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【完結】桜吹雪レコード  作者: 山咲莉亜
桜吹雪レコード  ~失った日々をもう一度~

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70 桜も蓮も

 ……まさか蓮くんとの縁談を持ちかけられるとは思わなかった。そしてそれが偽のものだとも。まあお父さんの話を聞いて、こんな話をした理由は何とか納得できたのだけど。


 自分の部屋に戻り、なんだかなぁ……と思いながらベッドで横になっていると、サイドテーブルに置いていたスマホの着信音が鳴り始めた。画面を見ると書いてあった名前は『蓮くん』。たった今まで考えていた人。


「咲良ですけど」

『よお。機嫌悪そうだが、何かあったのか?』

「別に……用件は?」

『……さっき、両親から縁談の話を聞いた。瑠衣脳神経外科の次期社長が相手だ』


 知ってる。だってそれ、私も聞いたから。この感じだと予想通り、『瑠衣脳神経外科の次期社長』が私だという話までは聞いていないらしい。お父さん達が口止めしてくれているのかな? 分からないけど、私にとっては都合がいい。


「一応聞くけど、なんで私にその話を?」

『名字一緒だろ。口が堅そうな誰かに聞いてもらおうと思って最初に思いついたのがお前だっただけだ』

「ふぅん……どうなったの?」

『そりゃ断ったぞ。俺がそいつに夢中になって勉強に集中できず、医者の免許を取れなくても良いんだな? って脅しといた』


 そっ、れは……面白すぎる。あの蓮くんが初対面の相手に一目惚れするとは思えないし、対して知りもしない相手を好きになったりはしないと思う。そしてただの縁談で婚約した相手にそこまでの興味を持つとは思えない。しかも勉強に集中できないくらいに夢中に……? お願いだからやめて、私の腹筋が……!


「蓮くんらしいね。でもたしかにそれは困るだろうな」

『ああ。それに今時縁談とか相手も望んでねえだろ。これで俺側が無理やり話を進めるのは先方に失礼なだけだ』


 家柄は問題ねえし、同業者ならスケジュールに理解もあるだろうがな、と軽く笑い声交じりに言う蓮くん。私と全く同じ意見で安心したよ。

 私は当然だけど蓮くんと結婚することなんて考えたことがない。というか、あらゆる意味で考えられない。私がこの話に怒ったのは蓮くんも言っているように『先方に失礼だろう』と思ったから。親同士では納得していても、肝心のお相手に失礼なことはできない。大切な友人が相手だからこそ。


『ところで咲良、今度四人で遊びに行こうと言っていた話だが────』

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