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【完結】桜吹雪レコード  作者: 山咲莉亜
桜吹雪レコード  ~失った日々をもう一度~
16/116

16 桜と藍

 ◇


 出場種目を決めた翌日。今日は班で分かれて体育祭の準備をする。三年生が担当するのは団旗制作、放送、各競技の準備。当日や全体練習の放送は放送委員会の人が、各競技の準備は陸上部の三年生が担当することになっているけど、団旗制作と放送の台本作り、各競技で必要な物の点検などは事前に三年生全員で行う。それが今日のロングホームルームの内容。


 班は人数は決まっているけど誰と一緒になるかは自由で、私はいつも通り藍那や海斗くん、蓮くんと同じ班になった。ただ、いつもと違うのはここに坂井さんもいるということ。五人で一班らしく、藍那が誘ったんだって。彼女のことは生徒会長だし以前から知っていたけど、同じクラスになったのは今年が初めて。


「藍那と坂井さんは仲が良かったの?」

「ううん、そうでもないよ。でもいつか話してみたいなと思っていたからちょうどいいなって!」


 それで誘ったら頷いてくれたんだよね! と坂井さんに同意を求めるように笑いかける藍那。まるで最初から友人だったかのようなこの距離の詰め方、すごく藍那らしい。それが嫌な感じじゃないのも。私も初対面から同じくらい急接近された記憶があるから懐かしいよ。

 海斗くんと蓮くんはこちらの話に興味がないらしく、二人で何やら部活の話をしながら作業を進めてくれている。私達の班の担当は青団のゼッケン作り。当日は全員自分の名前とクラスを書いた団の色のゼッケンを体操服の前後面に付ける。それ用の布のカットをしている。


「……そういえば坂井さん、一昨日くらいからずっと私のことを見ている気がするんだけど気のせいかな?」

「えっ……あ、ご迷惑でしたか……?」

「ただ気になっただけだから迷惑ではないよ。慣れているしね」

「それなら良かったです。瑠衣さんってこのあたりの中学出身ではないのに、入学当初から人気があったじゃないですか。それでどんな人なんだろうと興味があったのですよ。それでこっそり見ていたのですが、まさかバレていたとは」


 それで言うなら、私も一年生の時から知られていたんだね。少しずつ目立つようになっていったから、そんなに最初から見られていたとは思わなかった。


「その……憧れていまして。瑠衣さんに」

「……ん?」

「え、咲良に憧れる要素あんの?」

「蓮はお黙り。分かるよ、坂井さん! 私も咲良のこと大好きだし憧れてるから! 咲良のすごいところ、いくらでも語れちゃう!」


 あ……それは、ちょっと聞きたくないかもしれない。多くの人は私の目に見える部分を褒めてくれる。でもきっと藍那は内面の話をするだろうな。だからこそ……本当の私を隠しているからこそ、大切な人にその話をされるのは辛い。

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