56 桜が掴み取ったもの
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「改めて生徒の皆さん、今日は一日お疲れ様でした。体調を崩さないよう、帰ったらしっかり休んでください。そして今から皆さんが楽しみにしているであろう、特別賞の発表を行います」
閉会式は開会式に比べてシンプルなもの。学園長先生からの話と表彰式、国旗降納、閉会宣言。そして閉会式後、各団で集まって解団式。これくらいしか内容はないけれど、このうちの『表彰式』は私達にとって一番大切なもの。今年は学園長先生の話が終わり、そのまま特別賞の発表と表彰式を行うみたいだね。
「今年の特別賞は全部で五種。個人の場合は呼ばれた生徒が返事を、団やチーム全体の場合は団長が大きな声で返事をお願いします。表彰された選手は全体での表彰の際、一緒に前に出てきてください。それでは発表します」
そこまで話して一度言葉を止め、整列する生徒を見渡した先生は傍にいた先生から表彰状を受け取り、再び私達の方へ向き直る。
「────『応援団演舞最優秀賞』緑団・青団、代表応援団長。『最多最下位賞』緑団・赤団、代表団長。『感動賞』青団、天宮海斗。『最多暫定一位賞』緑団、代表団長」
……現時点で特別賞は緑団が三種、青団が二種、赤団が一種表彰されている。そして残る特別賞は一つ。つまり……ここで青団が賞を取っても、緑団と引き分け。取らなければ準優勝。どちらにしても単独優勝は無理。点数を計算していた生徒は多くいると思う。だからこそ、青団は一気に暗い空気が漂い始めた。
「最後に『ユニークプレー賞』青団、伊島藍那・瑠衣咲良。特別賞は以上となります」
ユニークプレー賞……? というのはもしかして、私と藍那のバトンパスのやつ、かな? そして私と藍那の二人が名前を呼ばれた。ということは、青団は計四種の特別賞を……
「これより表彰式を行います。特別賞に選ばれた選手、優勝した団の団長と副団長は前に出てきてください」
「全体順位発表。第五位、白団二十六点。第四位、黄団三十八点。第三位、赤団三十九点。続いて第二位……緑団百四点。優勝は────百十四点、青団です!」
まさか、あそこから優勝できるとは思わなかった。優勝は緑団か、青団と緑団の引き分けだろうと思っていたのに……!
ユニークプレー賞の受賞者として私の名前も呼ばれている。まだ混乱しているけど、ひとまず壇の前で藍那と並び立つ。隣には演舞で受賞した代表者の蓮くん、恐らくリレーの時のものであろう感動賞を受賞した海斗くんもいる。ここで四人揃うとは思わなかったよ。
「表彰状。優勝、青団」
表彰式らしい音楽が流れる中、学園長先生が青団を称える賞状の全文を読む。『おめでとう』という言葉と共にグランド中から拍手が巻き起こり、副団長を務める二年生が表彰状と優勝トロフィーを、青団団長を務める三年生が優勝旗を受け取った。
続いて特別賞の受賞者も同じように賞状を受け取る。私と藍那、海斗くんは個人名が入ったもの、蓮くんは応援団を称えるもの、そして赤団と緑団の団長は団全体を称えるものを授与された。
司会の指示に合わせて礼をして青団の列に戻ると、困惑しているのは私だけじゃなくて団全員同じらしく、喜ぶタイミングを失ったのかみんな複雑そうな顔をしていた。それでもどこか喜びが滲んだ表情でもある。
「以上を持ちまして、桜華学園体育祭を閉会します。この後、団長の指示に従って解団式を行ってください。お疲れ様でした」
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