25 桜色の海は美しく
真紀ちゃんと別れた後、私は屋上に繋がる階段の踊り場へ向かった。ここは学園内の隠れスポットのような所で、基本的に誰もいない。一人で過ごすのにはぴったりの場所。
……私と藍那の間に壁ができてしまっているの、クラスメイトが気付かないはずがない。それだけ今までは喧嘩なく仲良くやってきたからね。だからこそ、何かを察しているらしいクラスメイトも友人も、海斗くんや蓮くんでさえ何も言ってこない。表向きはみんな普通に接してくれているけど、気を遣ってくれているのは分かるよ。やっぱり、こんな状況では教室内に居づらい。
「何が原因でああなったのかは予想が付いているけれど、一度ちゃんと話してみようかな……」
「うん、俺もそれが良いと思うよ」
「……っ、びっくりした……!」
「ごめんごめん。偶然こっち方向に来るのを見たから、心配で付いてきたんだ」
「本当に?」
「もちろん」
胡散臭い笑みだね……絶対嘘でしょう。心配してくれたのは本当だと思うけど、他にも理由があるんじゃないの……?
「瑠衣。俺はさ、二人が仲良く話しているのを見るのが好きなんだよ。いつもすごく楽しそうだからね。瑠衣も分かっているだろうけど、喧嘩やすれ違いは時間が経てば経つほど拗れるよ。相談ならいくらでも乗るから、一歩踏み出してみたらどう?」
私が座っているところより少し下にいる彼は、手すりに寄りかかるようにして上目遣いでこちらを見つめてくる。柔らかい口調とは逆に、私に向けている目はすごく真剣。目は口ほどに物を言う、ってよく言ったものだよね。本当にその通りだと思う。
「そう、だね……うん、声を掛けてみようかな」
「応援してるよ」
「海斗くん、ありがとね。そろそろ授業始まるし、教室に戻ろうか!」
「……ああ」
隣に並び、彼を見上げて微笑むと、顔を横に背けてから頷かれた。お礼を言われたのに照れてる、のかな……? 少し耳が赤い。
「海斗くん。その顔、私はただの友人だから黙っていてあげられるけど、他の女子だとそうもいかないだろうから気を付けた方がいいよ……? 公式ファンクラブがあるくらい人気男子の珍しい顔、破壊力すごいからね」
「その心配はいらないかな……瑠衣相手だからだし」
「何か言った?」
「何でもない。ほら、時間内から走るよ!」
「わ、やば! 待って!」
私の話をしたのは分かったけれど、小声だったから内容までは聞こえなかった。顔を近付けて聞き返すと、誤魔化して走って行ってしまった。何だったんだろう。気になるけど、今はそれより教室に戻ることを優先しなければ。このままだと遅刻する……!
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