67 桜は言葉より行動を
あれから、合計一時間に満たないくらいの時間で一試合目が終わり、その後残りの二チームとも戦って、そのすべてに桜華学園は勝利した。海斗くんの活躍はもちろんのこと、サーブだけで十点くらい取った人や床にボールが落ちるギリギリで何とか取り、神プレーを見せた人もいた。
この後負けたチーム同士で復活戦が行われるらしい。でも桜華学園は全チームに勝利して予選通過、決勝トーナメントが行われる来週の試合に出ることが確定したのでこの時点で帰ることになっている。
決勝トーナメントの方は私達は観に行かないから、結果はその日の夕方か夜頃に学園からの一斉メールで知らされる。今までも結果は気になっていたけど、今年は予選の応援に来ていたのもあって当日は一日中そわそわしてしまうかもしれない。
「いやー、みんなかっこよかったねぇ……」
「うん。今まであまりそんな感じがしなかったんだけど、桜華学園は本当にどの部活でも強豪校なんだなってよく分かったよ」
うちの学園にある運動部の中で、一番最後に試合があったのがバレー部だった。だから他の部活もすべて予選は通過していることを聞いている。
そもそも、インターハイに出場している時点ですごく強いチームってことなんだよね。桜華学園の男子バレー部に関しては、インターハイの出場条件である県大会と地方大会上位入賞どころか、どちらも優勝してここまで来ている。私の出身である東京都代表チームもボロ負けしてたらしい。考えてみれば、これで予選通過できない方がおかしいね。
「話は変わるが咲良、今年の夏は実家に帰るのか?」
「うん……? お盆に三日か四日くらい帰省する予定だけど……それがどうかした?」
「いや、お前の実家たしか東京だよな。うちの両親が脳神経外科の瑠衣院長に渡してほしいものがある、って言ってたんだが頼めないか? 家から遠いか?」
結城のお二人が瑠衣に渡したいもの……? 知り合いだっていう話は聞いたことがないし、でもお互いに医者だから関わったことはあるのかもしれない。だとしてもこちらは脳神経外科、お相手は内科か整形外科、あるいはその両方でしょう? あまり近い分野ではないと思うのだけど、渡したいものって何だろう……
「ううん、近かったと思うよ。別にいいけど、何を渡すの?」
「この封筒。中身は俺も知らねえ。まあ仕事関係だろうとは思うけどな」
「そう。分かった」
「助かる」
「……こういうやり取りを見てると、蓮って本当にあの大病院の跡取りなんだなあってなるね。でもこんなに口が悪いと怖がられそう!」
「おい」
藍那のこと睨んでるけどね、蓮くんのそういうところを言われているんだと思うよ? でも私、知ってるんだよね。蓮くんって患者さんには優しいでしょう。体育祭の時に熱中症で倒れた子の対応をしていた時、口が悪いのは相変わらずだったけどすごく丁寧に接していたんだよね。涼しいところに連れていくためとはいえ、あの蓮くんが女子生徒を抱き上げているのを見てすごくびっくりしたんだよ、私。それと同時に、ご両親の姿をしっかり見て育ったのが分かる行動だったから素敵だなって思った。もちろん調子に乗られては面倒なので、このことを口に出すつもりはないのだけどね。
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