45 桜の雲隠れ
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推薦型競技、第一種目目のダンスで青団は四位に終わった。選ばれた子達は謝っていたけど、全体ではまだ二位だから気にすることはないと思う。みんなも同じ意見だったのか、彼らを表立って責める人は誰もいなかった。まあこれで優勝できなければ陰で色々言う人も出てくるのでしょうけど、それは私には関係ない。
午前の競技がすべて終わり、私達は一時間ほどのお昼休憩に入った。この時間は自由に過ごすことが許されているので、ほとんどの生徒が家族や友人と一緒に昼食を取っている。
そういう私も事前に約束をしていたので、今はお父さん達がいるところへ向かってるところ。お母さんの暴走が怖いから朝も話した通り、藍那達とは別行動なのだけどね。
「咲良、こっちよ!」
「……初めて見る顔だね。誰?」
「言うまでもなく、僕と麗奈だよ」
「いつも通りの変装だと思ってたんだけど……イメチェンでもしたの?」
変装をしていても年齢を感じさせない美男美女が透けているのはいつも通りだとして、普段のお母さんは地味かわいい系にしているのに、今日は美女系。お父さんも少し雰囲気が違う。
「そういうわけではないのだけど、今日は咲良の体育祭だから少しだけ張りきったの! それと、体育祭が終わったらそのまま知人と飲みに行く予定があってね。それでこうなってるのよ」
「普段の姿の名残はないし、少し冒険するくらいなら大丈夫だろうと思って止めなかったんだけど、次からはやめた方が良さそうかな?」
「ううん、これくらいなら全然大丈夫。私のためにありがとう」
話してる内容について怪しまれないよう、他の家族と同じようにグラウンドの端の木陰にシートを敷き、お母さんが用意してくれていた弁当を食べながら話す。何も後ろめたいことがあるわけではないよ。でも私、誰かに聞かれたら確実に騒がれるであろう隠し事が多いんだよ。勝手に騒いであれこれ言われるのって、めんどくさいことこの上ないでしょう?
「ところで咲良、綱引きは一位を取っていたね。全体での順位も悪くないんじゃない?」
「うん、そうだね。全部一位ってわけじゃないけど、今のところほとんど上位だから。私が出る競技、他に何があるか知ってる?」
「学年別競技で借り物競争があるのは知っているわ。後は何だったかしら?」
「借り物競争と、推薦競技でリレーもあるよ。どちらも毎年一番盛り上がる競技だから楽しみにしてて。海斗くんと蓮くんと藍那も出場するよ」
「蓮くん……というのは、結城家のご令息だよね」
「そう。今日はご両親もいらっしゃってるみたいだから、後で挨拶にでも行って来たら?」
私が普段一緒に過ごすことの多い彼らのことは二人も知っている。仲良くしてもらっている、ってことを何度も話しているからね。
「いや、今はやめておくよ。近い内にまた会うかもしれないからその時はご挨拶に行こうかな」
「そう……?」
何か話でもあるのかな。私もいつかはご挨拶に行く。卒業式とかなら海斗くんや藍那のご両親ともお話しできるかもね。まだ先の話にはなるけれど。
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