52 桜と共に、青空の下で花開くよう
推薦型リレーは一人あたりグラウンド二周の四百メートル、六人で二千四百メートルを走る。抜かし、抜かされ、激しく争いながら青団のアンカーである蓮くんにバトンが渡されたのは最後から二番目だった。海斗くんと蓮くんの間で走っていた子の相手が上級生ばかりだったのも順位が落ちた原因だと思う。
でも大した差はない。親友である海斗くんを守るためでもあるからか、珍しく真面目な顔で走り出した蓮くん。彼が一歩、また一歩と踏み出す度に距離は一気に縮まっていく。
順位はぐんぐん上がっていき、蓮くんが四人の生徒を抜かして大逆転したその瞬間、青団は大きな歓声に包まれた。
「まだ終わってないのにすごい盛り上がりようだね……」
苦笑しながら言うと、隣にいた藍那も同じような顔で頷く。まあここまで来たら男子の部青団一位は確実でしょう。数秒後、そんな私達の期待通り蓮くんは見事一位でゴールテープを切った。
満面の笑みでガッツポーズをした蓮くんは、小走りで待機している海斗くんの元まで駆け寄った。
「海斗、男子は青団が一位だ!」
肩を組んで嬉しそうに言う蓮くん。ゴールして一番にする行動がこれとか、どれだけ海斗くんのことが好きなんだろう。同じく嬉しそうに笑う海斗くんは他の四人も集め、チーム全員で勝利を噛み締めている。
ドラマみたいだった。片時も目を離せないくらい、最高に盛り上がった。ここで私達が一位を取らなければ一気に空気は冷めてしまう。そんなのもったいない。最後の競技だからか、私はプレッシャーよりも『どうせなら一番いい形で思い出を作りたい』という気持ちの方が強くなっている。私はここを青団全員の晴れ舞台にすると決めたから、絶対に一位を取ってみせるよ。勝利することがすべてではない、と言う人もいるだろうけど少なくとも私は勝ちたい。頑張る理由はそれだけで十分でしょう?
だから今度は私達の番、と指定の場所まで移動する。緊張しないと言えば嘘になる。このリレーの命運は私のバトンパスに掛かっていると言っても過言ではないからね。だけどそれ以上にわくわくする。今までの努力の結果が見れる瞬間ほど楽しみなものはない。
「完全推薦型リレー女子の部、ただいまより開始します」
アナウンスの声と共に第一走者がそれぞれのレーンに並ぶ。このリレーはコースとかないから、最初の一歩が大事になってくる。内側に入れたらまずはそれで十分。さあ、頑張れ……!
静まり返った空気を破るように、スタートの合図が鳴り響いた。
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