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【完結】桜吹雪レコード  作者: 山咲莉亜
桜吹雪レコード  ~失った日々をもう一度~
7/116

7 導く桜

「蓮くんに日向くん、そこで何してるの? 回る順番も決まったことだし早く行こうよ」

「は、はい!」

「分かったわかった」


 私達が話し合っている間、何やらこそこそと話をしていたらしい二人をこちらに呼ぶ。心なしか少し空気がピリピリしているように感じるのは気のせいかな……?


「……蓮くん、後輩に喧嘩売らないでよ?」

「売ってねえわ。こんな子供と喧嘩しても大人げないだけだろ」


 ……やっぱり早速不仲になってない? 言葉の節々に棘を感じるし、子供と言うほど年齢離れてないと思うんだけど。今の一瞬で何があったのかすごく気になるけど、いつまで経っても案内を始められないから今回は黙っておく。覚えていたら後で聞いてみようかな。


「見て分かる通り、この学園はすごく広いの。普通の高校の倍くらいの広さがあるんじゃないかな」

「それなりに有名な学校だから進学にも役立つし」


 うちも支援している、と続ける蓮くん。こういう時、結城家のすごさを思い知るよ。噂によればものすごい豪邸に住んでいるらしいしね。……口が悪いせいで全然そんな風には見えないけれど。


「うん。だから迷子にならないように気を付けてね。もし道に迷ったら上級生や先生に聞くか、職員室と本館二階階段の踊り場に校内地図があるからそれを確認すると良いよ。もう少し校内を見学したら分かると思うけど、広いだけじゃなくて校舎の造りも複雑なの」

「咲良も入学式初日に迷子になってるからな。まあ誰かしら傍にいるだろうし、そいつらに聞けば何とかなる」

「あら……」


 意地悪な笑みを浮かべてそんなことを言う蓮くん。私が恥ずかしがるのを分かっていてやってるんだから質が悪い。みんなも苦笑してる。

 でも迷子になっていた時に声を掛けてくれたことがきっかけで藍那とは親友になったからね。その藍那も助けてくれるのかと思いきや、同じく迷っていたんだけど……


「この先が図書室だよ」


 とりあえず余計なことを言った蓮くんを一瞬睨み、その後何事もなかったかのように笑顔で案内を続行した。

 今日の学園見学で案内するのは図書室、カフェテリア、そして中庭。その他で気になる場所があるようなら随時説明するって感じになる予定。その辺りは引率の三年生の判断に任せられている。


「わあ……広いですね!」

「そうですね。うちの学園は図書室も広い方だったと思います。たしか……十万冊ほどあるんでしたっけ?」

「十五万冊くらいって誰かが言ってた気がする。私達の担任の先生だったかな」

「だな。俺らの時は学園見学なんてものはなかったから、校内のことについては橋本先生から説明を聞いた記憶がある」


 へぇ……記憶力が良いんだね。たしかに私達の代はまだ学園見学はなかったかもしれない。それなら去年から始まった行事なんだ? 今年が初めてじゃないのは私も覚えてるよ。

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