64 燃える桜
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今日は七月の二十一日。明日から桜華学園は約一ヶ月間、夏休みに入る。少し前に藍那が嘆いていた期末テストはテスト週間になったらいつも通り私の家に集まって勉強をした。ただ一つ、いつもと違ったことがあって、今回の期末は真紀ちゃんやご近所のあすちゃんも呼んだの。勉強中とはいえ、あれだけの人数が集まるとさすがに賑やかだったね。
そして肝心の結果。一学期中間の一位は蓮くんだったけど、一学期期末の一位は無事に私がいただいた。まさかの全教科満点でびっくりしたよ。さすがにこんなのは初めてだったからね。蓮くんも計算ミスで一点落としたのみ。いつもと勉強方法を変えてみたんだけど、それが良かったのかもしれない。
そして先日、二者面談で話したことを元に三者面談が行われた。二者面談の時に言っていた刺繍作家の件なんかは伏せ、進学先の確定と手続き、成績や生活態度についてなどを話した。とはいっても、私は基本お母さんの隣に座って話を聞いていただけなのだけどね。
一応学園では優等生だし、言われて困ることは何もないので堂々としていたよ。お母さんも大人しくしてくれていたので助かった。
「────明日からは夏休みに入りますが、生活習慣に気を付けて過ごしましょう。最後に、生徒指導部からのお願いです。六月に担任と三年生で二者面談がありました。その際に一、二年生へ気を付けてほしいことがあるとの話を聞きましたのでお伝えします」
全校集会。生徒全員の前に立ち、マイクを持って話すのは生徒指導の橋本先生。小学校でも中学校でも、こういう生徒指導からの話はあったよね。夏休みの過ごし方について、ってやつ。
「単刀直入に言うと、勉強中に大勢に話しかけられるのは迷惑だ、というものです。三年生は受験生なので勉強時間を大切にしている生徒がほとんどです。なので邪魔をしないよう、配慮するようにしてください」
これ、私が全校生徒への注意をお願いしますって言ったやつだね。私の名前は出されていないけれど、この学園で大勢に囲まれるような人は限られている。誰のことを言われているのか、ちゃんと理解してもらえることを祈っているよ。
「生徒指導部からの話は以上になります。良い夏休みを」
そう言って締めくくられ、体育館の端に戻っていく先生の姿を尻目に、私は軽く周囲へ視線を向けた。最後の注意を聞いて俯いた生徒が数人。その全員が勉強中の私に話しかけてきた人物なので、迷惑を掛けていた自覚はあったようで安心した。注意の対象なっていたのは何も下級生だけではない。三年生も何人かいたから、三年生は人に構う前に勉強することをおすすめするよ。
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