一名。たしかにこんな普通の高校のようなことばかりしているけれど、富裕層の生徒ばかりの学園なんだよね。そういう彼は一般人なのかな? 私に訴えるのは無駄……とまでは言わないけど、実は私もその辺で目を逸らしている彼らと変わらないんだけどね。
「それで、景品はどうします? ステッカーが十枚あるので二つ選んでくださいね」
「ずっと気になっていたんだが、なんでこんなに種類が偏ってるんだ?」
「俺の提案です!」
うん、答えになってないかな。蓮くんが言っているのは、甘い系のお菓子としょっぱい系、辛い系などなど、一つの詰め合わせに様々な種類が入っているんじゃなくて、同じ種類のものしか入ってないんだよね。だからなぜバラバラにしないのか、ってこと。だけど彼のこの感じ、『聞かれてることは分かってるけど面倒だから適当に答えておこう』というような考えが透けて見えないこともない。
「なあ咲良、一つは俺が選んでもいいか?」
「もちろん」
「ありがと。じゃあ俺、梅系のやつで」
「私は甘いので」
「かしこまりましたー!」
特別甘いものが好きというわけではないけれど、勉強してると糖分を欲することが多いからちょうどいいと思ってね。でも蓮くんのチョイスは意外すぎる。
「蓮くん、梅が好きなの?」
「いや、俺は別に普通。妹が好きなだけだ」
「へぇ……」
蓮くんってやっぱり、あまりそんな素振り見せないけど妹さんに甘いしかなり溺愛しているよね……? ご両親が共働きで普段妹さんと二人暮らしなのだと言っていたし、それも理由の一つだったりするのかもしれない。いつかお会いしたいな。私は高校卒業と同時に実家のある東京へ帰る予定だし、卒業までには機会があればいいのだけど……
「そんじゃ、ありがとうございました!」
「こちらこそ」
ところで一年四組の皆さん、スタンプラリーのステッカーがもらえるのが食べ物の屋台で、景品もお菓子の詰め合わせというのは少々鬼畜ではありません? 誰か太らせたい相手でもいるのかな?
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