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【完結】桜吹雪レコード  作者: 山咲莉亜
桜吹雪レコード  ~失った日々をもう一度~

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74 闇桜に一筋の光を

 文化祭開始まで残り約三十分。接客担当の人達も着替えを終え、裏方の確認も済み、あとは調理場の最終確認が終われば準備万端というみんなの気が緩まってきた時。突然教室の前の方から悲鳴に近い声が聞こえてきた。

 私達のクラスは執事・メイド喫茶だけど調理室が使えるわけではないから教室の前側を衝立で仕切って、簡易的な厨房のように使用することになっている。

 つまり、最終確認中の厨房の方からそんな声が聞こえてきたというわけだから、みんな何があったのかと急いで様子を見に行く。


「あの……な、生クリームが予定の半分くらいしかなくて……!」

「は!?」


 それは……すごく困るね。今回のメニュー、火を使わないものだから食べ物は冷凍食品がほとんどなんだよね。その代わりドリンクやデザート類は市販の物にプラスして自分達の手でデコレーションしよう、って話になってて。そのほとんどが生クリームを使用するから、それが予定していた数の半分くらいしかないとなると……


「もう間に合わないぞ……」

「どうするの!?」

「発注したの誰だよ」


 うん、やっぱりこういう空気になるよね。ちなみにこれは私が担当していたものではない。私が発注していたのは食品以外の備品や使い捨てのカップなどだから。


「……咲良。俺が作ったメニュー表のデータが残ってるから、今から言うように修正できるか? あと協力してほしいことがある」

「いいよ。メニュー表は一部変更するだけだよね」

「ああ、じゃあ頼んだ。今はパソコンねえからスマホ使え。パスワードは俺の誕生日」

「了解」


 無言で隣に来た蓮くんは私と目を合わせず、騒ぎになっている方の様子を見ながら手短に用件を伝えてきた。蓮くんってね、本当にいつでも冷静なんだよ。冷たいわけでもドライなわけでもないし、良く笑うし、突っ込み担当みたいなところあるからあまり見られない部分だと思うんだけど、たぶん彼が取り乱している姿を見たことがある人はいない。それくらい冷静沈着なのが結城蓮という男。


 どうするつもりなのか分からないけれど、蓮くんが動いたということは絶対この騒動を何とかできるのでしょうし、私は言われた通りに動けばいい。それはそうと、自分の個人情報が詰まったスマホをそう簡単に他人に渡していいわけ? パスワードも躊躇いなく教えられたし。信頼あるってことで良いのかな……? いや、やっぱり蓮くんの危機管理能力が心配になってくるね。


 蓮くんのお誕生日は四月の三日。四桁だから間にゼロを挟めば……うん、簡単すぎない? 本当にもうちょっと危機感を持った方が良いと思うよ。……ううん、もしかしたら大事な情報は別のスマホとかにあるのかもしれない。私も仕事関係の話をすることがあるから、仕事用で別のスマホを持っているし。

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