38 桜のレコード始まりは
◇
「────青団、絶対勝つぞー!」
「おおー!」
晴れ渡る青空の下、約九十名の声が響き渡った。
開会式前、少し時間があったので各団作戦会議等の時間ができた。青団はこれ以上準備することはない、と円陣を組んだ。青団のテーマは『一致団結』。これは団旗にも書かれていることで、練習を重ねるうちに私達青団の生徒はテーマ通りしっかり団結できるようになった。
この後の開会式が終わると、最初に行われるのは応援団による演舞。青団は四組だから四番目の演舞になる。最初でも最後でもないけれど、注目度はかなり高いだろうね。何せ、あの結城蓮が応援団長を務めているのだから。蓮くんが言うには、一度見せてもらった時よりさらに仕上がっているらしい。蓮くんが言うなら期待できる。楽しみだな。
「咲良、今年はご両親来てるの?」
「うん。体育祭のことは先週伝えたんだけど、偶然休みだったらしくて」
「ほんと!? じゃあぜひご挨拶させていただきたいな!」
「うーん……私はいいんだけど、お母さんがね……」
「嫌って言われちゃう?」
それはない。むしろ言えば会いたがると思う。でもなぁ……お母さん、絶対暴走すると思うんだよね。あれでかなり自由人なタイプだから。それこそ、楽しそうだからっていうだけの理由で前職を辞めてカフェ店員になるくらいには……
「ううん。でも私の秘密やら何やら、ペラペラと話してしまいそう」
「……口が軽いタイプ?」
「そういうわけでもないんだけどね……ちょっと怖いから、また今度でもいい? うちの母親、テンション高いと自由人度増すの」
「もちろん。なんていうか、中々癖の強いお母様だね?」
「変人って言っていいよ」
「さすがに遠慮しておくよ」
藍那は優しいね。私、絶対お母さんのこと信用できないんだよね。『自由人』という面を除けば、全然そんなことはないんだけど。
そんなことを話しているうちに時間になったらしく、入場の声が掛かった。これから私達は各団と学年ごとに整列し、準備でき次第開会式が始まる。開会式はほとんどの生徒に出番なしで、もちろん私もその一人。生徒会長である真紀ちゃんや各団の団長あたりは大きな役目があるけど、私は他人事として応援しておこうかな。開会式なんて、みんな真面目な顔をしているけど内心面倒に思ってるものだよ。まあ三年生は何をするにも最後だし、しっかり目に焼き付けておいた方がいいかもね。
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