22 美しい華には棘があり、並ぶ桜もまたその限り
「────全員、声出せー!」
藍那とのバトンパスについてやり方を変えてみようと話し合った翌日。今日のロングホームルームでは各団ごとに集まり、何らかの役割がある人はその練習を、ない人は推薦競技やら学年競技やらの個人練習をすることになっている。
そんな私達青団の役割がない人は今から、応援団長である蓮くんからの頼みで演舞を見る。決まった当初は面倒だからと嫌がっていたけど、最初の練習の前に軽い感じで『蓮くんのかっこいいところ、楽しみにしてるね?』と言ったら一瞬何かを考え込み、『分かった』と言われた。あれがきっかけだったのかは分からないし相変わらず面倒そうではあるけど、決まったからにはしっかりやり遂げようとしているみたい。
上手くサボるのは得意なはずなのに、今回はちゃんとしているんだね。感心だよ。毎年応援団の演舞はすごいから楽しみだな。
「蓮くん、まだ仕上がってはないって言ってたかな?」
「そうですね。団員が誰かに見られた状態でもパフォーマンスできるように慣らしておきたいらしいです」
「へぇ……あれ、そういえば藍那は?」
「藍那は放送部の手伝いだって」
海斗くんが指す方を見ると、恐らくマイクの数を数えているのであろう藍那の姿があった。藍那は放送委員じゃないのに頼まれてるってことは、人手が足りてないのかもしれないね。
蓮くん達が声出しをしている間真紀ちゃんや海斗くんと話して待っていると、太鼓の音が鳴り始めた。
「お、始まるよ」
まだ仕上がっていないとはいえ、ここで全部見せてしまうと当日の楽しみがなくなってしまう。だから最初の一分だけ披露するとのこと。全部で十分くらいだから、ちょうど十分の一になるね。
演舞者の配列は当然団長が最前列。団長はソロパートもあるから他の人達より、少しだけ華やかな衣装になる。今日は練習だから体操服だけどね。
「なんていうか……蓮、自分で言うだけあって顔良しスタイル良し、ついでに華があるから最初の立ち姿だけでも様になるな」
「悔しいけど同感」
「ですね」
本当に海斗くんの言う通りなんだよね。普段の素行を見てると信じられないけれど、あれでもいいところのご令息なだけあって立ち振る舞いは綺麗。そしてそこに持ち前の華やかさが加わると、『カリスマの蓮』と称される理由にも頷ける。
それと蓮くん、あんなに嫌がってたのに意外と楽しそうな顔してない……? 不機嫌そうにしてるよりはいいに決まっているけど……これはちょっと予想外だったね。練習している内にやる気が出てきたのかもしれない。
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