36 祭りの始まり、桜と共に
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今日は日曜日。ついに体育祭の当日がやってきた。藍那と仲直りした日から数日経過し、その間に団のみんなの意識が大きく変わったように思う。その理由が、誰かに期待するような声をほとんど聞かなくなって、代わりに様々なところで工夫を見るようになった。きっと藍那と話をしていた彼らが伝えて回ってくれたのでしょうね。
「咲良、もう家を出るの?」
「うん。今日は準備があって早めに登校しないといけないから」
「そっか、頑張って。咲良が出場するのは学年別競技、選択種目の綱引き、推薦型競技のリレーで合ってるよね?」
「そうだよ。あー……それと、結城家のご令息も全部私と同じ種目。彼は応援団長だから演舞にも出るよ」
あの結城家の息子が通っている学園の体育祭なんだから、蓮くんの姿を一目見てみたいと考える人も少なくない。実際、今までの二年間は外部から見に来た人の注目を一身に浴びていた。
お父さん達はそういうの興味なさそうだけど、体育祭を見に来たのは今年が初めてだから一応伝えておく。
「その子、いつも咲良と仲良くしてくれている子よね? それならご両親にご挨拶しなきゃ……!」
「やめて。結城家は私達のことを何も知らないのだから」
「……まあ、麗奈のストッパー役は僕がするから安心して。変装もちゃんとさせる」
「助かるよ。じゃあいってきます。毎年すごく盛り上がるから楽しみにしててね!」
お母さんのストッパー役になると言った時のお父さん、何か含みを感じたのだけど気のせいかな? まあいいや。お母さんの暴走を止める役として、お父さんはすごく信頼できるから大丈夫でしょう。
お母さんは自分が目立つことを理解しきれていない。……やっぱり、お父さんが付いていても心配かも。なんかよく分からないところでボロが出そう……
「あら、あすちゃん」
「瑠衣先輩。この時間に合うのは久しぶりですね。おはようございます」
「うん、おはよう。体調はどう?」
「快調です。今日の体育祭、楽しみですね……!」
珍しくテンションの高いあすちゃんに頷き、『一緒に頑張ろうね』と声を掛けると嬉しそうに返事をしてくれた。下級生の知り合いで同じ団なのは、あすちゃんの他にも何人かいる。少し前の学園見学で一緒だった日向くん達も同じ青団。競技中は彼らの姿も探してみようと思う。
とりあえず、体育祭までに色々あったんだから今日は何も起こらないことを祈る。当日くらい全力で楽しみたいからね。
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